ワイ無個性だけどプロヒーロー目指すンゴwww 作:一般通過なんJ民
体育祭本番当日。
そこはA組控え室。
各々がリラックスし、緊張する心を落ち着かせ精神統一を計っていた。
そんな中でもハジメは呑気に片手にスマホ、片手にダンベル(20kg)を持ちマイペースに筋トレと掲示板に勤しむ。
「皆準備は出来てるか!?もうじき入場だ!」
そんな中でも普段と変わらない男、"飯田天哉"。
彼の声は部屋に響き渡った。
その時だった。
「緑谷」
緑谷へと声をかけた轟。
普段自ら言葉を発することなど少ない彼の会話。
気になるクラスメイト達は自然と視線をそちらに向けていた。
「轟くん……何?」
「客観的に見ても実力は俺の方が上だと思う」
「へ!?うっうん…」
圧倒的事実。
そんなことを言われ緑谷は困惑した。
「おまえオールマイトに目ぇかけられてるよな?別にそこ詮索するつもりはねぇが……おまえには勝つぞ」
「おぉ!!クラス最強が宣戦布告!?」
「急に喧嘩腰でどうした…!直前にやめとけって…!」
「仲良しごっこじゃねえんだ。何だっていいだろ」
驚く上鳴。止める切島。
そんな様子をハジメもまたスマホから目を離し見ていた。
「並乃、お前もだ」
「…………」
「"今回は"負けねえ」
「……返り討ちだ」
「……っ」
微笑みを顔に出し答えるハジメに目つきの鋭さが増す轟。
そんな様子を前に緑谷も口を開いた。
「……轟くんが何を思って僕にそう言ってるのか分からないけど。そりゃ君の方が上だよ、客観的に見ても……でも!皆、他の科の人もトップを狙ってるんだ…!僕だって遅れを取るわけにはいかないんだ…!僕も全力で、獲りに行く…!」
「……おお」
そんな会話を横から見てた爆豪。
そんな彼をハジメは見ていた。
これもまた青春、そんなことを思いスマホをロッカーへ、ダンベルを部屋の隅へと片し、入場のための準備に取り掛かった。
最近着けるようになった眼帯。
サポート科から貰った厨二チックなデザインのものをこの大舞台で付ける勇気がない彼は病院から貰った普通のものを身につけた。
──雄英体育祭!!
──ヒーローの卵達が我こそはとシノギを削る年に一度の大バトル!!
──どうせてめーらアレだろこいつらだろ!?
──敵の襲撃を受けたにも拘らず、鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!!
『ヒーロー科!1年!A組だろぉぉ!?』
プレゼントマイクの声が響き渡る会場。
ハジメを含めたA組が入場すれば会場の観客たちがそれだけで盛り上がる。
もはや国際的なスポーツの大会レベルの超満員。
一高校の体育祭がこれほどまでの規模で開催されるとは、雄英の名前がどれだけデカいのかが分かるだろう。
「わあああ…人がすんごい……」
「大人数に見られる中で最大のパフォーマンスを発揮できるか…!これもまたヒーローとしての要素を身につける一貫なんだな」
「すんげえ持ち上げられてんな!緊張するな、なあ爆豪!」
「しねぇよ、ただただアガるわ」
緊張するもの、浮き足立つもの、普段通りのもの、興奮するもの。
各々受ける感情は様々。
そんな中、ハジメはと言うと──
「(名無しのヒーローさん達いるかな………あれかな………違うか)」
──掲示板の師匠達(仮)を探していた。
しかし、リアルで会ったことがある人は皇帝しかいない。故に見つけられるわけもない。
とりあえず適当に手を振っていた。
が、それに極端に反応し大袈裟に手を振る観客席のヒーローが数人。ハジメからしたらもはやひと目でわかる。
あちらもハジメは見た事ないはず……いや、眼帯してるのが彼しかいないからわかったのだろう。
とりあえず親指を立てると返ってくるサムズアップ。
ハジメのテンションと気合いが100上がった。
『B組に続いて普通科C・D・E組…!サポート科F・G・H組も来たぞー!そして経営科…』
その後続々と入場してくる他の科の面々。
いつぞやにA組へと宣戦布告しに来た人物がチラホラと。
ヒーロー科以外の生徒たちは気合いの入った顔つき……とは真逆。やる気がなさそうな態度で入場。
それを離れた場所から見るハジメ。やはり"彼には"思うところがあるようだ。
『選手宣誓!!』
1年全生徒が入場を終えると前に出てきたミッドナイト。
彼女は手にしたバラ鞭をビシッと響かせた。
「18禁なのに高校にいていいものか」
「いい」
「静かにしなさい!選手代表!───1-A並乃イッ……ハジメ!」
呼ばれるハジメ。
体操服を正し、眼帯の位置も整える。
壇上へ上がりながら喉の調整、ミッドナイトからマイクを受け取り体を生徒たちへ、そして観客へと向けた。
そして、息を吸い込み──
「盛り上がってるかー!?アリーナァァアッ!!」
「「「…………」」」
──叫んだハジメ。
返ってきたのは静寂。
この瞬間、彼は入試の時のプレゼントマイクの気持ちを理解した。
だが、もはやこの程度のことでめげる彼ではない。
再度を息を吸い込むハジメ。
「盛り上がってるかー!?」
「「「い、いえーい…!」」」
「声が小さーい!盛り上がってるかー!?」
「「「イエーイッ!」」」
「もっと声出せー!」
「「「イエーイッ!!!」」」
「もう一声ェェェッ!!」
「「「イエェェェェイッ!!!」」」
「ありがとぉぉぉお!!!」
温まる会場。多少の微笑が聞こえてくる。
少しの気恥さを感じ熱くなった顔を仰ぐハジメ。
喉を整え、咳払いをひとつ。心を落ち着かせ彼は口を開いた。
「えー、そうだなー。まずは自己紹介から。並乃一、1年A組ヒーロー科の無個性です」
その言葉が会場に嫌に響き渡った。
先程までの盛り上がりはなりを潜めて皆が壇上のハジメに目を向ける。
「ヒーローを目指し始めたのは確か小学生低学年の頃だったかな?当時は……まあこの場で言うのはあれだけど無個性を理由にいじめとかされていた時期もあり……それでも負けずに努力を続けて今この場に立ってます」
衝撃的な告白。
その場の誰もが真剣な顔付きで耳を傾けていた。
「ヒーロー目指してたけど諦めたって人……多分いるよね。そんな人達に聞きたいことがあって……なんで諦めたの?」
そんな言葉にドキリとするのは何人か。決して少なくはないだろう。
ヒーロー科のとある2人もその言葉に嫌な汗を流していた。
「戦闘に不向きな個性だから?目立ちづらい個性だから?それとも、無個性だったから?……まあ理由はなんであれ、ヒーローになれないと思っちゃったんだ?」
嫌な言い方。図星を突かれた数名は、目線を鋭くし睨みつける者と顔を下に向け落ち込む者とで分かれていた。
そんな中、彼は生徒たちを見渡し……そして、挑発的な嫌味ったらしい笑顔を浮かべ言葉を続けた。
「あのさぁ……馬鹿じゃないの?」
喧嘩を売るような言い方。
それでもハジメはお構い無しにその口を開いていく。
「ヒーローはヴィランを倒してればいいの?違うでしょ。災害救助やら人命救助やら……細かく言えば、迷子の子供の手を引いてあげたり、年寄りの荷物を持ってあげたり。そんな小さなことでもやれば立派なヒーローだろ。色んな場面で求められる個性は違う。どんだけ自分でハズレの個性だって思ってても必要にされる場面は絶対にある」
声は荒らげてない、それでも力強い声。
そんな様子のハジメに会場の誰もが目を奪われていた。
「無個性に関しても、個性がないからヒーローは無理?ふざけるなと。そんなわけない。個性がないから戦えない?だったらヒーローをサポートしてやればいいじゃん。ヒーローを助けるヒーローになれよ。自分で可能性を模索しないで誰かから言われた言葉で諦めんなよ。自分の可能性を自分が信じないでどうすんの?」
他の誰かが言っても一蹴される言葉。
でも、無個性の彼だからこそ皆は聞き入った。
「俺はお前たち根性無しに夢と可能性を見せるためにヒーローを目指してるんだ。弱個性だから馬鹿にされる、無個性だから虐められる。そんなクソみたいな世の中、俺がヒーローになってぶっ壊す。それが俺の夢。……少なくともこの場にいる誰よりも俺は強い。無個性の俺が今はお前たちの"てっぺん"だ。分かるか?──人の可能性は無限大なんだよ」
静まる会場。
たかが一学生の体育祭の選手宣誓。
それでもその声は会場の、テレビの前の人達に鳥肌を立たせる程の気迫を感じた。
「いつだって人は可能性を信じて道を切り開いてきた。今度は俺の番だ。お前たちが下に見てた無個性はこんなに凄いってこと、努力は才能を超えるってことを教えてやる。吠え面かきやがれ──
──
不敵に笑うハジメ。
その場に広がる静寂。
そんな中、最初に反応したのは──
「ブラボー!ブラボー!」
──サムズアップを返してくれたヒーロー。
ハジメを見守ってきた1人。大きく手を叩き、その表情は晴れやかに。
「かっこいいぞー!イッ……ハジメ君!!」
「いいぞー!言ってやれー!」
「アイツバカだwww!」
続けて声を出したのはハジメが振った手に返したヒーロー達。
それを見てハジメは親指を立てた。
直後──
「「「うおぉぉぉぉおッ!!」」」
──会場が揺れるほどの大歓声。
轟音に堪らずハジメは耳を手で塞いだ。
それでも顔に浮かべるのは笑顔。彼の存在が認められた瞬間でもあった。
「てな感じでね。どいつもこいつもかかってこい。無個性の俺がこんな頑張ってんだぞ?お前らも気合い入れて俺をぶっ倒せ。……って言っても俺も負ける気は無いから、おまえら全員ぶっ倒してまた俺がてっぺんに立ってやる。それはそれとして……今日の体育祭、盛り上がって元気に楽しんでいきまっしょォー!!」
「「「いえぇぇぇぇいッ!!!」」」
今日一の盛り上がりを見せる会場。
会場にいるヒーローもそして、生徒たちですらも高ぶる気持ち。
ちなみにハジメの横に控えていたミッドナイトはもはやテレビに映せないような恍惚な表情で体をビクンビクンと震わせていた。
『ハジメェ!やっぱり俺ァお前のこと好きだぜラァブ!』
『……あまり一生徒に肩入れするな。まあだが、持たざる者だからこそ人を引きつける魅力ってところか。無いなら無いなり努力のみで結果を示した。……人の心を動かす要素においてこれ以上のものはないだろうな』
実況と解説のプレゼントマイクと相澤ですら声に興奮が乗っているのがわかる。
やりきった、一息吐きつつ壇上をあとにし列へと戻れば──
「あて…!?」
──叩かれる頭。
振り返れば上鳴。
「さいっこうじゃねーかハジメ」
「気合いが入ったよね…!」
「心に響いたわハジメちゃん」
「流石漢だぜ!」
「お、おうありがとう…!」
あまりの勢いに押される。
そんな中、ちらっと見る爆豪、轟。
睨む目は相変わらずだが、どことなく鋭さが無くなっている。
一方、緑谷に目を向ければ気まずそうに目を逸らす。
そんな彼にハジメは近寄った。
「緑谷」
「あ、は、ハジメ君」
新妙な面持ち。
初めはおもむろに手を伸ばし、緑谷の頭に手を置いた。
そしてそのまま乱雑にくしゃくしゃと。
「あわわわ!?ハジメ君!?」
「湿気た顔すんな。ヒーロー目指してんだろ?だったら胸張ってかかってきなさいよ。返り討ちにしてやるから」
「……っ」
そう言って背中を叩き戻るハジメ。
いよいよ、体育祭が始まる。
意外とノリがいい主人公君。
あ、そういえばお気に入りが7000超えました。
ありがとうございます。