我が国だけのけものにはさせませんからな!   作:ヤチホコ

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2話 これからどうするか

~~サマディー城・王子の部屋~~

 

皆さんどうも! 転生者ハムザ君です!

 

実は俺が産まれたあの日からだいたい8年が経ったから,その間にわかったことを話していこうと思う。

 

まず,この世界は俺が予想していた通りドラクエ11の世界だということは間違いないと思われる。

 

何故かって? 実は俺が今いる自室には世界地図が飾られているんだけど,その内容がゲームプレイ中に見たロトゼタシアの地図とほとんど同じだったんだよ。

 

流石にあの地図より荒いし外海の島の中には描かれていないところもあるけれどね。

 

しかも,城内の人々の会話を聞く限りでは時々「デルカダールのモーゼフ王子が~」とか「今度バンデルフォン王国から高名な画家が~」なんて話を耳にすることがある。

 

……そうだね。デルカダールのモーゼフと言えば,原作では魔王ウルノーガに体を乗っ取られて勇者一行と対立することでおなじみデルカダール王の名前だね!

 

それにバンデルフォン王国は原作開始の30年前にはすでに魔物の大群に攻められて滅亡しているとされる国の名前だ。

 

そんな世界の状況の中で俺はサマディーの国の王子ハムザとして産まれている。

 

つまりだ……

 

速報)オレ,原作開始前のサマディー王子(原作のサマディー王)に転生する。

 

うん。もうね,自分にどうしろって感じですよ。ていうかサマディー王ってこんな名前だったんだね。

 

もしファーリス王子に転生していたら,原作の王子より訓練に励んだり原作知識を活用したりして,勇者一行を陰ながらサポートして原作より平和な王族ライフを満喫しようと思ってたんですよね。

 

でもサマディー王って! 昔は勇敢な騎士だったらしいってことと,王としては色々と頼りないけどロウからは意外に評価高くて,おおらかなおっちゃんってことぐらいしか記憶にないよ!

 

……いや俺はサマディー王面白くて好きだけれども!

 

そもそも原作がいつ始まるのかわからないし,わかりそうな出来事となるとバンデルフォン王国の滅亡以外だと勇者誕生が原作の16年前だから,四大国会談がおこったら16年前ってわかるくらいでは?

 

一応原作キャラの大体の年齢でも予想が……つくといいなぁ。

 

原作キャラたちの正確な年齢なんてわからないし参考程度にしかならなさそうな気がする。

 

だってデルカダール王とかクレイモラン王とか原作時点でめちゃめちゃおじいさんに見えるのに娘があんなに若いんだよ!? 見た目と自分の中のイメージで判断するのは至難のわざじゃないかなぁ。

 

そうなると原作のイベントに備えるのが難しくなる気ががが。

 

でも朗報と言えるのかわからないけれど,原作を見る限りではサマディー王国って他の大国と比べるとびっくりするほど魔王やらなにやらの被害に遭ってないんだよね。

 

間接的な被害は出ているが,国が亡んだりほぼ亡ぶほどではない。

 

理由として考えられるのは,魔王がこの国の上空に浮かぶ”勇者の星”に眠る邪神を警戒していたからとかいろいろ考えられるけど,この国の付近って勇者にとって大事なものが色々あるんだよ。

 

勇者の剣を作るための鍛冶場があるヒノノギ火山とか,この国にもそれに必要なガイアのハンマーがある。

 

結局はこの国の被害が少なかった原因は憶測の域を出ず不明のままなので,自分というイレギュラーがある以上はこの後も大丈夫だという根拠のない自信は持たない方がいいだろう。

 

やっぱり朗報でも何でもないや。

 

ここで8年間も生活しているうちにこの国にも愛着が湧いてきたし,この世界で生きていくことに対する抵抗感のようなものもなくなっている。

 

よってこの国を守るために〈作戦名:サマディーだいじに〉発動! これから起こる困難に備えよう!

 

ということで,まずは兎にも角にもこのサマディーという国をもっと強化しなければならないと考えている。

 

そもそもゲームプレイ中から思ってたんだけど,この世界の国ってデルカダールの影響を受けすぎじゃありません?

 

ゲーム中はデルカダール兵たち世界中に湧いて出てきてたし,勇者が悪魔の子だという話も基本的に誰も疑っていなかった。

 

そりゃあ世界一ともいえる大国のデルカダールとの関係は色々と重要だろうけど,将来魔王に乗っ取られることを知っている身としてはあまり頼りすぎるのも怖い。

 

しかし,このサマディーという国の現在の領土はそのほとんどが砂漠地帯だ。

 

肥沃な大地が多く広がる中央の大陸と比べると農作物などを育てるのにはどうしても向かないと言えるし,それは国の食料の安定供給,ひいては国の発展にも大きく関係してくる。

 

そのような環境が魔王軍からの警戒度を低めたのかもしれないが,自分が考えるにあまり関係ないんじゃないかな。

 

言っちゃあ悪いが,同じく四大国,この時代だと五大国のひとつであるクレイモランもあまり豊かな土地ではない。

 

国に蓄えられた知識を脅威と考えたのかもしれないが,勇者の剣関連より重要かと聞かれると微妙だ。にもかかわらず,魔王は六軍王を配置していた。

 

あれは"マヤ"の存在がちょうどよかったからと言われればその通りだが,ならばそれこそ国の発展を躊躇する原因足りえない。

 

個人的には,サマディー地方の産業の振興に加えて,この国の東西のダーハラ湿原やホムスビ山地方面への進出を行いたいところだ。

 

現在のサマディーの経済を支えているのは観光業で,国の歳入の大部分を占めている。

 

この部分はそのまま,いや,規模を更に拡大していきたいと思っている。

 

なぜなら,この世界において砂漠地帯はこのサマディー周辺にのみ存在するものだから,その利点を生かしてアッピーールしていきたい!

 

サーカスも人気で,外国から人気の芸人を呼び寄せたりすることもあり,ここで芸を披露することはその道の人間からすればたいへん名誉な場であるらしい。

 

あと一応競馬,つまりギャンブルだね,これも大きい。なにせサマディーのレース場は世界最大で,観光業とも密接に関係してくる。

 

レースをやっていない時でも騎士たちの訓練なんかにも使えるという効果もある。

 

サマディーの軍事力は騎士の国というだけあって高い水準を保っており,全員が高いレベルで馬を乗りこなすことが出来ることもあって,騎士たちの平均的な能力であれば世界一かもしれない。

 

しかし突出して強い人材が出てこないのは悩ましいことだが。

 

領内では軍馬を育成しており,その馬もサマディーの過酷な環境でも生きられる優秀な馬たちだ。

 

ただ騎士の数があまり多いわけではなく,中でも魔法兵があまり多くないので,これからはそちら側にも力を入れたい。

 

魔法兵は戦闘だけでなくいろいろなところで役に立つと思うしね。

 

それに,我が国サマディーは砂漠の国だけど,砂漠といっても本当に砂しかないわけではない。

 

バクラバ砂丘のあたりは石群と砂ばっかりだけど,それ以外の場所は意外と木や草も生えているし,動物もいるしオアシスもある。

 

南にはサマディー唯一の鉱石採掘所もある。

 

……もちろん魔物もいるよ!

 

だから農畜産業もできないわけじゃないんだよね。

 

サマディー城はちょうど大規模なオアシスの近くに造られていて,農業はそのオアシス周辺を中心としてそこそこの規模でやっている状況で,畜産業は盛んではなく,動物は軍用の馬の飼育が中心だから食料の輸入量はやっぱり多い。

 

そのあたりはある程度は仕方ないと思うけど,乾燥に強い穀物を育てる研究や,砂漠で自生している植物の中でも食料になりそうなものや輸出するくらい需要を見込めそうなものやを探すことで農畜産業も拡大していきたい。

 

ドラクエの世界なんだから俺の知らないような特徴の植物や動物がいる可能性も高いというのもあるしね!

 

その面ではこの国の西に広がるダーハラ湿原方面は,食料生産の面では開発の余地がある土地だと思う。

 

あそこの東側の土地には農業に適していそうな土地があったし,そこ以外の湿原部分もいろんな植物が生えてた記憶がある。

 

それにあそこには南の大陸唯一の天気予報ウシがいる。……あのウシ増やせたりしないかな?

 

あのウシが特殊なだけの可能性はあるけど,規則性は不明だが天気予報ウシは様々な環境の場所に生息しているので,この世界のウシはあそこの環境で育てることが出来る可能性もある。

 

また,中央部には鉱脈があった気がするんだよね。

 

しかも鉱石が露出していたってことは比較的浅い層にある程度の量があるだろうから採掘にかかるコストも少なくて済むだろう。

 

それになんといってもダーハラ湿原と言えばダーハルーネの町だ。

 

軽く調べたところ,どうやらあそこはまだろくに使われていない船着き場があるだけのようなので,ラハディオが港を開発する際に一枚かんで影響力をもっておきたいところだ。

 

あそこはおそらくこの大陸では数少ない内海に出れる良港だからね。

 

しかもあの町の近くの霊水の洞窟は清浄な水が流れており,原作でもさえずりの蜜という薬の材料に使われているので,商品としての価値も十分にあるだろう。

 

軍事力の強化に必要な兵士の装備の充実の面では,ホムラの里の存在も重要だと思う。

 

この国の東にあるヒノノギ火山の近くのホムラの里は鍛冶が盛んであり,原作では物語が進むと魔王にも通用する装備を販売するようになっていたはずだ。

 

あそこほどあからさまに町ぐるみで鍛冶をやっている町も珍しいだろうし武器防具以外にも生活に必要な調理器具なんかの金属製品も作っているだろうからここもどうにかして影響力を強めたい。

 

原作でもサマディーの騎士の装備を手掛けていたらしいし,援助して装備の質を上げるとともに,サマディーの交易圏に組み込みたい。

 

あそこは鉱物資源も自給できているっぽいのもいいところだ。

 

あっ!しかもそういえばこの大陸の南にはナギムナー村があったはずだ。

 

あの村は南の大陸にあるものの,サマディーやホムラとは山に遮られていて海に面しているため古くから漁業が盛んで,腕のいい船乗りも多い。

 

ということはこの大陸の南の海は漁場としても有用ってこと?

 

ダーハルーネを整備できたら内海でも試してみたいけど,あっちは貿易港としての利用が主になるだろうから南側にも漁港として港を作るのもいいかもしれない。

 

漁業が成功すれば食料事情もいくらか改善されると思うしね。

 

となるとこれは早めに手を付けた方がいいのかな? 候補地としてはダーハラ湿原との境にある浜のあたりが良いだろうか。

 

あーもう!いろいろ考えて頭がパンクしそうだ!

 

とにかくこれらの地域への影響力を強め,サマディーの軍事力でそれらや他国を繋ぐ交易路の安全を確保すればその経済効果はなかなかのものになりそうだし,将来的にはその方向で考えておこう。

 

幸いにも時間はまだまだあるんだから少しずつやれることをやっていけばいいや。

 

そう考えて俺は自室のベッドでぐでーと力を抜いて寝転がる。

 

――コンコン「ハムザ王子!」

 

ん? なんだろう?…っといけない。王子モードに切り替えて対応せねば。服も整えてっと。

 

「どうした。入ってくれ」

 

「は! 失礼します! 王様がお呼びです。玉座の間へ来るようにと仰せつかっております」

 

「父上が? わかった。すぐに向かうとしよう。父上にもそう伝えてほしい」

 

「は! それでは自分はこれにて!」

 

父上からの呼び出し? なんだろう……色々と考えながら謁見の間へと向かう。

 

なにかやらかしてしまったのかな? でも自慢じゃないが俺は優等生として振る舞えている自信がある。

 

勉強は前世の知識に加えて今世でも自分の教育係から教えられる以上のことも貪欲に学んでいるつもりだし,運動も剣術や馬術は周りの同年代とは比べ物にならないほど上達していると自負している。

 

特に馬術はこの国では非常に重視されていることから自分も力を入れており,騎士たち相手でも圧勝できるレベルにある。

 

正直に言ってしまうとこれが転生特典なのではないかと疑っているくらいの得意分野だ。

 

また,この国で重んじられている騎士道の精神も意識して行動しており,周囲の評判も悪いものは聞こえてこない。

 

まぁ聞こえるところで悪口は言わないだろうけどね。

 

この成長はもちろん自分の将来に向けての努力の効果もあると思うが,この体のスペックが予想以上に高いことも大きいだろう。

 

なんせ原作ではサマディー王子のファーリスはたいして訓練していない状態で気持ちだけであのデスコピオンと打ち合えるのだ。やっぱりこのドラクエ世界の血統パワーは馬鹿にできないと感じる。

 

そんなことを考えているうちに謁見の間に到着したようだ。

 

「父上! お呼びと聞き,ただいま参上いたしました」

 

すると父上は玉座から降りてこちらへ近づいてくるので身構えてしまう。

 

 

 

「騎士たるもの!」

 

 

 

「信念を決して曲げず国に忠節を尽くす! 弱きを助け強きをくじく! どんな逆境にあっても正々堂々と立ち向かう!」

 

 

すると父上は満足そうな顔をする。

 

「うむ,よろしい。今日も騎士道精神を忘れていないようだな。そなたはまだ幼いながらも城の者や城下の民からの評判も良い。これからも精進するのだぞ」

 

「はい! これからも父上や皆の期待を超えることが出来るように日々研鑽を重ねます!」

 

おお! これは雰囲気的にお叱りを受けるわけではなさそうだ。それにしても,もはや口が勝手に動くぐらいこの受け答えが染みついたな。

 

「早速だが本題に入ろう。実はそなたの剣術の教育係から聞いたのだが,そなたの腕前はもはや子供の域ではないというではないか。あの者は騎士たちの訓練に混ぜるべきだと言っておるのだが流石にまだ8つの子供にそれは酷だろうと言う者もおる」

 

ええ!? あの爺さんそんなこと言ったんかい! 確かに強くなりたいしレベルの高い環境はバッチコイだけども! 流石に早すぎやしませんかね?

 

俺はまだ8歳だが身長は同年代よりはるかに高く,体格もがっしりしている。……原作では小柄な俺だったが,もう既にロウなんかとは比べ物にならないぐらい大きいだろう。

 

ちなみに体重は「しかし……」え? なんです?

 

「しかしそなたがそれを望み,なおかつ相応の能力を持っているのならば親として叶えてやりたいとも思うのだ。そこでだ,今度行われる御前試合に参加してみんか?そこでの試合の内容次第では許可しようと思うのだが」

 

……ほーう。なるへそなるへそ。おっしゃりたいことがなんとなくわかってきましたよ父上?

 

よろしい! このハムザ・サマディー! その提案に乗りましょうぞ!

 

ん? ちょい待ち。これってさっき考えてたことを進言する機会を作るのに丁度いいチャンスでは?

 

「もちろん参加させていただきます。日々の鍛錬の成果,父上にお見せいたしましょう! そこでお話があるのですが,期待に応えられた暁には,私がこのサマディーを変えると確信している計画の内容をご一考いただけますか?」

 

そういって頭を下げる。

 

騎士の訓練に参加する条件の試合なのに少し図々しいかもしれないが,いかに王子とはいえこんな子供の意見では御前試合で度肝を抜くような結果を出すぐらいのインパクトを利用しないと真面目に取り合ってもらえないかもしれないと思ったからなんだが。

 

どうだろうか?

 

「ふーむ。良いだろう。そこまでの自信があるならば試合の内容次第では考えようではないか」

 

よし! 言質を取った! 別に採用すると言われたわけじゃないが,それでも十分な成果だ。よし,御前試合までの期間は今まで以上の猛特訓だ!




あの世界の住人の年齢どうなってるんですかね?
はやく原作キャラ出したいでござる…

それではまた!('ω')ノシ
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