某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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死体卿の楽園 急

「ふむ、総力戦というわけか」

 

「ひゃあっ!?」

 

ぬるりと私の真横に現れた子供サイズの死体卿に悲鳴を上げ、トランクケースを抱き締めたまま後退りして、瓦礫に躓いて私は地面に転んでしまった。

 

チャフがクッション代わりになってくれたおかげで怪我はありませんけど。恨めしげに死体卿を見上げつつ、彼から離れるように歩き、逃げる。

 

本当にビックリするのは嫌いです。

 

「ん!母様、見つけ……お前、なに?」

 

ニコニコと笑っていたしとりが、スンと無表情に変わると同時に電光丸の鯉口を切り、いつでも抜刀できるように構える。

 

ひとえはまだ来ていないようですが、死体卿を睨むしとりに近付いて、ゆっくりと抱き締め、よしよしと頭を優しく撫でてあげる。

 

「私は大丈夫ですよ、ね?」

 

「……ん!近付いたら斬る!」

 

「そもそも近付く前に私は死ぬだろう」

 

ぎゅうっと抱き締め返してくれたしとりを抱き上げ……抱き上げ、れないですね。お膝の上に乗せることは出来てももう抱き上げられません。

 

少しだけ悲しいけれど。

 

しとりが健やかに成長していると考えればすごく嬉しいことです。しとりと手を繋いで、ひとえの事を混戦するポーラールートの中で探さないとです。

 

「ひーちゃん、どこかなあ?」

 

「フフ、大丈夫です。直ぐに見つかりますよ」

 

そう言いながらひとえの事を探しているとムジナのボスの背中に乗って縦横無尽に駆け回っているひとえが居ました。問題は街灯を掴んで振り回しているところですね。

 

ケラケラと楽しそうに笑いながら死体卿の分身を吹っ飛ばしていく姿は無双武者の如く鮮やかですが、いつも私のために力を押さえてくれていたんですね。

 

「ひとえもしとりもお父さん似ですね」 

 

顔は私に似ているのに、不思議です。

 

「母様、ひーちゃん居たね!」

 

「えぇ、楽しそうですね」

 

にっこりと笑うしとりに頷きつつ、どうやって話し掛けようかと悩んでいると、しとりがドンと親分を呼び出して、ひとえ達を止めてくれました。

 

私の娘達はアグレッシブすぎますね。

 

「かーさま、みつけた!」

 

「しとりの方が先だよ!」

 

「ねーさま、すごい!」

 

「ん!」

 

キラキラと目を輝かせながら拍手をするひとえに、フンスと胸を張って自信満々に笑うしとり、二人ともとても可愛いです。しかし、まだまだ死体卿の分身は町の一部を埋め尽くすほど沢山いますね。

 

少しだけ憂鬱な気分になっていると赤ちゃんのような見た目のフランケンシュタインが現れ、ビクリと私は肩を震わせてしまった。

 

知っていても怖いものは怖いです。

 

「ん!すーちゃん!」

 

「ハラ、へった」

 

「えと、お腹が空いたの?」

 

ひみつ道具の「コンクフード」を差し出してあげると電極プラグを出すほど歓喜しています。やはり、ひみつ道具はすごいだすね。

 

 

 

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