「G3ユニット」を基調として形成した外骨格型の補助器具を製作し、アバーライン警部の骨格と体格に添って造り上げた
英国紳士は全て特注品を身に付けるそうですし。
左之助さんもスーツは私の仕立てたものを着ていますし、好きな人が自分のモノを身に付けている。とても心地好く思えます。
「Mrs.相楽、スーツの内側に着るのか」
「外部に纏っても良いんですけど。ドクトルが『パワードスーツは内側に身に付け、スーツを脱ぐときに見えるのが嗜み』と言っていたので」
「パワードスーツとは?」
「企業秘密、ですね」
そう言って私はアバーライン警部の身体をしっかりと固定し、前腕部と脚部のサポートを行うように設定した具足を確かめる。
元々、ひみつ道具の「スーパー手袋」を流用して拳銃の反動を抑えつつ、自由に動けるように組み込んでいるわけですけど。
ヒューリーさんの改造手術もしっかりと進んでいる。
ドイツにある「ポーラールート」へ向かうにしても、移動手段の確保と人員のため、色々と必要なことが沢山あるわけです。
それに、だんだんと「仮面ライダーストロンガー」のようになってきたヒューリーさんは少し不安です。ドクトル・バタフライは、趣味に走りすぎです。
「ケイ、ちょっと来い」
「え?あ、な、なんですか?」
着物の襟首を掴んてわ引き摺ろうとするDr.ピーベリーの手を何とか頑張って回避しながら、彼女の近くに歩いて近付くと小さな声で「他者の記憶を呼び起こす術はあるか」と聴いてきました。
ジョン・ドゥの記憶の件ですね。
「あるには、有りますけど」
「そうか」
「えと、ドゥさんの記憶ですか?」
「黙れ。いや、違うな。アイツの中に残っているのなら問題なく聞けるが、どう見ても考えてもアイツは私の知っている男ではない」
そう言うと煙草を吸おうとする彼女の手を握り、ゆっくりと彼女の目を覗き込み、静かに見つめる。濁って憎悪の混ざった瞳に、僅かに光が残っている。
「ドクトル、事が済めば構いませんか?」
「No Problem。君の意思なら構わないさ」
「ありがとうございます。ピーベリーさん、もしも取り戻したいのならお手伝いしましょう。私と貴女はもうお友達なんですから、ね?」
「……お前、発言が一々怪しいぞ。けど、そのときはお前に頼むとするさ」
「はい。頼まれます」
Dr.ピーベリーは少し柔らかな笑みを浮かべたとき、ジョン・ドゥが此方を見ているような気がした。いえ、実際に見ていますね。
視界に映ったら、ずっと覚えていますので。