某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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倫敦の街中で 序

一先ず「エンバーミング」の「物語」は結末を迎えたけれど。正史と違って主人公のヒューリー・フラットライナーは人造人間ではなく改造人間に生まれ変わった。

 

Dr.ピーベリーは過去の出来事をジョン・ドゥに教えてしまったため、色々と大変な事になっていますが、あの人は強いから大丈夫なはずです。

 

『たったひとつの命を捨てて、生まれ変わった不死身の身体。鉄の悪魔を叩いて砕く』でしたっけ……良い得て妙とはこういうことを言うんでしょうか?」

 

少し酸味の強い紅茶を注がれたティーカップを口許に近づけ、喉を潤しながら、出版社の方に頼まれて遠路遙々日本から原稿を取りに向かっているという般若の事を想像し、申し訳ない気持ちになります。

 

「(……私は『双亡亭壊すべし』も『邪眼は月輪に飛ぶ』も描きたいけど。広めたら『物語』が繋がってしまうから一筆も描くことは出来ない)」

 

せめて私の亡くなった後に描かれたら「物語」が繋がることはないんですが、それまで我慢してもらえるとは思えないため、ドクトル・バタフライに描くこと事態に禁止命令を受けています。

 

素敵なお話ばかりなんですけどね。

 

「さっきの言葉が、俺の行く末か?」

 

テラスの戸を開けて入ってきたヒューリーさんの言葉に首を傾げ、直ぐに「たったひとつの命を捨てて、生まれ変わった不死身の身体。鉄の悪魔を叩いて砕く」と呟いていた事を思い出す。

 

しかし、これからの彼の人生はこの言葉と同じように何体居るのかも分からない鉄の悪魔(フランケンシュタイン)を倒すために費やされ、やがて終わりを迎えることになります。

 

「……当たらずも遠からずです」

 

「イトシキ、この拳や力はアンタとピーベリーに貰ったモノだ。いつか恩返しに使わせてくれ。それまで、出来るだけ長生きしてくれよ」

 

「フフ、長生きはするつもりですよ」

 

「そうか。なら安心だな。」

 

そう言うと彼はテラスの手すりを飛び越えて、古びた鞄を担いで飛び出していく。どうやら一人だけでフランケンシュタインを破壊する旅に行ってしまうようですが、彼ならきっと大丈夫でしょう。

 

「景、寒くねえか」

 

「今日はみんな心配してくれますね。私、そんなに体調が悪そうに見えますか?」

 

「景は色白だから仕方ねえんじゃねえか?オレので悪いが羽織っとけ」

 

自分の着ていた背広を脱いで、私に貸してくれた左之助さんに「ありがとうございます」と言いながら、ティーポットの紅茶をカップに注いで、左之助さんにも私と同じものを差し出す。

 

「美味しいですから、一緒に飲みましょう?」

 

 

 

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