ムウレアからの帰路の出来事を書いた24話です! どうぞ!
~~内海~~
皆さんどうも! 船の甲板で夜風に当たりながら黄昏るハムザ君です!
ムウレアで別れの挨拶を交わした後に海上まで連れていってくれた人魚とも別れて内海を航行中でございます。
現在はもう内海の西側に来ており,そろそろソルッチャ運河が見えてきてもおかしくない頃合いだと思う。
ちなみに今は見張りの交代の時間で,俺はついでとばかりにその間の見張りを買って出たため周りに人はいない。
「王子,ここにおられましたか」
そんなことを考えていた矢先に,船室からDさんが出てきた。
「……ああ,次にこの辺りまで来るのはいつになるかわからんからな。少しでも景色を目に焼き付けておこうと思ったのだ」
これは半分本音だ。おそらく次にここまで来るとしたらダーハルーネの町ができるくらいの時だろう……まだ少し先だろうな。
ちなみになぜ半分なのかというと……さっきまでセレン女王からの鬼電に対応していたからなんだよな~!
最初に貝が震えた時はすわ緊急事態かと思ったのに,ただの愚痴だった時の俺の心情を察してほしい……。
しかもあの人は2人であった時のように軽いノリで話しかけてくるものだから,彼女のイメージを損ねないためにも周りに聞かれないように場所も考えなければならない。
そのあたりも彼女にオブラートに包みながら伝えたので,「今暇~?」みたいなノリで連絡してくることはなくなると信じたい。
「なるほど……ですがそろそろお休みになられた方がよろしいかと。見張りは私が代わりますので。それにしても,天気が怪しくなってきましたな。これは一雨降るかもしれませんぞ」
そう言われて上を向くと,確かに雲行きが怪しい気がする。となるとそろそろ中に入った方が良いかもしれない。
「ふむ……では船室に――」
――ドガーーンッッ!!
「「!!」」
俺がそこまで言ったところで突如として船が大きく揺れた。
俺たちが急いで原因を探ろうと船の周辺を確認すると,俺たちの船の側面にいつのまにか一隻の見知らぬ船が出現していたのだ。
「こ,これは一体!?」
Dさんが慌てているが,俺もかなり驚いた。いくら視界の外だったとはいえ,まさか見張りの意識自体はあった俺がここまで接近されて気が付けなかったとは!!
後ろの船室からも休息をとっていた騎士たちがこの事態を認識して出てきた。既に武装しているという点は流石だな。
「総員! 武器構え! 右方に出現した正体不明の船を警戒しろ!!」
俺がそう指示するや否や騎士たちが素早く動き始めるが,それと同時にその船から梯子が投げられ,いかにも賊といった格好の者たちが素早く乗り込んできた。
ちっ! 後手に回ったか!
船に降り立ったそいつらは俺たちの動きを警戒しながらも話し始めた。
「俺たちは泣く子も黙る"ドン・カンノーリ盗賊団"だ! 命が惜しければおとなしくしてな!」
従うわけないだろアホかと言って斬りかかってやりたいが,俺の感覚すら欺いた何かの正体を探るためにも少し会話を続けるか。
「ほう,それは我々がサマディーの騎士だと知った上での発言か?」
「ああん? んなことはわかってんだよ! 大国の船なら金目のモンもたくさんあんだろ! 言っとくが俺たちに勝てると思ったら大間違いだぜ? 俺たちのボスであるドン・カンノーリ様の持つ強力な宝の力にゃかなわねえだろうからよ!」
「それは怖いな……どんな宝があるのだ?」
「はんっ! いいぜ教えてやろう。まずは気配を消す魔法の杖だな,お前らも俺たちの存在にさっきまで気づかなかっただろう! 次にボスの持つ斧は"カイロスアックス"って名前の「しゃべりすぎなのよ!!」ぐぼぉ!!」
……なるほど,アイテムの力だったのか。それにしても喋っていた奴をぶちのめしながら出てきたこいつは……。
「ごきげんよう格好いい騎士さん? アタシがドン・カンノーリよ。この子が少し喋っていたけど,アタシはとっても強いのよ。どう? アタシの部下にならない? アタシと一緒に甘ーい罪を重ねましょう?」
……
そんなもの答えは決まっている。今一瞬悩んだように見えたのなら気のせいだ。
「ふっ,興味深い提案だな。……だが断る! 我らに手を出したことを後悔させてやろう賊め! 総員! かかれえええ!!」
「「「はっ!!/プチッ!!」」」
「生意気な…! いいわ,なら力ずくで手に入れるまでよ! あんたたち! やっておしまい!!」
「「「おうっ!!」」」
――ザーザー
いつの間にか降り始めていた雨の中,俺たちは戦いに突入したのだった。
・
・
・
結論からいうと,俺たちは勝利した。
俺は敵の頭であるドン・カンノーリと戦ったのだが,確かに多彩なアイテムによる手数の多さには驚いたものの,海神のつかいを始めとした数々の強敵との戦いを経験してきた俺にとっては大した脅威ではなかった。
部下たちも危なげなく戦闘を進めて,一人の犠牲者も出すことなく完勝することが出来たのだ。
まぁ賊に負けるようでは俺たちの騎士としてのメンツが丸つぶれになってしまうわけだから当然とも言えるが……。
だが! ひとまずそれはお・い・て・お・き!!
兎にも角にも見てくれこの宝物の数々を! ドン・カンノーリの所持していたものに加えて,奴らの船を改めた際に見つけて接収したものも合わせるとかなりの数になるぞ!!
ヒャッハー!! この戦利品はもう全部我々サマディーのものだ!!!
奴の持っていたものは戦闘の影響で破損していたものもあり,特に気配を消す魔法の杖が折れてしまい使えなくなったことは残念だが,それらも国の研究所に預ければ何かしら有効活用してくれることだろう。
……と,ここまではいいんだ。
俺は奴らの持っていた宝の中からそっと1つの"宝玉"を手に取る。
あまり考えたくないことだが……この黄金に輝く見た目とそこから感じる力からして……ひょっとしてこれ"イエローオーブ"じゃね?
ちなみにこのオーブというものが何かと言うと,原作において非常に重要な役割を持つアイテムであり,勇者一行が空に浮かぶ"命の大樹"に向かうための必須アイテムだ。
つまりストーリーにめちゃくちゃ絡んでくるキーアイテムなわけだ。
そんなアイテムなんぞ扱いに非常に困る……。
だがここで朗報! そんなオーブの中でも,このイエローオーブは同じくオーブである"シルバーオーブ"と並んでストーリーイベントにあまり絡まないことに定評のある一品なのである!
イエローオーブは,原作では勇者が"ロウ"と"マルティナ"という仲間を迎え入れるイベントである仮面武闘会という大会の準優勝の景品なのだが,オーブの有無そのものはそのイベントとなんの関係もない!
むしろそのイベントで景品を盗まれるような杜撰な管理をする運営に任せるのは非常に不安である。
つまり何が言いたいのかというと……コレ,もらってもいいよね?
「プチ! プッチ!」
「オセノンも今回はよくやったな。」
「プチ~♪」
自身の活躍を主張するオセノンをそう言って撫でてやる。オセノンも"ヒャド"を巧みに使って戦いに貢献していたね!
そんなやり取りをしていると,Dさんが近づいてきた。
「王子! 捕らえたものたちの収容が完了しました!」
「ご苦労。それで,奴らについて何かわかったのか?」
「はい,確かドン・カンノーリ盗賊団というとバンデルフォン王国の船の襲撃を成功させたことで,かの国に指名手配を受けていた者たちであったと記憶しています。先ほど奴らから得た情報を基に考えても間違いないかと」
わお,マジかよ。
俺が驚くのにも理由があり,実はこの世界に来て知ったのだが,バンデルフォン王国はかなりの強国だ。
国土も豊かで軍も強い。そして現在国を治めているバンデルフォンの国王であるアーサー王は"獅子王"とも呼ばれ,名君として名高い。
そんな強国の手本のような国の海軍がどんな形であれ賊に負けたとは…なるほど今回奴らが俺たちに仕掛けてきたのも勝算があってのものだったわけだ。
「そうか……ではあちらにも話を通しておくべきだろうな。それにしてもバンデルフォンか……」
完っっ全に逆方向ですありがとうございました! ……さてどうしようか。
「……ここは予定通り帰国する。奴らを引き渡すにしてもそれからで良いだろう」
流石に戻る元気はない! 帰る!!
……あと宝物は渡さないからね! これを奪おうとするなら戦も辞さない!! ……というのは流石に冗談だが。
「承知致しました。ではそのように……」
その後も俺たちはそのまま話をまとめていった。
話の合間に俺がなんとなしに外を見ると,いつの間にか雨は止んでいた。だが俺はその様子を見てもなぜか落ち着くことは出来なかった……。
~~外海~~
――ドーン!ゴロゴロ!
「急いで帆を畳め! 風で折られるぞ!」
「海に落ちぬように気を抜くな!」
現在俺たちは嵐の中を絶賛航海中でございます! それにしても風ががががが!!!
あれから外海に出られたはいいものの,機嫌が直ったと思っていた空が驚くべき速さで猛烈にぐずり始めたのだ。
既に風で流されて本来の航路を外れている。どこかしばらく嵐を凌げる島でもあれば良いのだが……。
「王子! 南西に島が!!」
騎士の一人からそう言われて見てみると,確かに目視できる距離に島影を見つけることが出来た。
……しかしこのままの進行方向だとあの島には掠りすらしないだろう。ならばここは俺が一肌脱ぐしかないか。
俺は重い鎧を脱ぎ捨てると意識を集中させてスーパーゾーン状態になり,そのまま海に飛び込んだ。
「「「王子!?」」」
…ご…ぼぼっ!! このぐらいの距離だったらどうにかして押してやる!
「はあああああ!!!」
俺は目標の島に向かって全力で船を押し始めた。
・
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ぜぇ,ぜぇ……な,なんとかなった~。あれから俺たちはなんとか島に辿り着き,嵐をやり過ごすことが出来た。
いきなり飛び込んだことに対して島に着いてから部下たちに苦情を受けたが,それは甘んじて受け入れよう。
俺の灰色の脳みそではあの作戦が限界だったんだよ~。
それにしてもここはどこだ? 一応は航海に使う道具があるので帰れるとは思うが,どのくらいかかりそうなのか知りたい。
俺は船室のベッドで仰向けになりながら,同じ部屋で何かを書いているDさんに尋ねることにした。
「……サマディーに到着するのはいつ頃になりそうだ?」
「それなのですが……船の修理にも少し時間がかかるでしょうからやはり予定よりやや遅れそうですな。しかし食料には余裕があるのでそこは安心できます」
まぁそりゃそうか……。だが食料が十分にあるのは幸いだ。余分に持たせてくれたセレン女王に感謝だな。
さて,俺もいつまでもこんなところで寝ていないで皆の手伝いにいくか!!
・
・
・
――トボ……トボ……
「……ここは空気が美味しいな,オセノン」
「プチ?」
悲報)俺氏,暇になる
ちなみに現在はやることもないので,肩の上にオセノンを乗せながら島の中央部に向けて足を進めている。歩いてみてわかったのは,この島は思った以上に大きいということだ。
俺は歩きながら先ほどのことを思い出す。
あの後に俺が皆のところに行ったら,『王子はどうかお休みになっていて下さい!』とか『ここは我らにお任せください!』としか言われない…。
ここは部下たちが頼もしいことを喜ぶべきなのか,俺の力が必要とされていないことを悲しむべきなのかどっちだろう。
それからしばらく歩くと広い場所に出た。
そこには魔物もいたが,本能で格の違いを感じたのかわからないが襲い掛かっては来なかったので構わず進み続け,真ん中辺りまで来たところで足を止める。
ス~~,ハァ~~。
俺は心を落ち着かせようと深呼吸をする。
「プ~~チ~~」
ふふっ,オセノンも俺の真似をしているみたいだな。
俺はそこで景色を楽しもうと思って周辺を見渡してみる。
…………
……(。´・ω・)ん? なーんか見覚えがある気がするな……もう一度よく見てみるか。
この辺りには"おおきづち"や"ブラウニー","トロル"に"サイクロプス"などの棍棒を持ったモンスターが跋扈し,左側には鉱石が露出した場所,目の前には特徴的な三又の葉っぱが落ちている。
………
ああ~! ここって"南西の孤島"か…。またの名を"名もなき島",とある人々にとっては力の種集めの島。
原作の地図の記憶を思い出すに,距離的には運河の出口とハムザリアの中間あたりに位置していた気がする。
……待て,ということはこの葉はもしや!?
俺は側に落ちていた葉っぱを丁寧に拾い上げてじっくりと観察する。
……やはりこれは"せかいじゅのは"の可能性が高い。
俺は以前にとある商人が父上に売ろうと持ってきた際に1度だけ実物を見たことがあるのだが,これはその時のものと同じものに見える。
この世界における世界樹の葉は死者を無条件で生き返らせることのできる奇跡のアイテムではないが,瀕死の状態でも即座になんとか歩けるくらいには回復させられる凄まじい効力をもっていることは確かで,非常に流通量が少ない。
原作知識を信じるならば,ここでは定期的にこれが手に入るはず……。
それにここだけでなく奥も眺めてみて思ったのだが,鉱物資源の獲得も期待できる。
また更に,ここは位置的にもサマディーと他を繋ぐ航路を繋ぐ寄港地として活用できそうだ。
ひょっとして……ここは宝島だった?
……よし! 帰ったら一刻も早くこの島の領有を宣言するように進言することにしよう!!(渾身洒落)
「これは思わぬ収穫になったかもしれんぞ,そうは思わんかオセノン……オセノン?」
俺はそう言うが反応がなかったので,確認するといつの間にか肩の上からいなくなっていた。
俺が辺りを見渡すと,オセノンが少し遠くの方で地面に絵を描いているのを見つけた。
ふふっ,こんなところでもあんなに自由とは……本当に絵を描くことが好きなんだな。
……それにしても,地面に絵か。
俺は歩きながら,この島の地面のあちこちに描かれた地上絵のようなものを見る。
ここに描かれた絵は……鳥か? それとも別の生物だろうか?
おそらく翼だろう器官をもった生物の絵だと推測できるが,本当のところはわからない。
原作でも特に触れられることがなかったので,気になるところではある。
俺的には原作の後半で登場し,このロトゼタシア成立以前から存在したという種族である"神の民"が関係していると踏んでいるのだが……。
……まぁそんなことは今は関係ないな。
「オセノン! 戻るぞ!」
「プッチ!」
俺が近づいて呼びかけるとオセノンはすぐに肩の上にやってきたので,そのまま歩き出す。
そうして俺は皆の元に戻りながら,この島が秘めている可能性について考えるのだった。
……ドラクエ11sのボイスドラマって皆さん聴いたことあるのかな?
まぁそんなことはさておき,作者はここに来て先輩とDさんの違いが分かりにくいことに気が付いたんです! そこで両者の情報を少し……
先輩(セルジオ)
比較的色白の基本的には穏やか系で,鎧は面に十字の模様がはいっているアレを身に着けており,身長は高め。ウマレースが大好きな王子隊の副長。最近はなぜか書類仕事が得意になったらしい。
Dさん(ディルガーム)
褐色の真面目系で,鎧は面に一文字だけが入っているアレを身に着けており,身長は平均的。勉強熱心な王子の側近の1人。最近は装備を片手剣と盾に変えようか迷っているらしい。
人物の特徴の描写が不足していたかもしれませんね…反省です。
それではまた!('ω')ノシ
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