ワイ無個性だけどプロヒーロー目指すンゴwww 作:一般通過なんJ民
気が向いたら書くつもりではいたけどかなり期間が空いちゃったなぁ。
さて、いよいよ始まる体育祭。
第一種目の【障害物競走】
ハジメの選手宣誓で気合いが入ったヒーロー科を始めとした1年生たち。
早速、皆が我先にとスタートゲート前へ押し寄せた。
そんな中、ハジメはと言うと──
「……ゲート狭いなあ」
──少し離れた場所からの静観。
スタートゲートは生徒の数と比較してみるとかなり狭い。確実にスタート直後に詰まることが予想できる。
さらにその先にはスタジアムから抜けるためのトンネルがある。
我先に前へ前へと行こうものなら身動きをとるのが困難になるだろう。
故に彼が選んだ選択は最後尾からのスタート。
念入りな柔軟体操。
解した体の動きを確認。問題ない。いつでも行ける。
──準備は整った。
スタートゲート、その頂点。
そこに備え付けられたランプが3つ。そのうちの一つが光った。
スタート3秒前。
2つ目がつき、息を吐き出す。
3つ目が光り、右足を後ろへ引き地面を踏みしめる。
そして──
『スタートッ!!』
響いたミッドナイトの声とスタートのブザー音。
ハジメがまずとった行動は跳躍。
「上から失礼」
「……え?」
「うわっ」
「ちょ…!」
前で固まる生徒達の肩を足場に前へと向けて進んでいく。
だが目の前、先頭から押し寄せる水色の波。
それを見た瞬間に彼は手を伸ばしつつ跳躍。掴んだのはスタートゲート。
瞬間、下で凍る生徒一同。
──轟くんかな…
そんなことを思いつつ手を離し、壁を蹴りジャンプしつつ前へと向けて駆けた。
トンネルを抜け、地面へ降り立ち間髪入れずの全速力。
「うお!?ハジメ!?」
「どこから!?」
「てかはっや!!」
驚くA組の声が耳に入る。
既にこの時点で先頭の轟の背は見えた。
そのまま走れば足の速さはハジメに分がある。
「……どっから来た」
「後ろから」
「そうか…!」
気づいた轟は走りながら氷結をハジメへと向けて放つ。が、それを当然のように躱す。
前へは行かせてもらえない。
しかし、轟もハジメに構い続けられる余裕もない。
互いに足の引っ張り合いをやめ、1位轟、2位ハジメの構図のまま第1関門へ。
──お?入試ん時のロボ達だ
そんなことを心の中で独り言ちる。
いくつものロボが2トップの轟とハジメへ殺到。
それを方や氷漬けに、方や掴みあげ前へ投擲して別のロボに当てるなどして対処する。
ほぼ足止めにもならない、速度を緩めずグングン前へと進む2人の前に現れたのは巨大なロボの軍勢だった。
『さあ、いきなり障害物だ!まずは手始め──
──第一関門、ロボインフェルノだ!!』
プレゼントマイクの声が響く。
さて、どう突破するか。そんな事を考えるハジメの横で轟は動いた。
「せっかくならもっとすげえもん用意して欲しいもんだな………クソ親父が見てるんだから」
そんな一言と共に振るわれた右手。
次の瞬間、一体の巨大ロボが足元から凍っていく。
それを確認し走り始める轟はロボの足の間を抜けていく。
そんな轟の後に続く他の生徒たち。
「あいつが止めたぞ!あの隙間だ!通れる!」
それはまずいと、ハジメは1歩引き別のロボへと向かって走り始めた。
直後、前へと向けて倒れ込んでくる氷漬けのロボ。
不安定な体勢で動きを止めたことによる転倒。攻略と妨害を一手で済ませた。
それを横目に、ハジメの元へ振り下ろされる巨大ロボの腕。紙一重で躱し、それに飛び乗る。
そのまま装甲の隙間につま先を引っ掛けて走り登る彼。誰も真似出来ない芸当を軽く見せてくる。
肩まで到達すれば、そのまま踵をロボの装甲に付け、引き擦るように減速し滑り落ちる。
地面と近くなれば蹴りだし前へ。そのままトップスピードで走り出しすぐさま轟へと追いついた。
『依然として轟とハジメの2トップ!轟は一度に攻略と妨害を!こいつぁシヴィー!!ハジメはもうアレだな!やべぇな!色々と!人間業じゃねぇー!!』
そんな実況に熱狂するスタジアムのプロヒーローたち。
そんな中、轟とハジメは既に第二関門へとやってきていた。
「お、綱渡りか」
「…………」
少しワクワクが前のめりのハジメと無言の轟。
綱へと足を進める両者。
そんなふたりの前には崖と崖を繋ぐ縄。それが枝分かれするように広がる道とも呼べない道。
下は真っ暗で見えない穴。
もはや落ちたらどうするの?と疑問をなげかけたくなる雄英が用意した障害物。
そんな場所を氷で足場を作り落ちないようにする轟と、驚異的なバランス感覚を武器に難なく走りすすめるハジメ。
各々が別の縄を選び妨害なんてできない。もはや単純な走力と最短距離を選ぶ判断能力の勝負。
『さて、お次!第二の障害物はこれだ!!落ちればアウト!それが嫌なら這いずりな!
──ザ・フォーーーーール!!!』
着々と前に進むトップ2。
その2人が中間まで来た時、後続もまた第二関門へ到達。プレゼントマイクの声が響いた。
「みんなも追いついてきたな……」
後ろをちらりと見れば縄へと進む後続者たち。
負けられないとばかりにハジメはさらに速度を上げた。
しかし横を見れば遠くで縄を凍らせ悠々と足を進める轟が見える。
縄を走ってるとはいえバランスを取らねば落ちるハジメ。その走りは全速力では無い。
このままだと轟に差をつけられる。そう感じた彼は縄をつかみ、ぶら下がったまま前後に揺れた。
「……うん、行けるな」
そう言って、彼がとった行動はその揺れを利用した縄から縄への大移動。
ターザン、猿……見ている者達はそんな感想を持った。
しかし、これで轟に大きな差をつけられることは無い。驚異的な速度で追いつくハジメ。
『おいおいなんだありゃ!?バケモンすぎるだろ!相変わらずクレイジー!』
そんなプレゼントマイクの声が響く中、轟とハジメはほぼ同時に第二関門を越えた。
「また会ったね」
「……チッ」
気さくに話しかけるが返ってくるのは舌打ち一つ。
ハジメのテンションが下がった。
しかしそんな中、背後から聞こえてきたのは爆発音。
ハジメがちらりと見れば、手のひらの爆発を利用し空を飛び進む爆豪がすぐそこまで来ていた。
──スロースターター……調子上がってきたっぽいな
すぐさま視線を前に戻し走りに集中。
順位変わらず轟1位、ハジメ2位の構図のままやってきたのは最終関門。
『先頭が一足抜けて下はダンゴ状態!上位何名が通過するかは公表してねえから安心して突き進め!そして早くも最終関門!かくてその実態は……一面地雷!怒りのアフガンだ!!!』
よく見れば地雷の位置はわかる仕組み。
さすがの轟もハジメも最新の注意を払って進むため速度は落ちる。
「……これ踏んだらどうなると思う?」
「…………」
ハジメの問いに轟は無言で返す。ハジメは落ち込んだ。
さてそんな中、背後から迫ってくる空気を震わす轟音。これは爆発音だろう。
そんな音が段々と近づいてきており、そして──
「──俺は関係ねえー!!」
「「っ!」」
「てめえら、宣戦布告する相手間違えてんじゃねえよ!」
そんなセリフとともに手のひらを向けてくる爆豪。
轟もハジメも地雷を避けながら器用に避ける。
『ここで先頭が変わったー!喜べマスメディア!お前ら好みの展開だ!』
爆豪の爆破を躱し、反撃もするが足場は地雷、さらに空中にいる相手。圧倒的な不利。それでも轟と爆豪の進行を邪魔しつつ並走する無個性の男。
そんな展開に会場は白熱する。
足を引っ張り合いながらもトップを走る3人。このまま3人がゴールテープを切る。誰もがそう思っていた時だった。
BOOOOOOOMッ!!
「「「っ!?」」」
後方からの大爆発。
トップの3人のみならずその場の誰もが唐突な轟音に驚き振り向いた。
『後方で大爆発!?なんだあの威力!偶然か故意か、A組緑谷!爆風で猛追!!』
空を飛来する緑谷。
惚けるトップ3人。
やがて、3人の背中に追いつき、そのまま──
『──つーか、抜いたぞおい!』
頭上を超え、トップに躍り出る。
それを見て、小競り合いしてる場合じゃないと判断した3人はすぐさま緑谷の背中目掛けて駆け出す。
「こらデクてめぇ!俺の前を行くんじゃねえ!」
……1人は空を飛んでるが。
轟もまた氷を生み出し地雷の上に安全な道を作り前へと進む。
そして、ハジメはと言うと。
「爆風と音だけで威力はそこまで。何より爆発するより前に前へと走ればいいか。うん、問題なし」
爆発なんてお構い無しとばかりに走り出す。
空を飛ぶ爆豪、道を作る轟、脳筋のハジメ。
そんな3人はすぐに緑谷の元へとたどり着いた。
そのまま抜き去ろうと……だが、緑谷も負けじと彼らを足場に体制を整えた。
そのまま第一関門のところから担いできたロボの装甲を手に握りしめ、それを地面へと向かって叩きつける。すると当然それに反応した地雷は大爆発。
「くそ…!」
「チッ……」
「……っ」
爆豪、轟、ハジメを巻き込む爆発、そして、それの爆風によりさらに前へと躍り出た緑谷。妨害と進行の同時実行。
ひるませるには十分。しかし、ここで直ぐに足を動かしたのはハジメだ。
距離はそれなり、しかしハジメの脚力により緑谷との差は徐々に縮まっていく。
『ラストでとんでもねえデットヒート!緑谷、間髪入れずに後続妨害!なんと地雷原即クリア!イレイザーヘッド!すげぇなお前のクラス!どういう教育してんだ!?』
『俺は何もしてねえよ。奴らが勝手に火ぃ付け合ってんだろ』
トンネル内へと入り、正しくラストスパート最後の一直線。
緑谷とハジメの距離はだんだんと近づく。
『さァさァ!序盤の展開から誰が予想できた!?今1番!スタジアムへ還ってきたその男──
──緑谷出久の存在を!!』
しかし、あと一歩、誤差と呼べるほどの差で緑谷に軍配が上がった。
悔しい、それもあるが、本気でやって負けたことに対する爽快感。やはり競い合いっていうものはこうでなくてはならない。
熱気がさらに上がる会場の中でハジメのテンションもまた上がっていた。
「ふぅ、負けた。おめでとう」
「え、あ、い、いや……そんな僕なんて運が良かっただけで。使えそうなものが使えただけでラッキーパンチみたいなものだから……」
「…………」
ハジメの言葉に照れた様子の緑谷。
そんな彼の様子を見てハジメは苦笑いを浮かべながら口を開いた。
「謙遜は美徳だけど行き過ぎれば卑屈で他人から見れば嫌味だよ」
「え?」
「過程はどうあれ事実として1位を取れたんだ。傲慢は論外だけどヒーロー目指すなら少しは胸を張るべき……だと俺は思うな。じゃないと2位から下の俺たちが惨めになっちまう。1位なら1位らしくもっと笑ってようよ」
「っ!」
ハジメの言葉にハッとした表情の緑谷。
自分の頬を叩き、そうして彼は目の前の"尊敬する無個性の男"と目を合わせた。
「うん、そうだね。ごめんハジメくん」
「いいよ、次も頑張ろうねお互い」
手を挙げハイタッチを要求するハジメ。
それに対して緑谷も少し躊躇ったが、やがて満面の笑顔でそれに応えた。
ヒロアカも終わってしまった……。
この頃(体育祭)はめちゃくちゃ平和だったんだなあって。