ドクトル・バタフライとアール・シュタインの会話は無事に終わりを迎えて、左之助さんと私もようやくのんびりと過ごせると思っていたとき、ジョン・ドゥがDr.ピーベリーに絡んでいるのが見えました。
記憶を失って尚も求めるのは最愛の人。
フランケンシュタインの望んだ結末としては最高のモノなのではないでしょうか。しかし、左之助さんやヒューリーさんに絡みに来るのはやめてほしいです。
左之助さんは寛容ですが、ヒューリーさんはフランケンシュタインを殺すと宣言した通り。彼の事を未だに破壊するために狙っています。
「母様、ぴーちゃん悩んでるよ」
「ぴーちゃん」
すうっとDr.ピーベリーを見るとしかめっ面のまま煙草の火を灰皿で揉み消し、自分は関係ないと言わんばかりに身体ごと顔を背ける。
「ぴーちゃん、呼んでるぜ」
「黙れ」
「つれねえなあ?」
ニヤニヤと笑っているジョン・ドゥにDr.ピーベリーは忌々しげに彼を見上げ、片目を閉じた彼の顔にまた不愉快そうに顔をしかめっ面にする。
過去の最愛の人を連想し、悲しんでしまう。
「景、ありゃあ何してんだ?」
「えと、さあ?」
ジョン・ドゥを避けるように歩き出したDr.ピーベリーを追いかけていくジョン・ドゥ。だんだんと早歩きに変わる彼女にイライラとした表情に変わり、殺し合いのような喧嘩に発展しそうになる。
「私のお店を壊すのは止めて貰えるかな?」
「ジイサン、そいつは聴けねえぜ。コイツが逃げてるのが悪いんだからよ」
「お前が突っ掛かって来るからだ。馬鹿者め」
「……Mrs.相楽、二人に君の発明品を貸して上げて貰えるだろうか。あの過去を思い出せる発明品を」
アール・シュタインが、そう言ってきた瞬間にDr.ピーベリーの目付きは鋭さを増し、ジョン・ドゥは自分の過去を知ることが出来る機会と機械に目を見開く。
しかし、余計な事を言いますね。
「ケイ、寄越せ。揉むぞ」
「っ、破廉恥なのはダメです!」
ささっと左之助さんの後ろに回り込み、彼女の手を避けつつ、そう訴えると「なら素直に貸してくれ。あまりお前を傷付けたくない」と言われてしまった。
「景、貸してやってくれねえか?」
「……左之助さんが、そう言うなら……」
渋々と、トランクケースを開ける前にDr.ピーベリーとジョン・ドゥが二人きりになれる部屋をアール・シュタインに借りて、二人に知りたい時代を問いかける。
当然、十年前の出来事でしたけど。
それを言わなければ、過去の出来事を映像として見ることの出来るひみつ道具「タイムテレビ」は起動してくれませんから仕方ないです。
それから時間は進み、二時間後。
Dr.ピーベリーの怒号とジョン・ドゥの笑い声が仕立て屋の二階に響き、私は絶対に怒られるという確信を抱きつつ、左之助さんの背広作り、しとりとひとえの洋服作りをアール・シュタインに手伝って貰っています。