血みどろ無表情のフリーレンに殺されたい転生魔族。 作:たかたけ
誤字修正感謝です。
「──わかった。」
ヒンメルから差し伸べられた手を一瞥し、フリーレンはそう言った。ヒンメルはその言葉を許諾の言葉だと思い歓喜したが、
「やっぱり、私はその冒険について行けない」
その後に続いた言葉は、とても喜ばしいとは言えないものだった。ヒンメルは少し悲しげな表情で腕を下ろした。
「それは、どうしてだい?」
「…なんでも良いでしょ。それ以外に用がないなら帰ってくれ」
もはや取り合うつもりのないフリーレンは、そう言ってヒンメルたちを追い払おうとする。
だがヒンメルはそんな彼女に不適な笑みを浮かべて、
「そう言われたら、俄然仲間にしたくなったよ。」
「え」
「また明日も来るよ。その時、こうして少しだけ話してくれないかい?」
ヒンメルの言葉に少し驚くような表情をしたフリーレンは、すぐに無表情を作り、薬草を乗せた籠を持って踵を返す。
「…変な人間」
「……」
そう言い残したフリーレンの背中を、ヒンメルは何も言わずただ見送った。
「振られちゃいましたね」
「黙ってくれないかハイター。僕は振られていない」
「いや、振られていたと思うぞ」
「うぐう…」
ハイターとアイゼンの言葉にほんの少し傷ついたヒンメル。だがそんなことを気にした様子のないハイターは疑問を口にする。
「彼女、明日ここに来るでしょうかね」
「さあな」
ハイターの疑問にぶっきらぼうに答えるアイゼン。半信半疑な2人と違い、どこか確信めいた様子のヒンメルはその場から踵を返しながら口を開く。
「来るよ。彼女は必ずね。さあ、今日はもう帰ろう」
「ああ、」「そうですね」
ヒンメルの後を追いかけるアイゼンとハイター。
──勇者一行はひとまずその場を後にした。
「…本当に来たんだ」
「君こそ」
次の日、勇者一行と銀髪にエルフ…フリーレンは先日と同じ森の中で会合した。
「正直、もうここに来ないとは思っていたんだけど」
「そうだね。君を諦めない限り、僕は君を勇者パーティーに誘い続けようと思うけどね」
そう言って笑いかけるヒンメルにフリーレンは、無表情のままため息を吐く。
そしてヒンメルの目を見つめながら次の言葉を口にした。
「諦める気は?」
「今のところ無いかな」
即答。
これはしぶとそうだと、フリーレンは内心嫌気がさしていた。
ならばと、フリーレンは次の作戦に移る。
「──動かないで」
「!!」
フリーレンは杖を素早く取り出してヒンメルに向ける。『動けば撃つ』と脅すように、それを見たアイゼンとハイターは臨戦体制を取る。
「おい、これはちっとまずいんじゃないか?」
「そうですね。靴でも舐めますか?」
「おい」
その中でも杖を向けられた青年…ヒンメルだけは焦った様子もなく、ただただそこに立っているだけだった。
「すぐにこの場をさって、2度とここへと訪れないって誓うなら見逃してあげても良いけど?」
「500年以上魔族との戦闘はしてないんじゃなかったかい?」
「人間2人とドワーフ1人を制圧するくらい、容易いことだよ」
そう自身の強さを示すように言ったフリーレンの言葉に、フッとヒンメルは笑った。
フリーレンはヒンメルが笑った意味がわからず思わず問う。
「何がおかしいの」
「いや、殺すじゃなくて制圧って言った時点で、僕たちに危害を与えようとしていないのが分かりやすくて…」
「…失言だったか」
自身の失言を悟ったフリーレンは杖をしまう。
これで逃げてくれたら良かったが、自分の思惑を悟られた時点でもうそれは叶わないだろう。……自身のことを話さない限りは。
「…これで逃げてくれたら良かったんだけど。」
「僕は初めから撃たないって分かっていたけどね」
「……」
フリーレンはもう一度目の前の青年を見つめる。自身の秘密を、それに付随して開示してしまう情報を与えて良い存在であるかを、フリーレンは見極めなくてはいけなかった。
そうするとヒンメルは自分が見つめられていることを感じたのか“カッコいいポーズ”を取り始めた。
訳が分からずフリーレンが首を傾げると、ヒンメルはボソッと『僕がカッコいいから見ていたわけじゃなかったのか…』と呟いていた。
「……まあ、考えるだけ無駄か。着いてきて、私が住んでいる家まで行こう。──“彼”に会ってから、もう一度私を誘うか考えたらいいよ」
………………。
………。
…。
「──って言う事があった」
「──それ、昨日から言っとく事できなかった?」
ほんとビックリだよ。今日はいつもより魚がいっぱい釣れたからフリーレンに『冷凍保存する魔法』をかけて貰おうと意気揚々で家の中に入ったら、知らない男の人が3人も居たんだから。
しかもその3人から子供扱いされるし、俺より背が小さいドワーフからもガキ扱いされる始末。久々にキレちまったよ…。
「で?なんで家まで連れてきたの?」
「う…だって、旅に行くならナルもつれていかないとだし、“あの事”も言っておかないとダメだし…」
「…本音は?」
「ナルのことを言ったら、すぐに帰ってくれるかなって…」
「つまり?俺を盾にしようってわけだ?」
「……うん」
嘘をすぐに見破られてしょぼん顔になってしまうフリーレンを尻目に、ナルは改めて勇者一行を見てみる。
イケメン勇者に胡散臭い僧侶、何を考えているかわからないドワーフ。うーん、この…。
「えーっと…貴方たちは勇者パーティ、なんですよね?」
「正確には、そのための仲間集めの最中だね」
ナルの疑問にイケメン勇者が答えた。
「…取り敢えず自己紹介しません?俺、貴方たちのこと何にも知らないんで」
「そうだね…僕は勇者ヒンメルだ」
「僧侶のハイターです」
「俺はアイゼン。戦士だ」
「あ、これはどうも。俺はナル。“魔族”です」
ナルは自身の角に掛けていた『
「…いきなりだね」
「だってこうしないと話し進まないじゃん」
突然のナルの行動にフリーレンは目を丸くして驚いている。それに対してナルはそれが当たり前と言うような表情だ。
「…魔族か」
ヒンメルは、フリーレンに杖を向けられても抜かなかった剣の柄に手を添えながら、ナルへの警戒を露わにしている。
「俺はナル、悪い魔族じゃないよ!!」
「「……」」
「いやごめん。だからそんな空気にしないで?」
ヒンメルとフリーレンからの無言の視線に耐え切れずナルは謝った。
……ピリついた空気が嫌で和まそうとしただけなのに…。
「…なるほど。そう言うことか」
「ん?何?」
「いや、なんでもないよ」
ヒンメルが何か納得言ったように呟いたがナルには聞こえず、はぐらかされた。
「フリーレン。“魔族は言葉を話す魔物”、それはわかっているよね?」
「うん」
「君は、魔族を殺せない…いや、殺せなくなったのか」
「…うん」
「──は!?」
ヒンメルの質問に頷くフリーレン。だが、その中で最も衝撃を受けたのはナルだった。
それはそうだ。そんなこと、1000年以上共に過ごしてきて一度も聞いたことがないのだから。
「ちょっと待て。フリーレン?俺はそんなこと一度も聞いてないんだが?」
「うん…言ってなかったし…」
「そう言えば、500年前くらいから全然魔族と戦わなくなったよな…その時ぐらいからか?なあ、フリーレン。なんで黙っていたんだ?」
ナルは有無を言わさぬ勢いでフリーレンを問い詰める。フリーレンはナルの質問に少し考えたのち、黙り込んでしまう。
「……」
「……」
「…………」
「…なあ、フリーレン。1000年前。覚えてるかわかんないけど、俺がフリーレンに迷惑かけて、それでお前が『隠し事をされて悲しかった』って言ってから、俺はフリーレンに隠し事をしないように過ごしてきたつもりなんだよ…。お前は、違ったのか?」
「──!」
フリーレンは思わず、気まずくてナルから逸らしていた視線を戻す。そうすると、ガバッと自身の頬を二つの手で挟まれ、ナルから視線が動けないようにさせられる。
「やっとこっちを見たか。人と話すときは目を見て話せ、どんな悪口も真正面から言ってくれた方が俺は好きだからな」
「…でも、これを言ったらナルが傷つくかもしれないし「はあ。お前ってほんと馬鹿だよなあ」…イタッ」
バシンといい音を立てた額を擦るフリーレン。ナルが思いっきりデコピンをしたのだ。
「そんなことで俺とフリーレンの関係が壊れるわけが無いだろうが!!1000年舐めるなこの大馬鹿め!」
「……」
そう言ってニッ、っと笑うナルに思わずフリーレンからも笑顔が漏れる。それが安心から来るものか、喜びから来るものかは今のフリーレンには関係がない。
「聞かせてくれ。お前の言葉で」
「わかった」
「……えっと、もしかして僕たちって邪魔者かな…?」
「「あ、」」
「え?もしかして存在すら忘れ去られた感じかー…」
─ナルが家に帰ってきたとき。
ナル「フリーレーーーン!!魚いっぱい取ったぞ〜!今日の夕ご飯は豪華だー!!!」
ヒン「えっと……お邪魔してます…」
ナル「誰!?ハッもしかしてフリーレンの新しい魔法か!?」
ヒン「なんかいきなり幻覚扱いされたんだけど…もしかして僕がイケメンすぎるせいかな?」
ハイ「自意識過剰ですね」
アイ「自意識過剰だな」
ヒン「……」
フリ「…自意識過剰だと思うけど」
ヒン「…(グサ)」
ハイ「ハッ!息をしていません!」
なんか疑問なんですけど…。3巻で魔族との戦闘は500年やってないって言って、どこか忘れたけどマハトとの戦闘は300年前にしたって言ってるのなんかおかしくないか?
フリーレンは逃げただけだから戦闘判定ではなかったってこと?
原作読み直そ。