「……懐かしいな。私の逃げた道だ」
「どれぇ?」
「彼処だ。木が折れているだろう?」
「みえた!」
Dr.ピーベリーに抱っこして貰いながら窓の外を見ているひとえは楽しそうに笑いながら、パタパタと着物の袖を揺らし、彼女に抱きついています。
仲良くなるのは良いことだけど。
お母さんは寂しいです。
そんなことを振動を感じない謎の空間(ただの四次元ポケット内)に押し込まれ、ぼんやりと外を眺めていると左之助さんが入る場所を探して、ペタペタと触っています。
トランクケース越しでも見えるんですね。
そう思っていると、私の入っている四次元トランクケースを掴み、何処かに運ぼうとする左之助さんと見える場所に置いておくように告げるドクトル・バタフライの声が聴こえてきた。
べつに悪いわけではないですが、私の事を何処かに運ぼうとするのは止めて下さいね?しとりとひとえの見える場所に居たいですから……。
「ん!母様、みつけた!」
「フフ、かくれんぼじゃないですよぉ?」
「しとりも入る!」
「え?ああ、あぶなひぃいっ!?」
ぴょんっ、と普通に飛び込んできたしとりを受け止めるために動くも、今まで作ってきたひみつ道具や仕事道具、我が家のドンと親分、ボスまでもがトランクケース内の縄張りから集まり、しとりを受け止めてくれた。
「し、心臓に悪いことはやめてね?」
「ん!」
ドクンドクンと脈打つ心臓の痛みに耐えながら、そうドン達に守られて無傷のしとりに話し掛けると、素直に答えてくれる。
優しくて良い子なんです。
ただ、天真爛漫な女の子過ぎるんです。
「母様、大丈夫?」
「……えぇ、大丈夫ですよ。しとりが来てくれましたから、お母さんは寂しくありませんよ」
私の事を心配してくれる彼女の優しさにクスクスと笑いながら、ゆっくりと短く切り揃えたショートカットのしとりの髪の毛を触り、優しく頭を撫でてあげる。
あなたは誰かに優しさを分けてあげることの出来る素敵な女の子です。もしも、悪いことに巻き込まれても誰かを頼ることを覚えていて下さいね。
私は、あなたが幸せになるのを願っていますから。
「しとり、おいでぇ」
「ん!」
ぎゅうっと飛び付いてきたしとりのことを受け止め、ゆっくひと背中をポンポンと叩いて、膝枕をしてあげる。これから大きくなって、大人になって、好きな人と結ばれる貴方を見守るのは楽しみです。
だから、あまり危ないことはしないでね。お母さんはビックリすることや怖いことは苦手だから、貴女が怪我しないのが一番なんです。