というわけで30話です! どうぞ!
~ダーハルーネの町(仮)~~
「行方不明者が出ました……」
皆さんどうも部下から衝撃の報告を聞いてしまったハムザ君です!
ファーー!? なにそれもっと詳しく!!
「なにっ!? 一体どういうことだ?」
「はい,まず昨日に1人の旅人がここまでやってました」
うーん…最近は偶に人も来るようになったからなぁ。その中の1人だろうか。
「……ではその者が?」
「はっ,実はその者はこの場所に立ち寄らずにそのまま奥地へ向かったようなのですが,その日のうちに戻ると入り口の騎士に告げてより戻らぬと……」
なるほど……町中で突然消えたりしたわけではないようなのは幸いだな。
あそこも別に立ち入り禁止にしているわけではないが,一応は入り口に騎士を置いているんだがなぁ……。
「……ではそこで遭難したか」
「我もそう考え先ほど無理のない範囲で確認して参りましたところ,恐らくは霊水の洞窟内部に侵入したと思われる痕跡を発見したため我が君の判断を仰ぎに伺いました次第にございます……」
何度か調査に入って慣れていることで独自の最短のルートを編み出しているゾルデならいざ知らず,昨日出発したにも関わらずもう洞窟まで辿り着いてるって凄いな……。
「……初めて訪れたであろうにたった1日であそこまでたどり着くとはな。よほど旅慣れていた者だったと見える……」
「どうやらその者はある程度は名の通った冒険家であったらしく,話を聞いた騎士もそれを知っていたそうで通したようです」
それなら尚更奇妙だな……そういった者ほどこういう場所では慎重になると思うし,何よりわざわざ戻ってくる時間を告げておいてそれを違えることはないだろう。
それにいくら早く洞窟に辿り着けたといっても,数時間で辿り着くような距離ではない。
その日のうちに帰ってくるためには洞窟内部への侵入は見送る判断を下すだろうと思うのだが……。
欲が出てしまったのか,それとも何かそうせざるを得ない特殊な状況に陥ったのか,はたまたそれ以外か……。
例の噂話の件といい,嫌な予感がするな。
「如何いたしましょうか……捜索隊を派遣しますか,もしくは我が単独で救助に向かいましょうか,それとも……不幸な事故と「ゾルデ……我らにその選択肢はない,そこまでにしておけ」……出過ぎたことを申しました……」
「良い。賢いそなたであるからこそ,その考えが浮かぶのは理解できる。あの先は未開の地なのだ,旅人1人を助けるためにそれ以上の騎士が犠牲になる可能性はあるだろう。だがそなたが言うそれは最後の手段だ……ハナからその考えを選択肢に入れていればそなたは弱くなるぞ」
「肝に銘じておきまする……」
俺はそのまま言葉を続ける。
「それに……幸いにして今はそれ以外の方法があるではないか。そなたは直ちに副長を作戦室に呼んでくれ」
「!! もしやその方法とは……」
もとよりそろそろ動きたいと思っていたと頃だったのだから丁度いい。この機会に何か手がかりを得てやる!
「……ああ,俺が行く」
~~ダーハラ湿原~~
――ザッザッザッ! バシャッ!
段差の多い道や水辺の上を駆けながら先へ進む。
「ンフフ。次は奥に見えるあの岩を越えましょう」
「うむ……ふんっ!」
「ほっ!」
「プチッ!」
――ダンッ!
「それではこの後は――」
俺たちは現在,ダーハラ湿原の4つ目のエリアを移動中である。
あの後に一応は会議を行ったのだが,最初は俺一人で行こうと思っていたもののそれは流石に止められてしまったのだ。
まぁ俺も正直そうなることはわかっていたので気にしてはいないが,人数を増やしすぎるのは本末転倒なのでお互いに妥協点を探りながら最終的なメンバーが決まった。
ちなみに俺がいない間のダーハルーネ建設の指揮役は,俺が来るまでその役を担っていたあのダンディーな上官さんに任せてきたので問題ないだろう。
……なんだかんだ押し切れたのも日頃の行いのお陰だろうね!うんうん!!
ここにいるのは俺と先輩にゾルデ……そしてオセノンの3人と1匹によるパーティで,それぞれの役割に関しては以下の通りだ。
まず俺は言わずもがなだが強敵出現時に対象の討伐を担う戦闘の主力兼このパーティのリーダーだ。
次に先輩は俺の相談役兼パーティ全体を見てサポートをするバランサーを務める。
そしてゾルデは道案内役兼俺たちの先頭に立って露払いをする役だ。
最後にオセノンは以前のタイラントワーム遭遇時の際に見せた謎の交渉力を期待した不思議枠兼癒し枠である。
部下たちにはこの人数でも少ないと言われたが,行方不明者の捜索という速さが要求される案件ではこのメンバーが現状のベストだと考えた。
能力的にも連携的にもこのメンバーであれば大抵のことには対応できるはずだ。
そもそもこの移動速度に付いてこられる騎士は中々いないだろうと思うんだよ。
このエリアはまだ整備されていないので,途中にある川や大岩などを当然のように飛び越えていかなければならない。
そこで俺たちが今通っているルートはゾルデにとっての最短ルートなので,この道を行くには最低でも彼と同等の身体能力が必要なのである。
……そう考えると,今ではサマディー内で最強レベルになった俺や騎士団の中でも個人の能力が必要とされる黒騎士団の副団長であるゾルデに当然のように付いてきている先輩はやはり大したものだな。
流石は俺の隊の副長だね!!
……オセノンは移動中は誰かにしがみついてもらえばいいので問題ないんだよ!
「ここから先は少し険しい道になりますが少し休まれますか?」
「私は必要ありません。ハムザ様とオセノンは?」
戦闘を走るゾルデが休憩が必要かの確認をしてくるが,先輩は大丈夫みたいだ。
「私も必要ない。少しでも先を急ごう」
「プーチッ!」
先輩からの問いに対して俺とオセノンも大丈夫だと返す。
このメンバーの利点は,多少の無理が出来るというところもあるだろう。
無理と言っても,俺たちが今無理をして移動しているわけではない。
それなりの人数による移動だとそのぶん休憩などにかける時間はどうしても多くなり,その分時間がかかるものなのだが,俺たちは少人数であることと体力が多いことでその時間を短縮できる。
更には魔物と遭遇しても鎧袖一触にするか,なんなら横を通り抜けることすら可能である。
つまり一般的に考えて無理のあることでも出来るという意味だ。
そこからはしばらく小さな足場を飛び移りながら移動したりする危険な場所を移動していくことになった。
俺たちの進行方向から右手,つまりこのエリアの北の方角には今まで湿原を囲んでいた岩の壁が存在しない箇所が広がっており,もしそこで落ちれば海まで真っ逆さまだ。
……まぁ多くの人にとって肝を冷やすようなその光景も,俺にとっては視界一面に美しい海を収められる絶景でしかないのだが。
そんなことを考えながらゾルデに付いて走っていたのだが,しばらくしたところで彼が言う。
「そろそろ洞窟の入り口に到着しますぞ」
それを聞いて進行方向の奥に視線を向けると,そこにある岩壁の上から流れ落ちてくる滝の裏に洞窟らしきものが見えた。
……あれが霊水の洞窟か。
俺の感覚もあの先には何かがあると告げている。
それが俺たちの探している行方不明者なのか,それとも別の何かなのかはわからないが……。
俺がそう考えている間に入り口の近くまで到着し,そこでゾルデが足元を見て言った。
「……これをご覧ください」
そこには岩に生えた苔があり,つい最近踏まれたような跡もあった。
「……なるほど,この先へと続いているようだな」
どうやらその跡は洞窟の中の方へ続いているようで,誰かがこの先に入ったのは間違いないだろう。
それによく見ると,ゆっくりと踏みしめたような跡ではなさそうだ……。
「このまま中に入りますか……?」
先輩が洞窟の中を窺いながら聞いてくる。
「ああ……ここからは急ぎつつも判断は慎重にいくとしよう」
「プチ!!」
するとオセノンも自分で歩きたそうだったので降ろしてやる。
そうして俺たちは洞窟の内部に入っていった。
…………
――フワフワ
何かが後ろの岩陰から覗いていたことに誰も気が付かないまま――
~先輩視点~
――ピチャン……ピチャン……
我々は行方不明者を捜索すべく湿原の奥地へと繰り出し,ようやく霊水の洞窟までやってきた。
辺りは所々に見える壁面の割れ目の外から差す日の光のおかげで思ったよりも明るく、灯りの心配をする必要はなさそうだった。
更にこの洞窟は内部のいたるところに小さな川のようなものがあるようで,足元が濡れているので滑らないように気を付けねば……。
「思った通り中にも魔物がいるようだな……ここから先は痕跡を辿ることも難しそうだ」
王子……ハムザ様がそう言うが,確かにここで例の旅人の痕跡を特定するのは難しそうだ。
……王子の名前を呼ぶことを許されてしばらく経つが,やはりまだ慣れんな。今はまだ心の中くらいは王子と呼ぶことを許して頂こう。
するとゾルデ殿が屈みながら何かを凝視しているのが見えた。
何か見つけたのだろうか?
「ゾルデ,どうした」
王子もそれに気が付いたようで何事かと問うている。
「我が君,これは……」
そう言って彼が指差したのは地面に彫られた矢印だった。
続いて彼の視線を追って顔を動かすと,少し先にも同じような矢印が見えた。
これが新たな痕跡だとすると,これを追っていけば例の旅人に行きつくのかもしれない。
しかし――
「ハムザ様……これは本当に行方不明者が残したものなのでしょうか?」
「我も同じ疑問を覚えました。果たして信じて良いものかと……」
我々はあまりにもこの場所のことを知らない。これが本当に行方不明者が残したものでもおかしくはないが,王子も慎重に行くと言ったように,疑ってかかることも必要だろう。
王子は口に手を当てて少し悩んだ後に答えた。
「……だが現状では唯一の手掛かりだ。念のために罠を警戒しながらその通りに進もう」
「「はっ!」」
・
・
・
それからは洞窟内にある矢印に従いながら進んでいったのだが,我らはある場所で足を止めざるを得なかった。
……それはとある場所で矢印が途絶えたからだ。
「これは……天井が崩れたのか?」
その場所は瓦礫で道が塞がれており,先に進めないようになっていた。
「ふむ……下手に壊したりするのは危険かもしれんな。ここは迂回するとしようか」
王子の言葉を受けて今度は道を戻ろうとしたところ――
――ゴゴゴゴゴ!!!
「「「!!!」」」
突如として洞窟が揺れ始め,洞窟の床の一部が崩れ始めたのだ。
「ぐおっ!」
それに運悪く,そこは王子の立っていた地面の真下であった。
「「王子!!/我が君!!/プチッ!!」」
「くっ,俺のことは心配するな! お前たちは行方不明者の捜索を優先しろっ!!」
それだけをなんとか言い残し,そのまま地面に出現した大きな穴に吸い込まれていってしまった。
更に先ほど道を塞いでいた瓦礫がその穴を覆い隠したことで追うことも難しくなってしまった……。
くそっ!! 私が付いていながらなんということだ!!!
「ゾルデ殿っ! どうする!?」
私は妙に落ち着いた様子のゾルデ殿に話しかける。
「我は……我が君は何らかの思惑があって下へ行かれたのだと思います」
どういうことだ?……いや,確かに王子であれば床が崩れる前に避難することも可能だったはず……。
「恐らくはあの先に何かを感じ取られたのでしょう。それに我らに捜索を優先しろと仰ったということは……」
!!
「つまりこの先には例の噂に関する何かが……」
「その可能性が高いかと……」
ここへ来たもう1つの目的だ…しかし王子を放置して行方不明者の捜索をすることは…。
「……我が君の捜索は任せて下され。セルジオ殿とオセノンは行方不明者の方の捜索を」
ゾルデ殿が真剣な表情でそう提案してくる。
確かにここは多少の危険を冒してもメンバーを分けるべきかもしれない。
「……では任せましょう。だがオセノンは貴殿と共に行動すべきでは?」
意思疎通がスムーズに可能だという意味や,ハムザ様のお役に立つという意味でもそうすべきだと思うのだが……。
「……いえ,少し考えがあるのですが非常に危険ですのでオセノンに注意を払う余裕があるかわかりませんから」
……であれば仕方ないか。彼も王子が副団長の1人に選ばれたほどの男,ここは信頼して任せよう。
「……承知した」
「プチッ!!」
「ではこれで……」
そこでそう言って彼は空気に溶けるように姿を消した。
「さて,我々も急ごうかオセノン」
「プチッ!!」
幸いにして先ほど道を塞いでいた瓦礫は穴を覆い隠したことで道は復活しているようだ。
我々はその道を進んで行方不明者の捜索を再開したのだった。
…………
――フワフワ
その後に何かが瓦礫をすり抜けて穴の中に消えていったことに気が付かないまま……
・
・
・
・
・
~~霊水の洞窟・地下~~
「何がどうなっているのだ? それにここは一体……」
「……ここは"フールフール"の秘密のアジトだよ!」
「!? いつの間に俺の背後に!?」
――ハムザ,洞窟の地下で???と遭遇
~~霊水の洞窟・外壁~~
「まさかこの魔物が……!」
「ギャアアアアアオ!!!」
「……我が君,少しばかりお迎えに上がるのが遅れることをお許し下さい」
――ゾルデ,洞窟の外壁で???と戦闘開始
~~霊水の洞窟・奥地~~
「おお! もしやそなたは……!」
「プッチ!」
「……なっ! どなたか存じ上げませんが早くお逃げ下さい!!」
「なに……?」
――ドシーン! ドシーン!
「!! こいつらは一体!? オセノン! とにかく戦闘準備だ!!」
「プチーー!!」
「くっ……! 間に合わなんだか……!」
――セルジオとオセノン,洞窟の奥地で行方不明者を発見。並びに???と戦闘開始
最後のとこはこれ以外の書き方が思いつかなかったんです……オラに文才を分けてくれぇー!
場面の切り替え部分はかなり個性がでるところだとは思うんですが,難しいですね。
それではまた!('ω')ノシ
今の文字数ってどうですか?
-
少ない
-
いいかんじ
-
多い