~~霊水の洞窟・地下~~
皆さんどうも! ピンク色の竜と一触即発状態のハムザ君です!
俺は気合を入れて剣に力を込め直しながら,なるべく目の前の敵の神経を逆撫でするように言う。
「少しは楽しませてくれよ?」
さあ! やろうか!
【フールフールが あらわれた】
俺の言葉を受けたフールフールはその場で地団駄を踏むと,大声で叫んだ。
「なんですってぇ……!? ええい! アナタなど私自ら相手をするまでもない! 行きなさいお前たち!!」
「「「ギャギャッ!」」」
奴が言い終えると同時にどこからか現れた"あおバチ騎兵・強"たちが一斉にこちらに向かって飛んでくる。
まぁ薄々そうなるだろうとは思っていたよ! だが確かに中々の数がいるがこの程度であれば問題ない!!
俺は剣を肩に乗せて構えると,近づいてきた最前列の魔物たちに向かって"ぶんまわし"を繰り出す。
「はぁー!!」
「「ギャーー!?」」
その1撃で剣の間合いの内側にいた魔物たちは一瞬の内にただの魔力へと変わった。
そしてそのまま前方に跳び上がって剣を下にいた魔物に突きたてながら敵が密集するど真ん中にあえて着地し,その周囲にいる敵を次々と殲滅していく。
そこで敵を斬り捨てては蹴り飛ばしながら,敵からの攻撃を躱してぶつけ合わせて同士討ちも誘発する。
すると面白いように敵が混乱して連携を乱していくので,そこをチャンスとばかりに素早く丁寧に刈り取っていく。
……俺はここの部屋に至るまでの戦いの中で,強モンスターの特徴や奴らとの有効な戦い方についてはある程度把握していた。
こいつらは"ちから"や"みのまもり"などの基本的な能力のほとんどが軒並み向上して好戦的で気性が荒くなっているものの,その反動として判断力などを働かせる冷静さを大きく欠いているのだ。
これは原作で採用されていたターン制コマンドバトルでは分からなかった特徴だな。
とにかくそういった理由もあってこのくらいの敵であれば恐れるに足らん。
このままこの魔物たちを無視してフールフールに突撃を仕掛けようと考えかけたところで奴が動いた。
「何をしているんですかあなたたち……! ならばこうです! "スクルト"!! 更に"スクルト"!!」
いつの間にか奥の方に移動していたフールフールがそう唱えると同時に,周りの魔物たちの守備力がぐんぐん上昇していく。
「ホーッホッホッ! 確かに剣の方も多少はやるようですが,これで今度こそ魔法が使えないあなたは終わりですよ!!」
剣による物理攻撃を主体として戦っている俺にとって,魔法でバフデバフがかけられないこの状況では流石にこれには打つ手なしと思ったのだろう……奴が勝ち誇った笑みを浮かべているのが見える。
……だがやはり甘いな!!
俺は手に持った剣に"零の洗礼"の波動を浴びせると,そのまま"全身全霊斬り"を放つ体勢をとった。
そしてそれを一気に振り下ろす!
呪文が封じられて使えなくても特技は使えるんだぞ!
「"いてつくはどう"!!」
剣から迸った白く鋭い波動が魔物たちに襲い掛かったかと思えば,それを浴びた敵にかかっていたスクルトを一瞬で打ち消していく。
それを確認した俺は魔物たちの奥で驚いているフールフールに向かって話しかける。
「どうした,これでもう終わりか? もしそうだと言うなら今すぐに降参すれば許してやらんこともないぞ?」
奴はそれを聞いて,もはや体色が変わるのではないかと思うほどに顔を真っ赤にして叫んだ。
「……いよいよこのワタシを本気で怒らせましたね! このフールフール様をここまでコケにした奴は初めてですよ!! 絶対に後悔させてやる…!!! こうなれば――」
――ドンッ!!
「「「ギャギャギャ!!!」」」
そこで奴が何かの合図をすると,周りからさらに多くの強モンスターが湧いて出てきた。
「もはや計画に支障が出ても構うものですかっ! 洞窟や地下の入り口を見張っている"シーゴーレム"を除いたこのダーハラ湿原でこれまで集めた実験体どもを全て使ってアナタを捻りつぶして差し上げましょうっ!!」
奴がそう言うや否やそこにいる全ての魔物たちが俺目掛けて襲い掛かって来る。
なるほどそうか! 最初湿原に入った時に妙に魔物が少ないと思っていたが,奴がこれほどの数の魔物を連れ去っていたことが影響していたのか!!
……それに計画だと? やはり奴からはなんとしても話を聞かねばならんようだな。
俺は頭の中で謎が解けたり増えたりしていくのを感じるが,俺目掛けてやってくる大量の魔物たちに急いで意識を戻す。
それに視界を埋め尽くすほどのこの大軍勢の前では流石に俺も出し惜しみはしていられない!!
「はぁぁああ!!」
俺は集中することでスーパーゾーン状態に移行し,そのまま敵に正面からぶつかっていく。
「"天下無双"!!」
俺が繰り出した怒涛の連撃によって魔物たちがどんどん倒れていくが,その後も続々と次の魔物が迫ってくる。
まだまだぁ!!
「だぁらららら!!!」
俺は全方位から迫りくる魔物たちが一定距離に近づいた瞬間から斬り捨てていき,俺の周りの空間を,倒れた魔物たちが生み出す魔力によって紫色に染め上げていった。
そのままかなりの速度で攻撃を続けてきたことによって俺と魔物たちの間にある程度のスペースが生まれたことを確認した俺は,敵を纏めて倒すべく剣に氷の力を集め始めた。
……しかし,その直後に嫌な予感を感じた俺は一旦攻撃を中断して,剣を目の前に掲げてその力を自分の周囲に向けて解放した。
「はぁっ!! "フリーズブレード"!!!」
「きえええーー!! "ベギラゴン"!!!」
視界の外からフールフールが放ったベギラゴンは地面を這い進んで呪文の直線状にいた魔物を焼き焦がしながら俺に迫ったものの,俺が咄嗟に成功させたフリーズブレードが生み出した氷と冷気の力によって防がれた。
「チィッ! どうやら勘の良さに助けられたようですが,いつまで耐えられるか見物ですねぇ!!!」
奴は攻撃が防がれたことに少し苛立ちつつもそう言ってすぐさま次の呪文の準備を始める。
更に辛いことに俺が魔物たちとの間に作り上げたスペースも今の攻防の間に埋められてしまっていた。
恐らくこのままでは隙のできる大技を使う余裕を作り出すことが出来ない……。
この魔物たちは1匹1匹であれば瞬殺できるほどの存在でしかないが,ここまでの数が集まることで生まれる力は非常に厄介である。
まさか物量によるごり押し作戦がここまで強力なものだったとは知らなかった……!
今までこの数の相手と一遍に戦う機会なんてなかったからいい経験になるとも言えるが,それにしても命がけの訓練だ。
その時,遠くのにいるフールフールが何かを呟いているのが見えた。
「ええい……それにしてもスカイドラゴンは何をやっているのですか……奴はわざわざゼーランダ山から連れてきたワタシの軍団で最強の戦力だというのに」
しかし襲い来る魔物たちに集中しなければならない俺にはそれを気にする余裕はなかったのですぐに意識から外した。
俺はその後も繰り返し迫りくる魔物たちの波や時々飛んでくるフールフールからの妨害や攻撃に対処しながらも頭を回転させる。
奴はやはりこちらに少し余裕が出ると見るや否や遠距離から攻撃を放っているようで,なんとか攻撃を出せたとしてもモンスターの壁で厚みを作られて奴まで届かない。
更にその間は流石の俺でも全方位から襲い掛かる魔物たちによる全ての攻撃に完璧に対処することは出来ず,体の所々に傷が増えていく。
そのせいで攻撃が雑になることがあって一撃で仕留められないことがあったものの,その際に魔物の目の色が一時的に元に戻る場合があった。
それによってこいつらは完全に強モンスターになりきれているわけではない疑惑が出るが,今の状態でチマチマとそれを試すメリットはなさそうだ……!
くっ……このままではいつか奴の思惑通りにこちらの魔力や体力が先に尽きてしまう。そうなれば敗北は必至……更に言えば俺の死は免れないだろう。
そうなれば何よりも恐ろしいのはフールフールやこの強モンスターたちが野放しになってしまうことだ。
強モンスターを意図的に作り出す方法など我々人間にとってはとてつもない危険性を秘めたシロモノだ。
それにもしモンスターの凶暴化が広がればその被害を最も受けるのは力なき民たちである。
……そんなことを起こさせないためにも俺はここでなんとしても勝たなければならないのだ!!
そこで俺は多少の被弾リスクを覚悟して更に思考に集中力を割くことにする。
正直なところ,この強モンスターたちだけならば面倒ではあるものの脅威ではないが,フールフールの妨害が厄介だ……そして厄介なフールフールに近づくには目の前にある魔物たちによる壁を抜けていかなければならない……一体どうすれば……。
待てよ……確かそういえば奴が先ほどベギラゴンを放った際には奴と俺の間にいる魔物を焼き焦がして消しながら呪文を放っていたよな……?
魔物たちも可哀そうに……じゃなくて! その瞬間に呪文の通り道では魔物が大きく数を減らされて奴と俺の間に魔物の層が薄くなる空間が生まれるということではないだろうか。
もちろんしばらくすれば他の魔物がそこを埋めることで元通りになるだろうが,必ず少しの時間は奴と俺を繋ぐ道が出来上がるはずだ!
ならばそれに賭けるしかない! ……というかそろそろ体力がかなりキツイのでこの状況ではそれ以外には思いつかない!!
そう考えた俺はフールフールの呪文発動の動きに細心の注意を払うようにしつつ,奴が次にベギラゴンを放ってくる瞬間を魔物を切り伏せながら待ち構えることにした。
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……そしてそこからしばらくの攻防を続けていると,遂にその瞬間が訪れた!
「……アナタは本当に往生際が悪いですねぇ! ではもう一度これを食らいなさい! "ベギラゴン"!!」
痺れを切らしたフールフールが呪文を唱えると,杖から噴き出した炎が魔物を焼きながら近づいてくる。
……今だ!!
俺はその呪文を紙一重で躱すと,炎でつくられた道を全速力で駆け抜けた。
「なっ!?」
俺はスーパーゾーン状態による驚異的な身体能力に物を言わせて凄まじい速さでフールフールに迫った。
……それにしてもゾーンをここまでの時間維持し続けるのは初めての経験だ。
今はアドレナリンなりなんなりのお陰でなんとかパフォーマンスを落とさずに動けているが,戦闘後は辛いだろうなぁ…。
そう考えると思わず俺の顔にもシワが寄る。
「ヒィッ!? は,早くこいつを止めなさい!! ワタシに近づけるなぁ!!!」
こちらを見て叫んだ奴のその声で魔物たちが徐々に道を潰し始めてしまう。
くそっ! いくら魔物たちが敵ではないと言ってもこの数でも片手間で相手出来る程ではないんだぞ!! この距離で道を閉じられてはわずかに届かなくなる!!!
俺が心中で歯噛みしていると,どこからか呪文を唱える声が聞こえた。
「……今だっ! えーいっ! "バイキルト"!!」
次の瞬間には俺の体中に力が漲り,剣の一振りで周囲の魔物を纏めて吹き飛ばすほどの力を発揮できるようになった。
……完全にお前のことを忘れていたよ! だがナイスタイミングだぞホミリン!!
この勢いであれば十分に奴に届く! 魔物たちによる妨害などここまで来れればもはや無駄だぁ!!
「邪魔だぁ!!」
俺は左右から押し寄せる魔物を天下無双による連撃で押しのけながらどんどん奴に近づいていく。
「「「ギャアアアア!?」」」
そして足を止めずに駆け続け,遂に魔物の壁を抜けてフールフールを眼前に捉えた。
奴は壁際まで後退しており,杖をこちらに向けてはいるものの,その目は驚愕と恐怖に支配されているようだった。
さぁさぁ! ようやくここまで来れたぜ!!
こっちもフラストレーションが溜まってたんだよ!! 切り刻まれる覚悟はできてるかいトカゲさんよぉぉ!!!
「くぅっ……! "スクルト"!"スクルト"! "ベギラゴン"!! きええええ!!!」
奴も鍛冶場の馬鹿力によるものなのかここに来て凄まじい呪文詠唱速度を見せてきた。
自身の守備力をスクルトで最大強化し,ベギラゴンを放ってから杖による殴打に繋げようとしている。
俺はこれら全てに対して完全なる対処をしなければならない。
必要なのはまずはスクルトで上がった奴の守備力を貫通するだけの火力,次にすぐそこに迫っている呪文による炎を掻き消す速さ,そしてそれらに加えて奴の殴打もはじき返す手数の多さ……。
そうなると1撃系の大技は選択肢から外れてくる……しかし天下無双では威力が不足しているだろう。
そこまで考えた時に俺の脳裏に浮かんだのは,以前死闘を繰り広げた1匹の魔物が扱う連撃だった……。
……だがあれからさらに強くなった今の俺であれば,より強い技を繰り出せると確信できる!!
俺は速度をより一層速めながら,慣れた雷の魔力を剣の刃に漲らせて心を研ぎ澄ましていく。
さぁ刮目せよフールフール! 貴様が受ける天の怒りを!!
お前を地に叩き伏せるこの技の名は……!!!
「"雷神の絶技"!!!」
俺の神速のごとき攻撃はすれ違いざまに奴の放った呪文を消し飛ばした勢いで奴の持つ杖を綺麗に真っ二つに切り裂き,そして――
「ち……ちくしょぉぉぉ!!!」
奴の四肢を斬り飛ばしたのだった……。
……それを成し遂げた俺は剣をゆっくりと背にしまいながら思った。
ふぅー! すっきりしたーー!!
……一対多の経験が積めてよかったね!
あと作者もようやくDQM3買いました! 探索魔なのでストーリーが進まねぇ!!
それではまた!('ω')ノシ
今の文字数ってどうですか?
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少ない
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いいかんじ
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多い