我が国だけのけものにはさせませんからな!   作:ヤチホコ

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ファッ!? 感想件数がごっそり削られているのはいったい何が!?
と思いつつも32話です! どうぞ!


32話 奇妙な魔物?

~主人公視点~

 

――ピュ〜〜〜

 

ぐおおっ!? 体が重いぃ!?

 

皆さんどうも! 謎の圧力に襲われて落下を回避できなかったハムザ君です!

 

床が崩れそうになった時に反応すること自体は出来たのだが,実際に崩れ始めた時に突然体が重くなったことで動けなくなってしまったのだ。

 

その現象を警戒して部下たちに追ってこさせないために最後の言葉を残したのだが,直後に穴が塞がれたようなので俺の言葉の意味があったのか怪しくなってきた。

 

あ~,こうなるとしばらくは探しに来ないだろうな。

 

それにもしかすると――

 

行方不明者発見→生死不明の重体と判明→『急いで町へ運ぼう!』→『王子ならすぐには死なないだろう!』→俺を放置して一旦帰る

 

あばばばば!!

 

で,でも流石に俺を置いていったりはしないよね!?

 

……いや,騎士ならあり得る!?(内騎士)

 

それならばこうしてはいられない! 早く彼らと合流せねば!!

 

……というかどこまで落ちるんだこの穴は!!

 

俺がいよいよ心中でそう叫んだ直後――

 

 

――ドボンッ!!

 

 

…………

 

――ブクブク

 

「……ぶはっ!」

 

ぜぇ……ぜぇ……。唐突な水中にドボンは流石に心臓に悪すぎる……!

 

俺がなんとか近くの陸に上がって辺りを見ると,ここはどうやら小さな地底湖らしき場所のようだということがわかった。

 

ちなみにこんなに暗い中でも周りの景色を把握することが出来るのは,訓練の成果である…というのもあるが,なぜかいくつか松明が壁に置かれているんだよね。

 

……魔法的な炎じゃなさそうだし……少し前まで誰かがいたのだろうか?

 

そこで俺は一先ず周りに敵の気配を感じないことを確認すると,地面に座り込んで一息つくことにした。それにいつの間にか体にかかっていた圧も消えていた。

 

ふぅ,体が濡れて気持ち悪いでござる……でもわざわざ鎧を脱ぐのも面倒だし,慣れるまで待とうかな……。

 

そして怠惰の鑑のような決断を下したのだった。

 

それにしても――

 

「何がどうなっているのだ? それにここは一体……」

 

それは,いきなり床が崩れたことや体が重くなったこと,それにこの場所の不可解さへの疑問に対して自然と口から漏れた言葉だった。

 

 

「……ここは"フールフール"の秘密のアジトだよ!」

 

――フワフワ

 

 

…………

 

くぁwせdrftgyふじこlp!?!?

 

まさか返答が帰って来るなどとは露ほども思っていなかった俺は,反射的にその場から大きく飛び退いてから声の主に叫んでいた。

 

「!? いつの間に俺の背後に!?」

 

俺がその方向に顔を向けると,そこにいたのは"ホイミスライム"という魔物だった。

 

人間の言葉を話す魔物と会うのは2回目だな……。

 

というか声が聞こえるまでまるで気が付かなかったぞ! それにこのフワフワ感……まさか例の噂の!?

 

もしも大勢の騎士たちの認識を狂わせるほどの力があるというならば先ほどからの不可解な現象にも合点がいく。

 

……そして何より,俺の視覚や聴覚などの五感はこいつが目の前にいると告げているが,第六感的なものはこいつに妙な反応を示しているのだ。

 

今までその逆なら経験したことがあるが,このパターンは初めてだ。そしてそれが酷く不気味である。

 

分かりにくいかもしれないが,まるで空気のようにそこにあると認識しなければ知覚できないはずの存在がくっきり見えているかのような感覚だ。

 

それこそまるで本来は実体がないかのような……。

 

これほど不可解な相手であれば俺が気付くことが出来なかったのも納得である。

 

そう考えるのと同時に,俺の背に久しく感じていなかった冷や汗が伝う感覚が蘇る……。

 

……今の俺で勝てるだろうか。

 

そう考えていると,目の前のホイミスライムが再び口を開いた,

 

「心配しないで。ぼく悪い魔物じゃないよ」

 

おお,この世界で聞いてみたいランキング上位クラスのセリフじゃないか!!

 

うーん,そのセリフを言われるとメタ的視点で考えたら悪い奴ではなさそうな気がしてきた。

 

だがやはり現状では怪しすぎる…念のためにもう少し警戒させてもらおう。

 

「急に現れたな。そなたは何者だ?」

 

これは聞かねばならないだろう。

 

そもそも今までの考えも,俺の想像に過ぎないのだ。ご本人…いやご本魔物の主張を聞こうじゃないか!

 

「僕の名前? ……うーん,まだないから良かったからキミがつけてよ!」

 

……うん,今のやり取りで流石に気が抜けたわ。あまりにも敵意がない。

 

先ほどは気配が妙だと言ったが,それが術などによる効果でないこともなんとなくわかったので,これ以上の過度な警戒は疲れるだけだろう。

 

怪しさ満点なのは変わらないが,敵ではないと思いたい。

 

……それにしても名前か~。

 

そもそもドラクエというゲームシリーズにおいて,スライム系統の魔物にはネームドが多い。

 

それは外伝も含めると,ホイミスライムに限っても"ホイミン"や"ホミロン"など複数いるのだ。

 

この法則に則るなら,ホ〇〇ンとなるようにしたい。

 

うーん……よし! じゃあ決めた!!

 

「……いいだろう。ならばそなたの名前は"ホミリン"だ」

 

「ホミリン……! いい名前だね! ぼくホミリン!! ……うん! なんだかしっくりくるね!!」

 

おお,正直語感の良さで決めた名前だったが気に入っていただけて何よりである。

 

さて,それではここまで無視してきたが,ホミリンに最初の発言の説明をして頂こうか。

 

「ではホミリンよ,そなたに聞きたいことがある。先ほどここがフールフールの秘密のアジトだと言っていたがそれはどういうことだ?」

 

「実はね,ここはフールフールっていう悪い魔物が危ない実験を行っている場所なんだ」

 

俺の原作知識に引っかかる"フールフール"というのは魔物は,記憶通りであれば原作で魔王が覚醒して世界が闇に包まれた後に,北の大陸南西部のメダチャット地方にある"プチャラオ村"という村を襲った奴だった気がする。

 

村では村人たちに『1番大切なものを差し出せばそれだけは助ける』と一見すると慈悲のあるようなこと言いながら,むしろそれをピンポイントで奪うとかいう中々に悪辣なことをしていた記憶がある。

 

それ以前にどこで何をしていたのかは俺は知らないので,大陸を隔てているとはいえ直線距離的には遠くないこの辺りにいたとしても確かに不思議ではない。

 

……にしてもよりにもよってここにいたのか。

 

「この先にもいくつか部屋があってね,そこにその魔物がいるんだけど地上に繋がる出口はその奥にしかないんだ」

 

うへ~! 元よりスルーするつもりはなかったが,いずれにせよ地上に戻るにはご対面しなきゃならないってことですね……。

 

「ふむ,なるほどな……であれば早く先へ進むとしようか……」

 

万が一にも皆に置いていかれないように急がなきゃ!それに濡れにも慣れたしね!!(渾身洒落)

 

「じゃあぼくが案内するよ! ほらっ! こっちこっち!」

 

するとホミリンがノリノリで案内役を買って出てくれた。

 

……ありがたいけど,君はなんでそんなに詳しいんですかねぇ!?

 

俺はそう訝しみつつも,ホミリンの背に続いて歩き出すのだった。

 

 

 

 

「キミってすごく強いんだね! ぼくビックリしたよ!」

 

「……ホミリンも中々やるではないか」

 

あれから1人と1匹で一緒にしばらく進んできたのだが,まぁ色々あったよ……。

 

ホミリンが途中から鍵開けBOTと化したり,現れる魔物たちをザバラーンで殲滅することになったりとかね……。

 

その中で,もはやどうしようもなく危機感を募らせるようなことがあった。

 

それは――

 

「それにしても,ここにいる魔物たちはみんな目が赤くてなんだか怖いね……」

 

これだ。

 

……実は以前にタイラントワームとの戦闘があった時,奴の口から吐きだされたポイズントードも赤い目をしていたのだ。

 

あれからゾルデに調べさせても情報が集まらなかったので,ただ目が赤いだけの突然変異だったのだろうと思い込むようにしていたのだが…。

 

先ほど戦った魔物たち……"スライムつむり"や"あおバチ騎兵"や"くらやみハーピー",そして"ポイズントード"らはいずれもダーハラ湿原やこの洞窟で目にした魔物だが,ここにいた奴らはすべて赤い目をしており通常の個体より凶暴に感じた。

 

……もしやこれは原作でいうところの〈強モンスター〉というやつではないだろうか?

 

そもそも強モンスターとは何かという話だが,別にただ強いモンスターを略して呼んでいるわけではもちろんない。

 

これは原作で世界が闇に包まれた後,魔王の力の影響で凶暴化してしまった魔物たちのことだ。

 

そして,そうなった魔物の見た目における最大の特徴として目の色が赤色になることが挙げられるのだ。

 

ただ,物語の裏ダンジョンである"ネルセンの迷宮"と呼ばれる場所にもこれらの魔物は出現することから魔王の力である必要はないかもしれない。

 

恐らくは何か強い力の影響を受けて強制的に変異した魔物ということだろう。

 

……この先にいるのがフールフールだとして,奴にそれほどの力があるとは思えないのだが……?

 

まてよ……そういえばホミリンが実験がどうとか言っていたな。このホイミスライムは妙に情報を持っているから何か知っているかもしれない。

 

「ホミリン……フールフールの行っているという実験について何か知っていることはあるか?」

 

俺がそう聞くと,ホミリンは少し悩んだ素振りを見せた後に答える。

 

「うーん。ぼくもよくわからないけど,魔物に何かをする実験をしているみたいだよ?」

 

……ということは奴が人為……いや魔物為?的にあの魔物たちを変異させていた可能性もあるのか…?

 

仮にそうだとして,何が目的かはわからないがやはり放置はできないな。

 

「あ! この先だよ!!」

 

俺がそうと考えていると,ホミリンが何かを知らせてきた。

 

俺が目の前を見るとやたら頑丈そうな扉があり,ホミリンの言葉と合わせて考えると,この先に奴がいる可能性が高い。

 

実はホミリンが近くにいるとなぜか俺の感覚センサーの精度が落ちるので,ここまでにも奇襲を何度か食らっているのだ。

 

うわっ……俺の索敵,下手すぎ……?

 

俺がそんな風に嘆いていると,ホミリンが扉の前で呪文を唱え始めた。

 

「えーいっ! "アバカム"!!」

 

そしてこれまでの道中と同じように,ホミリンが扉の鍵をすぐに開けてくれる。

 

よし! 行くぞ!!

 

俺は覚悟を決めて扉を開けた。

 

――ギイィィ……

 

扉を通り抜けてそのまま中に入ると,そこにはだだっ広い空間が広がっていた。ここなら以前に遭遇したタイラントワームでも余裕で入りそうだ。

 

それに,見たところフールフールらしき影も見当たらない。

 

もしや地上に出たのか……? もしそうならそれはそれで厄介だな……。

 

……いや,これは!?

 

「ホミリン!」

 

俺は咄嗟にホミリンを横に突き飛ばした。

 

その直後――

 

 

「きえええー! "呪文封じ"!!」

 

 

俺は頭上から突然現れた魔物による呪文封じをモロにくらってしまった。

 

くそっ! まさか待ち伏せされていたとは……!

 

「ホッホッホッ! なんとたわいもない!! ワタシのアジトに忍び込んできたおバカさんの顔を拝んで差し上げようと思ってこの私直々に待っていたのですが……いささか拍子抜けでしたねぇ!!!」

 

着地したそばからそう言って笑い声を上げているのは2足歩行でピンク色をした竜のような魔物だった。

 

「やはり人間がまんまと罠に嵌まって悔しがる姿を見るのは格別ですよ! それにしてもこのフールフール様の元までノコノコとやってくる人間がいるとは驚きですね」

 

やはり目の前のこの魔物がフールフールか……見た目といい話し方といい原作通りだな。

 

「……そうか。なら最後に良いものが見られて良かったではないか」

 

俺もそう返して剣を構える。どのみち俺の本職は近接戦闘職だ,回復が出来ないのは少し痛いがその前に勝負を決めれば問題ない。

 

「ホッホッホッ! この状況でそんな剣1本で戦えると本気で思っているだなんて随分とおめでたい頭をしていらっしゃるみたいで!!」

 

敵さんはどうやらもう勝った気でいるのか好き勝手言ってくれているが,ここまで色々とあって生憎と俺のストレスゲージも容量は満杯なのだ。

 

なので柄にもなく意地悪を言いたくなってしまう。

 

「俺はこの通り騎士なのでな,貴様のような弱者にはハンデをやらんと流石に可哀そうだと思ったのだが……どうやらお気に召したようでなによりだ」

 

そう言って肩を竦める仕草も追加しておく。

 

こうやって煽る行為は騎士らしくないかもしれないが,原作では騎士道を重んじるシルビアもやっていたことだし,何より俺はまだ子供なので許してもらおうではないか!

 

すると敵は途端に額に青筋を浮かべて肩を震わせ始めた。

 

「ほ,ほほぅ?そこまで言うのならばいいでしょう……

 

アナタの様な底抜けのおバカさんにはキツイお仕置きをして差し上げなくてはならないようですねぇぇ!!」

 

そう言った敵は激高しながら杖をこちらに向けて構えた。

 

相も変わらずこういった魔物たちは挑発され慣れていないのか煽り耐性が低くて助かる。

 

さて,とっととこいつの心を折ってから簀巻きにでもして,ここで行っていた実験とやらについて話してもらうとするか!




……原作で過ぎ去りし時を求めた後のフールフールってどうなったんでしょうね? そもそも世界崩壊以前にどこにいたのかもわかっていないのなら,どこかに秘密の住処があってもおかしくはないだろうということで!

それではまた!('ω')ノシ

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