ゲバルト・リヒターと奥さんの再会に私達が居ることは無粋と考え、ドクトル・バタフライと一室に部屋を出た瞬間、一斉に襲い掛かってきたフランケンシュタインが粉微塵に炸裂し、血飛沫が天井まで降り上がる。
チャフの天幕と壁のおかげで私は血に濡れる事はありませんが、ドクトル・バタフライは暫しの多幸感と破壊衝動らしき物に身震いしています。
正直、怖いですけど。
ホムンクルス故に仕方ないことです。
「……ふう、すまないね。少々危なかった。血の中に興奮剤を投与していたのだろう。君に掛かっていたら心臓が破裂していたかも知れないな」
「怖いこと言わないで貰えますか!?」
思わず、そう言葉を荒げてしまう。
ゆっくりと心を落ち着かせて、通路に挟まっている巨大なハエを見つめる。ヴヴヴヴヴヴーーーッ、羽音が聴こえるけど。
私は、何も見ていません。虫は怖いですし、苦手です。おばけよりも怖いです。私も体力や身体はクソザコとかクソザコナメクジとか言われるけど。
あれは普通に悪口だと思う。
「ムッ。どうやらお客さんの様だ」
「……死体卿ですね」
そうドクトル・バタフライに呟きながら、三人に増えた白服に死のエンブレムを飾ったシルクハットを被り、髑髏のステッキを持つ死体卿が立っていた。
「成る程、Dr.リヒターの客人は君達か」
「私の要求は断っていたと思うのだが」
「そうだな。私よ」
一拍置いて、私達を睨んだ。
「「「実に不愉快だ」」」
ケタケタと笑っていた三人の怒りと憎悪と敵意の込められた眼差しに身体が竦み、逃げ出したい気持ちが溢れて、ドクトル・バタフライの腕を握ってしまう。
「全く、Ladyを怯えさせるなど無粋極まりない。死体卿、そもそも私達と君の知能では分かり合えないのだよ。私と糸色君からすれば自称天才の君は下の下の下、子供と大して変わらない」
「(煽りを、なぜ?!)」
困惑する私に見向きもせず、駆け出してきた三人の死体卿が一瞬にして粉微塵に炸裂し、肉塊に変わり果てる。チャフによって爆発を起こしたのでしょうね。
「ふむ、不味いことになった。この男は言わば魔人ブウと同様の能力を有しているようだ。チャフの一部が消化され、危うく核鉄が消えるところだった」
その言葉にまた戸惑う。超常の合金を溶かす胃液を生み出せる。───ということは、その気になれば全身を利用して溶解液の怪物になれるということ。
あまりにも規格外のやり方に頭が痛くなる。こんな相手と左之助さん達は戦うことになるんですか?