皆さん初めまして,ヤチホコと申します!
初心者なので拙い点も多いとは思いますがお付き合いくだされば幸いです。
1話 転生
~~ユグノア王国~~
ここはこの世界”ロトゼタシア”で最も長い歴史を誇り,現在この世界の地上に存在する四つの大国の総称である四大国の一つにも数えられるユグノア王国。
この日のその王城では,多くの祝いの声と静かなる緊張が漂っていた。
「アーウィンさま! このたびは記念すべき祝杯の日にお呼びいただきありがとうございます!」
「ご子息のご誕生は私たちにとってもよろこばしいことですわ。本当におめでとうございます!」
煌びやかな衣装に身を包んだ人々が一人の男に口々に祝いの言葉を述べている。
「皆さまありがとうございます。本日は我が国ユグノアにとって特別な日。祝杯の宴をゆっくりとお楽しみください」
それに答えるアーウィンと呼ばれた男はこの国の国王だ。
彼は王族の血筋ではなく王女の護衛隊長という立場だったが,その優しい人柄と心の強さから王女の心を射止めて婿入りした男で,ユグノア最強の騎士でもある男である。
彼と王女の間にはつい先日,この国の王子となる息子が産まれていた。
この日はその子供のお披露目と,とある“もう一つの目的”のために他国の王を始めとした様々な人物がここユグノア城に集まっている。
その時,参加者から祝いの言葉をかけられるアーウィンのもとに近づいてくる人物があった。
彼に気がついたアーウィンは友好的な雰囲気で話しかける。
「クレイモラン王。ようこそユグノアへ」
その人物はクレイモラン王。
四大国の一つ,雪の国クレイモランの国王であり,世界でも有数の知恵者と名高い人物でもある。
そんな彼が口を開く。
「4つの大国の王が一堂に介するなどわしが知る限り前代未聞の事態じゃて。それほどご子息……伝説の勇者は我々にとって重要な存在だということ。本日の会議,楽しみにしておりますぞ」
そう。この日,各国の王たちが集まるもう一つの目的は,アーウィンの息子で〈勇者〉の生まれ変わりとされるユグノアの王子に関することを話し合うために,四大国の国王が集まって会議を行うことである。
「我が息子のため,遠方から来訪していただき心より感謝いたします。四大国会議が始まる際にまたお声をかけさせていただきます。私は準備がありますのでこれで……」
そこから立ち去ろうとするアーウィンだったが,そこに兵士が駆け込んでくる。
「アーウィン様! サマディー王がお越しになられました!」
「なにっ? すぐにお通ししろ!」
するとすぐに彼はやってきた。
「やあやあ! ひさしぶりですなアーウィン殿! このような盛大な宴での歓迎感謝いたしますぞ! ふははは!」
そう言って笑いながら護衛の兵と共に部屋に入ってきたのは,オールバックで固められた髪,全身を覆う鋼のような肉体,上半身の露出が多い服と,紋章のついたマントを身に着けた男だった。
彼こそが四大国のひとつである砂漠の国サマディーを束ねるサマディー王である。
彼は王子時代から様々な逸話を残し,王となってからも精力的に活動してサマディーをこの世界でも1,2を争う大国に押し上げた傑物で,その実績や卓越した武芸の腕前により国民から絶大な信頼を得ている。
……原作をプレイした経験のある方はここで思うかもしれない。
「いや誰?」と
原作の彼はプレイヤー視点から見ると,国宝をたびたび売却しようとすることや楽観的な発言が目立ち,頼りなさが目立っているのに加えて,公式からもお金の管理が下手でずぼらと言われてる人物で,長所はおおらかさだと言われている。
また,この後に始まる四大国会議では「勇者がいる限りこの世界の平和は約束されているのでは?」と自分で言っておきながら、魔物の襲撃時には「だ,誰だ勇者がいれば大丈夫だなんて言ったヤツは!?」などと叫ぶギャグ要員と化していた。
しかし,この世界の彼は違う。
「(遂にこの時が来たか。ちょっと早いかもしれないけど原作が始まったって気がするな~)」
彼は現代日本から記憶を保持してこの世界に生まれ変わった転生者だった。
「(よし! せっかくの知ってる場面だしこれは言っておかねば!)」
「……本日の四大国会議はロトゼタシアの今後を決める重大な会議。我が国サマディーだけのけものにはさせませんからな! ひとつよろしくお願いしますぞ」
これは,なんの因果かサマディー王に転生してしまった男の物語である。
~~サマディー城~~
ここはそれより数十年も前のサマディー王国。
城の廊下では,大柄な男性がある部屋を目指して全速力で疾走していた。
彼は目的の部屋の前に着くなりその部屋に駆け込み叫んだ。
「でかした! これで我が国も安泰じゃ! それにそなたも無事で本当に良かった! さぞ疲れておろう。今は無理をしてはいかんぞ」
それに対し,ベッドに横たわりながら,恐らく生まれたばかりであろう赤子を抱きかかえる女性は答える。
「はい,私は大丈夫です。それよりもほら,私たちの子供ですよ。あなたも早くこの子を抱いてあげてください」
「おぉ! わかった。よーしよしよし,そなたに似て優しい顔立ちをしておるわ」
「ふふふ,私はあなたに似て勇ましい顔つきをしていると思いますわ」
仲睦まじく話す二人はこの国の国王夫妻であり,彼らは念願の子供の誕生に幸せをかみしめていた。
部屋に控える使用人たちもみな笑顔で,この瞬間を祝福していた。
そしてそんな空間の中心にいる赤子はというと……
「(んんんんんんん!? えっこれ何がおきてるの!? 目が見えないよ!?)」
絶賛大困惑中であった。
「(ここはいったいどこ!? 先ほどから話してるあなた方はいったい誰!?)」
「おおどうしたわが子よ。安心するとよい。そなたのことはこの父がなにがあっても守ってやるからな」
「(父!? てことはもう一人は母親かな? でも俺の両親はもう亡くなってるはず……ん? ちょっと待ってさっき我が国っておっしゃりました? どういうこと?)」
「そなたはこのサマディーをついで立派な王になるのだ。健やかに育ってくれよ」
「(サマディー? なんとなく聞いたことのある響き……ひょっとしてドラクエ11のサマディー!? なんとなく読めてきたぞ。これはもしやドラクエ11の世界に転生してしまったのでは?それにサマディーで国を継ぐということはファーリス王子に転生したということでお間違いありませんかお父様?)」
「あなた,そういえばこの子の名前はもうお決めになられましたか?」
「おおそうだったな。うむ,もちろん決めてあるぞ! この子の名前は……
――ハムザだ!!」
「(いや誰~~~~!?)」
こうして一人の男がロトゼタシアの大地に生を受けたのだった。
お読みくださりありがとうございました!
それではまた!('ω')ノシ