といったところで少し遅めのお年玉にもなる35話です! どうぞ!
~~ダーハルーネの町(仮)~~
皆さんどうも! 無事に町の前まで帰ってくることが出来たハムザ君です!
あの後に早朝になって起きてから洞窟を出発したのだが,帰りは特に問題が起きることもなくここまで戻ってくることが出来た。
ただそこで驚いたのは,なんとテオが俺たちの移動速度に付いてこれたことだ。
別に行きの時ほど急いだわけではないが,帰りも中々の速さで移動したにも関わらず平気で付いてきていた。
正直な話をすると俺が背負うことまで考えていたので,その意味では負担が減って嬉しいが,テオさんも意外と動けるんですねぇ……。
やはり長年に渡って冒険家を続けられるような人物は,その身のこなしも自然と洗練されるものなのだろうか……。
「なんとか無事に戻ってこられましたな……」
すると隣にいた先輩が安堵したように言った。
確かにもし俺に何かあれば先輩の責任って凄かったんだろうな……。そう考えると改めて凄いね!
……ただこれからも苦労を掛けるので慣れてね!(クズ)
「そうだな……そういえばテオはこれからどうするのだ? やはりすぐにここを発つのか?」
俺は軽く振り返って後ろに付いてきていたテオにそう尋ねる。
「はい。幸いにして次の目的地も決まりましたので……ハムザ王子が仰っていたようにここの港にもうすぐ船が来るのでしたら,それに同乗させてもらおうかと思っております」
確かここの港を経由して内海を回るサマディーの商船が来る予定があったと俺が記憶していたので,彼らに口利きくらいはしてやれるだろうと話したのだが,テオは俺のその言葉に甘えることにしたようだ。
もちろん金なんて取らないよ,思い出はプライスレスだからね。
……あと未来の勇者の義理の祖父候補でもあるしね!
それにしても,テオとも短い時間だったが共に過ごしたことで俺たちにも随分と馴染んでいたから分かれるのは純粋に少し寂しい気持ちもあるな……。
「そうか……。まぁ今はとにかく中に入るとしようか。手配は任せておくといい」
……俺の部下の誰かになぁ!
そう内心で付け加えた俺と一行が町の入り口を潜ろうと歩を進めると,その中から誰かがこちらに向かっているのが見えた。
――ハァ,ハァ……王子様~!
あれは……ゼイウスか?
彼は息を切らせながら近づいてきて,そのまま俺たちの前までやってくるとすぐに話し始めた。
「お,お帰りなさいませ! ハァ,ハァ……」
――のだが呼吸に必死でまともに話せそうになかったので,俺たちは少しだけ待つことにした。
「ハァ,ハァ……し,失礼しました! 実は王子様に重要な報告があると上官から言付かりまして……。お疲れのところ申し訳ありませんがすぐに執務室までお越し願えますか!」
重要な報告か……どうか良いニュースでありますように!
「勿論だ。ゾルデとオセノン,テオの案内はそなたらに任せる」
「はっ/プチッ!」
この2人は疲れているだろうから休んでいてもらうとしよう。
「では行くぞ副長!」
「はっ!」
……先輩にはホントに申し訳ないけどもうちょっとだけ付き合ってもらう。
こうして俺たちはそれぞれ行動を開始したのだった。
・
・
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「お待ちしておりました王子……!」
執務室の中に入るや否や,例のダンディーな上官さんが俺に縋りつかんほどの勢いで迫って来る。
お,おう……まずは落ち着こうよ。
「落ち着いてくれ。一体どうしたというのだ?」
俺が慌てずにそう聞くと彼も少し落ち着いたのか,机の上に置いていた1通の手紙を俺に差し出してきた。
俺はそれをおもむろに受け取ると,まずはどこからの手紙であるかを確認した。
!!
そこに書かれていたことに少し驚きつつも,そのまま手紙の内容を確認していく。
…………
ふむ……。
そのまま読み終わったそれを先輩にも渡して見せる。
「では拝見します……これは! デルカダールからの……!!」
そうなんだよね~。最近世間を騒がせている話題のあの国だよ。
先輩がそれを読んでいるのを尻目に俺は上官さんに問いかけた。
「……これはいつ頃届いたのだ?」
「はい! 実は王子が出発なされた直後に港まで来る予定であった商船に乗っていた向こう側の使者の方がこれを届けに参られました。どうやら急いでいたようで,王子がお戻りになる前にここを発たれましたが……」
うーん,よくわからんが返事の手紙は急いで書いた方が良いかな……?
ただ,これに関しては国家間のやり取りを俺の判断で差配しても良い……よね別に!
父上も外交に巻き込むって言ってたんだし問題ないでしょ!
というかそもそもサマディー城まで伺いを立てる時間もなさそうだし……。
ちなみに,手紙の内容をかなり雑に要約するなら『貴国と取引を行う我が国の商船が海賊に襲われたため,その討伐のために助力を願いたい』といった感じだね。
『いやいや内海の治安が流石に悪すぎない?』と思われた方もいることだろう。
俺も話には聞いていたが,外海における脅威はそのほとんどが魔物であるのに対して,内海ではこういった海賊や盗賊の類がそこそこの頻度で出るらしい。
実際に俺たちも以前に内海で遭遇した盗賊団にはいろんな意味で世話になった。
まぁ確かに外海は環境の過酷さや平均的な魔物の強さ,加えて行き来する船の数も内海と比べると少ないことも併せて考えると,割に合わないと考えられているのかもしれないね。
「……王子はこれを受けるべきであるとお考えで?」
すると目の前で様子を窺っていた上官さんがそう聞いてきた。
……まぁ皆はまずそこから考えるよね。
正直な話,そもそもあの大国デルカダールがわざわざ海賊討伐のために他の国の力を借りる必要があるとは思えない。
更にはサマディーとの取引に関わるので俺たちも無関係ではないとはいえ,これから進出しようとしている内海での安全保障などしているわけがないので俺たちに瑕疵はなく,これは彼らにとってサマディーに借りを作る行為だ。
一体何が目的だろうか……ただの関係強化?それともここでの対応で何かを探ろうとしている?もしくはまた別の……?
色々と考えてはみたものの,いずれにせよその答えは決まっている。
「当然だ。助けを求められれば応えるのが我らサマディー騎士である……とは言ったものの,ここにいる騎士たちを動かすことで作業の進捗に支障が出ることは避けたいな」
あちらの求めに応じるのはいいが,父上からの任務であるここでの作業の優先順位は俺の中で依然として高いので,これが遅れるのは避けたい。
そしてそうなると必然的に俺が採るべき選択肢は決まってくるよね。
「いいだろう……これも俺が行こう。この機会にデルカダール兵がどれほどのものか見極めてきてやろうぞ」
……そっちの方が楽しそうだという本音は言わないお約束だ。
するとここで手紙を読み終えた先輩が話しかけてくる。
「でしたらせめて私もお供させて頂きましょう。しかし……ここには迎えの船はデルカダールから出すと記されていますが具体的な日付が添えられていませんな……」
そうだよね。確かにそれは俺も思った。流石にルーズ過ぎないかと首を傾げたくなるが,あちらとしてもダメ元なんだろうか?
そのことも頭にあったから急ぐべきかなと思ったんだけど……。
そこまで考えたところで,俺は部屋の隅にある空間に向けて問いかけた。
「……さて,何か報告があるのか?」
すると,いつの間にかそこに姿を現していたゾルデが答える。
「はっ……先ほど港に到着した船にテオ殿を案内した際に船員の者から得た情報によりますと,デルカダールの船がここに向かっている様子が見られたということです……ンフフフ」
こいつ……俺が気配を把握しているのをいいことに,どこまでなら姿を隠したまま接近しても許されるかのチキンレースでもしてるんじゃないだろうな?
「ゾルデ殿はその船がいつごろにここに着くと思われますか?」
えー! そんな!! 先輩がこの登場方法にツッコまなくなったらそれすなわち合法化だよ!?(錯乱)
ほら上官さんも反応に困ってるじゃん! ……まぁ俺も面倒だからスルーする(渾身)けど!!
「我も正確なところはわかりかねますが,彼らの証言を信じるならば遅くとも今日の内には着くでしょうな……もしかすると直ぐにでも「ドンドン! 王子! 重大な報告が!」……おや」
ゾルデが話している最中に,部屋の外から騎士の声が聞こえた。
……噂をすればなんとやらですね,見事なフラグ回収お疲れ様です。
「入るといい」
俺はそう言って扉の外の騎士に入室を促すと,入ってきた騎士に早速とばかりに尋ねる。
「……何があったというのだ?」
流れ的になんとなくは想像はつくが一応聞いておこうか。
「はっ! 実は今しがた沖にデルカダールの船が出現したことを確認しました!!」
……なーるほどね。それにしても流石に早すぎないかい?
この町は建設途中なこともあって,現在は予定外の船の接近には敏感になっていることを加味しても報告が早い……。
これは予想以上にすぐそこまで来ているな?
「……わかった。では早速こちらからも船で連絡を取るとしよう」
「そ,それが既にあちらからは小舟で接触がありまして……!」
ファッ!? ええいそれをもっと早く言っておくれよ! 更にこれ以上何があるって言うんだ!!
「どうやらデルカダールの王子が直々にお越しになったようなのです……!」
……俺は思わず天を仰ぎそうになるのをグッと堪えて指示を出す。
「すぐに上陸の許可を出す! 丁重に迎えるのだ!!」
おのれ~モーーゼーーフ!!!
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そんなこんなで急いで用意を整えてから騎士を連れて港までやってきたわけだが,デルカダール王……子と思われる赤いマントを羽織った立派な衣装の男が数人の供回りのみを引き連れて既に上陸していた。
「……ほう,作り始めて間もないと聞くが中々に立派な港であるな」
距離的に声は良く聞きとれないが,唇の動きを見た限りではどうやらここを褒めてくれているようで,これには俺もニッコリである。
……それにしても,あれがモーゼフ王子……後のデルカダール王か。
サマディーとデルカダールの仲が悪いわけではないが,"王子"とはいえ今や大国の国政を一手に担うほぼ"王"みたいな男がたったこれだけの護衛のみ引き連れて突撃してくるとは……王族としての自覚が足りないのではなかろうか?()
あとなんというか……めちゃくちゃ老け顔……ゲフンッ! もとい風格があるな。
顔の造形は原作とほとんど同じなのだが,まだ髪の毛が白く染まっていないこともあって原作の見た目よりは若く見える。
だがそれでも自分と比べると,同じく王子だと呼びにくいほどに貫禄のある顔つきである。
当然のように俺より歳は上なんだろうが,それにしても余裕で親子を演じられるレベルには差を感じられるでござる。
……目つきも鋭いしちょっと怖いと思ったのは内緒だ。
それに身長もかなりデカいな……。
今の俺はこの世界でもかなり大柄な方なんだが,そんな俺と目線がほぼ同じに見える。
しかも服の上からでもわかるぐらいにはガタイも良さそうだ。腰に下げている宝剣も飾りではないということだろう。
「ん? おお! 貴殿がもしや!!」
そんな若干失礼なことを考えていると,向こうも俺に気が付いたようで笑顔を浮かべてこちらに近づいてくる。
なんともわざとらしい笑みをしていらっしゃるね~。そのぐらい流石に俺でもわかるよ。
……おっと,こちらも反応しないと。
「ご明察の通りで……」
やばっ! 無意識に疲れが出ていたのか,あんまりそれらしい言葉が出てこなかった!
そこで彼がこちらを見定めるように目を見つめてきたことで,俺とモーゼフ王子の視線が至近距離でかち合った。
……え,何?
俺は困惑しながらも,謎の発想によりなんとなく先に目線を逸らした方が負けのような気がして,そのまま見返した。
…………
……
俺には長く感じたが実際には一瞬だったであろう時間を経て,モーゼフ王子が先に目を閉じた。
……やったぜ! 今の勝負は俺の勝ちね!!
……というか今更かもしれないけど,何のために王子自らこんなところまで来られたわけ?
「フッ……ハッハッハッ! いや失礼! まずは突然の来訪の無礼を詫びさせてもらいたい。だが実はワシ自らここまで来たことに大層な理由などなくてな……近頃噂の"サマディーの天馬"が近くにいると聞いてこの目で見てみたかったのだ! ハッハッハッ!!」
ぎゃー!? まさかデルカダールにまでその恥ずかしい渾名が広がっているだと!?
それにしても既に一人称が"ワシ"だと!? 雰囲気ありすぎじゃねーか!!
……しかもまさかというか俺の心を読んだとでもいうのか!? モーゼフ……恐ろしい男!
ごふっ! ……今の一瞬で俺の脳のリソースをここまで侵略した手腕は見事だ。
だが情報過多による精神攻撃のつもりかもしれないが俺の勝ちは揺るがんからな……それに傷は浅いぜ。(致命傷)
俺が呼吸をするかの如く内心で怒涛の冗談をキメていると,モーゼフ王子が続けて話し出す。
「では,改めて名乗ろうではないか……」
!!
目の前の彼がそう言い放った瞬間,その雰囲気が一気に変わった。
そしてその雰囲気のままにこちらに手を差し出しながら,続けて言った。
「ワシがデルカダール国が王子! モーゼフ・デルカダールである!!」
……っ!!
以前にセレン様と対面した時とは比にならないほどの圧が俺に襲い掛かった。
そうだ忘れていた……ムウレアでは初対面から友好的な部分を洗面に出されていたが,まさにこれこそが王の放つ覇気だ!
いつも穏やかな父上が玉座で臣下相手に時折見せるものに似た圧倒的なプレッシャー!!
戦場とはまた違った独特の雰囲気に気圧されて,思わず少し後ずさりそうになる……。
……だが俺も部下たちが見ている前で無様を晒すわけにはいかないのだ!
ここはこちらも名乗らさせてもらうとしよう。あちらが国王の代理などではなく純粋に王子と名乗ったのであればこちらも対等の立場として応えようではないか。
「私はサマディー国が王子! ハムザ・サマディーである!!」
俺が力強くそう宣言して手を握り返したことで,互いを見つめる俺たちの視線は再びぶつかり合った。
ちなみに主人公はゾーンの反動による体調不良を一晩寝ただけでほとんど治したようです……これも日頃の修行の成果ですね!
3章はもうすぐで終わりになりますが,今年もよろしくお願いします!
それではまた!('ω')ノシ
今の文字数ってどうですか?
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少ない
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いいかんじ
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