皆さんどうも! 見事フールフールを無力化することに成功したハムザ君です!
「ギャッ!?」 「ゲコッ!?」 「プルッ!?」
どうやら今の攻撃の後,俺の後ろに密集していた強モンスターたちは正気に戻ったようで,何が起こっているのか分からずに騒いでいる。
それに剣で斬った感覚でなんとなくわかったのだが,恐らくは奴が手に持っていたあの杖が魔物たちを狂わせていた装置だったのだろう。
そう思った俺は念のために折れた杖を回収して懐にしまった。
だがここでゾーンを維持する限界が来てしまったので,俺がゾーンを解除すると俺の体を覆っていた光も収まっていく。
……ぐおぉぉ!? 苦しぃぃぃ!!!
魔力の欠乏による倦怠感や頭痛,体を酷使したことによる筋肉の痛みなどが一斉に襲ってくる。
しかし俺はそれを表に出さないように精一杯歯を食いしばった。
さ,さーて……では目の前で呻いているこいつに色々と話を聞くとしますか……!
「気分はどうだ? フールフールよ」
俺がなるべく余裕たっぷりにそう聞くと,奴は怯えたように叫ぶ。
「待ってくれ! い,いや! 待ってください!! 殺さないで!!!」
かなり慌てているようだが,これはチャンスと思って話を続けることにした。
「それはお前次第だな。早速だが質問に答えてもらうとしようか……。まずここにはいつからいたのだ?」
まずは軽めのものからいこう。
「い,1年ほど前からです! ここに元居たヌシをどうにか追い出してアジトにしました!!」
1年前……意外と最近だな。それにこの空間は元からあったのか……。
「そ,それに先ほどの魔物は最近に研究が形になってから一気に集めた奴らでして……!」
おお……聞いていないことまでベラベラ喋りだしたぞ。
「では次だ……ここで行っていた研究とはなんだ?」
強モンスターを作り出す実験はわかったが,他にも何かしていたのかもしれない。
「そ,それは既にご存じの通り魔物を凶暴化させる実験に全力で取り組んでおりました……! そして先ほどご覧になった魔物たちのようになる結果が出たのです!! 今話したここのヌシもそれの応用で追い出しました……!」
やはり随分と饒舌だな。だがやはりそれだけか…それにしても先ほども出てきたがヌシとはなんだ? ……まぁいい,それでは一番重要な質問をさせてもらおう。
「……では戦闘中に計画がどうのと言っていたな……この実験は何のために行っていたのだ? 自分の戦力を集めて何を企んでいた?」
どこかに進行する準備をしていたのか,それとも単に自分の興味のままに研究して成果を得る快感にでも浸りたかったのか……こいつならどちらもあり得る。
「こ,これはワタシの意志ではなくあの方の……!」
あの方だと……?
「誰だそいつは?」
俺が食い気味にそう尋ねた途端に奴の顔色が一気に変わった。
「い……言えない! それを言ってしまえばどんな目に遭うか……!!」
そう言って体をガクブルと震わせる。
おいおい! そう言われると益々気になるじゃないか! 俺がもう一度強めに問いただそうとしたその時――
――ドドドドド!!!
この空間に何かが這うような大音量が響き渡ると共に,俺は斜め上に空いた穴の方から猛スピードで近づいてくる妙な気配を捉えた。
!! 感覚が狂いそうになるこの感覚……! 間違いない……これはアイツだ!
このままでは俺たちが立っている場所に突っ込んでくるだろうが,目の前のコイツを抱えて逃げる程の時間も体力今の俺には残されていない!!
更には奴の心配をする以前に俺自身も余裕はない。
"アストロン"は解除後に隙が大きいことや身動きが取れなくなるデメリットがあるからこの状況では使えない……と言うよりもそもそも使える魔力が残っていないので逃げなければ!!
もう少し話を聞きたかったのだが……くそっ!!
俺は一瞬の内にそこまで考えると,痛みを堪えながら残された力を振り絞ってその場から大きく飛び退いた。
「こ,この音はまさか……! 奴が戻ってきたとでも言うのですか!? あのミミ――」
フールフールが何か言っているが,それを言い終える前にアイツは現れた。
「ゴアアアアアウ!!!」
穴から現れた魔物,タイラントワームはそこから凄まじいスピードで這い出し,そのままフールフールに向けて飛び込んでいった。
「ひぃぃ!! お,お助け下さいウルノーガ様ァァァ!!!!!」
!!! ウルノーガだと!? ちょいちょい待て待て!!
――グシャァ!!
……あ。
奴は断末魔の叫び声を上げた直後,その体をタイラントワームに食いちぎられて無残な最期を遂げた。
そしてタイラントワームはそのままこの空間にいる魔物たちを片っ端から蹂躙し始めたのだった……。
…………
……こ,怖えぇぇぇぇ!!!!!
タイラントワームさん怖いよ!! というか流石にもうわかったぞ! ここの元のヌシって君のことなんでしょ!! 追い出されたイライラが溜まってたんだね!?
というかやはりデカさは強さなのか!? 世の不条理を感じる!!
――シーン……
そして俺がそんなことを考えていた少しの時間で先ほどまで大量にいた魔物たちはあらかた殲滅されており,それを行った張本人は鎌首をもたげながらこちらを見下ろしていた。
……あの~何か御用ですか?
「ゴアァウ!!」
するとそのまま頭をこちらに近づけてきたのだ!
ちょいちょいちょい! 俺は奴らの仲間じゃないです! それに体が限界で今本当に逃げられないんです! しかも俺は食べても美味しくないです! あと怖いから近づかないでぇぇ!!
俺が人生最大クラスの恐怖を味わっていると,その動きが俺の前でピタリと止まった。
……な,なんだ?
「グアウウ……」
そのままタイラントワームは頭をこちらに差し出してくる。
待てよ……この光景見覚えがあるぞ。確か以前遭遇した時にオセノンが……。
……よし!
俺はやはり恐る恐る近づきながら目の前の大きな頭を撫でながら言った。
「……な,中々やるではないか。よくやったぞ」
「グアアウ♪」
するとコイツは頭を持ち上げ,興奮したように頭を上下に振り始めた。
……お,おう? よくわからんがひょっとすると俺は魔物界のコミュニケーション術をマスターしてしまったのだろうか。
そんな意味不明なことを考えていると,慣れた複数の気配が近づいてくるのが分かった。
――ォォォォォ! 我が君ィィィ!!
――この先から明かりが!
――プチッ!
――やりましたな!
!!!
……皆ぁぁぁ! 置いていかれたかと思っていたよぉぉ!!
まず最初にやってきたのは,タイラントワームが出てきた穴から顔を出したゾルデだった。
「我が君ぃ! 遅参致しましたこと平にご容赦くだされぇ!」
いいよ!!(迫真)
正直来てくれただけで嬉しいでござるよ! 1番に駆け付けてくれるなんて俺お前のことを見直したよ!!
だが彼は俺のすぐ側にいたタイラントワームを視界にとらえると,驚愕に目を見開いた。
「!! やはりあの魔物に先を越されてしまっていたかぁぁ! よもや我が忠誠心が敗れたとはぁぁ!!」
…………
……やっぱり言っていることはよくわからんな! 今のはナシで! スルーだスルー!!
次にやってきたのは,奥の方からやってきた先輩とオセノンと……お! もしや捜索対象か!?
救助をこなした上でやってきてくれるとかぐぅ有能!
やっぱり頼れるのは先輩だよぉ!! サマディーの歴史書にもそう書かなきゃ!(錯乱)
「おぉハムザ様! よくぞご無事で!!」
「プッチー!」
「おぉ……この方がかの噂の!」
うんうん! これで皆集まったみたいだね!
俺たちは互いの無事を確認しながら,再開を喜び合ったのだった。
いくつかの謎を残して……
~???~
――フワフワ
ハムザたちが再開を喜び合っている中,その様子を遠くの岩陰から覗く影があった。
「よし……これでまたウルノーガの力を削ぐことが出来たみたいだね」
その陰――ホミリンと呼ばれていた存在はそう呟くと,ゆっくりと自身の頭を叩いた。
――ボフンッ
するとその姿は煙に包まれて見えなくなり,少しして煙が晴れるとその姿はいつの間にか人間のものへと変わっていた。
「これ以上のんびりしておったら見つかってしまうかもしれんし,そろそろお暇するとしようかの……」
彼(彼女?)はそう言いながら指を鳴らしたかと思えば,その姿はいつの間にか洞窟の外にあった。
だが,そのまま洞窟に背を向けて歩き出そうとしたところでふと立ち止まる。
「……それにしても不思議な奴じゃったな」
この人物はいくつかの目的があってサマディー組を霊水の洞窟へ誘い込んでいたが,その目的の1つにはハムザとの接触があった。
「あれが現代の星の番人の子孫か……それにしてもこの時期にあのような者が世界に生まれるとは,何やら不思議なものを感じるのう……」
そう言って少し遠くを見るような目をしてから,フッと微笑んだ。
「いずれまたどこかで会えるかもしれんな」
その言葉を最後に再び指を鳴らすと,次の瞬間にはその姿は消えていた……。
~主人公視点~
――ガツガツムシャムシャ! ガツガツムシャムシャ!
うん! やっぱり運動後の食事は最高だね!!
空腹は最高のスパイスとはよく言ったものだよ!
俺たちはあれから先輩たちが通ってきた出口を通って地上に戻ったところ,既に空が暗くなっていたので今日は洞窟内で寝泊まりして明日の朝にダーハルーネまで帰ることにしたのだ。
そこで現在は皆で火を囲んで食事をとっており,俺たちは戦闘によるダメージを回復するために爆食いしていたのだった。
それにしても,数秒前に空腹は最高のスパイスとか宣っておいてこれを言うのもなんだが,この料理は空腹関係なくホントにうまい!
特にこのシチューは優しい味付けにも関わらず旨味が詰まっており,温度とはまた別の暖かさを感じる。
――ズズッ
……あ~体中に染み渡る~。
俺は目の前の焚火の上で鍋をかき混ぜる男に声を掛ける。
「そなたの作る料理は見事だな。我が国の城で働く気はないか?」
すると男は答えた。
「気に入って頂けたようで何よりにございます。ですがこの"テオ",まだまだ世界を見て回りたいと思っておりますのでお断りさせて頂きますぞ」
「ふっ,そうか……であれば無理強いはせん」
今の会話で分かったかもしれないが,なんと行方不明者の男は原作で主人公の義理の祖父となるテオだったのである。
彼はユグノア滅亡後に川に流されてしまった当時赤ん坊だった主人公を拾って育てるという超絶重要な役割を担うキャラなのだ。
原作開始時には既に亡くなってしまっているのだが,それからのストーリーにも様々な形でがっつり絡んでくる重要キャラなので,もはや主要キャラと言ってもいいだろう。
いや~よくやった過去の俺! 助けに来て良かったよホントに……ここで選択をミスってたら取り返しのつかないことになるところだった!!
それに何より料理が上手で美味しくて話も面白い! これだけでも助けた労力以上のお釣りが出るね!!
俺が自分のファインプレーを褒めていると,正面に座っていた先輩が話しかけてきた。
「それにしてもこれで噂の中身が全て判明しましたな……ゾルデ殿の戦った魔物やハムザ様を助けたというホミリンなるものが正体であったとみて間違いないでしょう」
おー! 確かにそうだね! そう考えるとこれで肩の荷が1つ降りたな。
俺が地下でホミリンと珍道中している間,他の皆も中々ハードな体験をしていたらしい。
ただそれを乗り越えてきたのは流石はサマディーが誇る精鋭たちだね!
……それにしてもホミリンはどこにいってしまったのだろうか?
皆と合流してからあの後に少し探したのだがどこにも見当たらなかったので,おそらく住処に帰ったのだろうと思って切り上げたのだ。
俺が見たホミリンの実力ならタイラントワームに食べられてるとは考えにくいし……。
少しの時間を共にしただけだが,謎は多くとも中々おもしろい奴だった。
実はオセノンの良い友達になってくれるかもしれないと密かに期待していたんだが……まぁあいつも自分の都合があるんだろうし仕方ない。
あとそのタイラントワームだが,ゾルデに話を聞いたところだとどうやら俺に懐いていたようで,これからはダーハラ湿原の地下を守ってくれることになった。
……頼もしい限りだね! たまに修行に来るとしよう!!
――トンテン トンテン
俺が先ほどの出来事を思い返していると,後ろの方で何かを叩くような音がした。
「ふーむ……おお! ンフフフ……うまくいきましたぞ!!」
俺がその音のした方に顔を向けると,一足先に食事を終えた後にしゃがみ込んで何かを弄っていたゾルデが見事な剣を掲げているのが見えた。
彼の目の前にあるのは,なんと"ふしぎな鍛冶台"である。
これはテオが助けてくれたお礼にどうしても受け取ってほしいと言って俺にくれたものであり,今までの冒険の途中で手に入れた品らしい。
原作プレイ時には装備作成で大変お世話になった品だが,数は少ないものの世界には複数存在するらしいので特に問題ないだろう。
性能が気になった俺は試しにゾルデが持っていた"はがねのつるぎ"を打ち直させてみたのだが,上手くいったみたいだな。
あいつもあの鍛冶台が気に入ったのか知らないが,今も先輩の剣までを勝手に打ち直そうとして,それを見て慌てる先輩と一緒にはしゃいでいる。
……皆元気だね~。
そんなゾルデだが,実は驚くべきことにここまでの間でしれっと洞窟の地図も書き上げていたらしい……ぐぅ有能なんだが!
これでこの辺りのエリアを騎士が探索する際の危険も減るだろう。
ホント評価が難しいやつだよ……。
「ごちそうさまでした」
そんなことを考えているタイミングで,俺も丁度料理を食べきったので食事を終える。
今回はなんだかんだで全員が無事で問題を解決できたのは良かった。
ただ,フールフールが最後に言っていた言葉……やはり今回の件の裏にはあいつが関わっていたのだろうか?なるべく目を付けられたくはなかったが,俺がフールフールを倒したことで何か影響があるかもしれない。
……と言っても俺に出来ることは,更に強くなるための修行を積むくらいしか思いつかんな……。
ふぅ~,まぁ疲れている時にあれこれ考えても纏まらないものだよね。何はともあれ終わりよければ全て良し!今日はもう明日に備えて眠るとしますか~。
俺はその場で寝ころびながら目を閉じる。
それでは皆さんおやすミミック……ZZZ
~テオ視点~
私はテオ,トレジャーハンターとして世界を巡るうちに冒険家として少しは名が通るようになってきた。
それにしても,私もこれまでそれなりに危険な旅をしてきたが今回ほど危険に陥った冒険は久しぶりだったな……。
この南の大陸には初めてやってきたのだが,"まほうの石"の力を使えばデルカダール領であるデルカコスタ地方にある旅立ちのほこらからここから東にあるホムスビ山地まで行けるという情報を手に入れたのだ。
私は以前の冒険の中で"聖地ラムダ"の長老からまほうの石をもらっていたので試してみたのだ。
どうやらその情報は正しかったようで無事にこの大陸に辿り着き,大陸の東側にあるホムラの里で,サマディー王国がダーハラ湿原の開発を行っているという話を耳にしたので今のうちに行っておこうと思い,この湿原までやってきた。
途中で町の建設現場を見かけ,その先にある場所はまだ未開の地であるということを聞いたので,念のためにそこの兵士にその日の内には戻ると告げて意気揚々と突撃したのだ。
道中は今までの経験を活かして順調に進んでいたのだが,奥にあった洞窟付近で突如現れたシーゴーレムに囲まれてしまったことで洞窟に逃げ込んだのだ。
救助が来ると信じて私が通った道に目印を付けながら進んでいきつつ,追いつかれそうになったところで天井が崩れて魔物を足止めするなどの運も合わさってなんとか洞窟中を逃げ回っていたのだが,遂に奥の泉がある場所の近くで力尽きて地面に腰を降ろしてしまった。
だがそこで騎士の方たちが助けに来てくださって魔物を倒してもらえたことで命拾いしたのだ。
そこでもオセノンという騎士の方の仲間を助けたことで更なる傷を負ってしまったが,そのおかげで敵に勝てたのであれば本望である。
彼らに治療してもらった後も隠し扉の仕掛けを解いたり,地下に降りる途中にある謎を騎士の方々と力を合わせて解き明かしたりしながら,最奥でハムザ王子を発見した。
……それからしばらくして今に至るのだ。
そこまで考えたところで,私は食事の片づけをしているうちにいつの間にか眠ってしまっていたハムザ王子をチラッと見る。
接してみて感じたのは,まだ若いであろうにこれまで出会ってきたどんな戦士よりも逞しく……そして眩しい輝きを放つ方だということだ。
だがそんな人物でも食事中は私たちとなんら違わぬ顔で飯を食らい雑談に話を咲かせるのだ…私も旅の話を聞かせて欲しいと言われたのでさせてもらったが,随分と面白そうに聞いてもらえるものだからつい話し過ぎてしまった。
彼は人を惹きつける才能もあるようで,彼の供をする仲間たちも敬意を払いつつも遠慮をすることなく気楽に話せているように見えた。
会ったばかりの私ですら,そんな彼らの仲間に入れてもらえたような気がして随分と心が温まった。
……故郷の"グロッタの町"を飛び出してから何年も経ったが,このような気持ちになったのはいつぶりだろうか?
記憶にあるのはいつかの旅の途中で立ち寄った村だったかな…。
そういえばあそこで世話になった彼女は元気だろうか……。
明るく優しい人で,別れる際にはまた絶対に会いに来て欲しいと言っていた記憶がある。
なぜだかわからないがどうしようもなく彼女に会いたくなったきてしまったな……。
そうして私はこの瞬間,次の旅の目的地を決めたのだった。
ガブリ! ……そのままの意味です!笑
恐らくこれが年内最後の投稿になると思います! 皆さま良いお年を!
〜追記〜
キャラ名がすり替わる致命的なミスがありましたが修正しました!
それではまた!('ω')ノシ
今の文字数ってどうですか?
-
少ない
-
いいかんじ
-
多い