アール・シュタインと半日を過ごし、のんびりと会話を続けていると、いつものように金色の蝶を現れる前兆のように使い、ドクトル・バタフライがやって来る。
「Goodタイミングだったかね」
「グッドではないですかねぇ」
そう答えながら私はベンチを触り、ゆっくりと立ち上がってドクトル・バタフライに席を譲り、彼らの会話が聞こえない位置まで移動し、左之助さんを待つ。
私とアール・シュタインが歩いているとき、ずっと見ていましたから一人になれば来てくれる。いえ、彼も知ろうとしてくれているのかもしれませんね。
もっとも、転生者という事を明かす事は生涯無いのかも知れませんし。あるいは、教えることがあるのかも知れませんけど。
「景、もう大丈夫か?」
「えぇ、大丈夫です。シュタインさんのお話しの相手は私ではなくドクトルのほうが務まりますし。なにより親友と本音で話せるのは良いことです」
「まあ、そうだな。けど、オレはお前が何を話してたのかかなり気になってるんだがな?」
「えと、それはお家に帰ってから話します。それより、しとりとひとえが食べたいと言っていたプティングをみにいきましょう?」
「プティングっていうと、あの焼き菓子だよな」
焼き菓子。まあ、合っていますけど。
左之助さんはお菓子を作る工場を担っていますからね、毎日のように動けるのは凄いことです。紳士淑女の方々もチョコレートを沢山食べられるのは、良いことだと思っているはずです。
「………なんだか、空が目に沁みますね」
「そうだなあ……何処の空も見上げれば誰かと繋がっている。剣心や薫達も見てるかも知れねえ」
そう言うと左之助さんは空に手を伸ばし、拳を握る。しっかりと何かを掴み、ゆっくりと手のひらを開いて、私に右手を差し出してくれた。
「歩いていけばまた会えるだろ」
「フフ、そうですね♪︎」
ゆっくりと手を握り返して、歩き出す。
この人に出会えたのは本当に幸せです。
……しかし、私の事を狙う人の多さが年々増しているように思えるのは気のせいではないですね。楯敷君か、あのアロハシャツの男性が送り込んで来ている。
やっぱり、この力を巡るように神様は何かを施しているのでしょうか?それとも私だけに振るえない力を与えて、その様子を楽しんでいるのかもしれない。
Bon Voyage。
良い旅を。
そう言っていた理由は何となく分かります。私は「物語」の中を歩いている、歩いて、成長して、家族に出会えて、幸せになっています。