ここ二週間の平穏を楽しんでいたというのに、左之助さんは酒場に赴いて、ルーザールーズに興じているようです。普通はやりませんからね?
私の心配を余所にしとりもひとえも倫敦の街中を歩きまわり、個魔の方がいるから、まだ安全ですけど。二人はとても可愛いから心配です
もしも人攫いが出たら……。
想像するだけで不安になってしまう。
「(みんな、楽しんでいるけれど。私は大好きな絵を描く事を自由に出来ない。好きなモノを描いて、自由に『物語』を知ってほしい)」
そう思ってしまうのは、どこまでも自由奔放で我が儘な私の願望です。あまり褒められることではない。私の筆は混沌を生み出して、未来の子供達に不安を与える。
それは、とても恐ろしく怖いことです。
「私の手は何をするために……」
この
そして、その一つは「和」をモチーフとした「物語」を引き寄せやすいということですが、「前世の記憶の保持」の封印を解けば見えるのでしょうか?
「三度目は止められないよ」
「……ドクトル、それ大手です」
「ムッ。待った、まだ手はある筈だ」
ウンウンと将棋盤を見下ろして唸るドクトル・バタフライを横目に用意されたカステラをフォークで一口サイズに切り分け、ほろりと口の中で解けるカステラを味わい、紅茶をゆっくりと飲む。
「飛車を動かせば桂馬で捕まえますよ」
「なら、金角は?」
「歩が動かせます」
「……手詰まりだ。また始めよう」
「フフ、いいですよ」
渋々と駒を戻すドクトル・バタフライの顔を身ながら、クスクスと笑ってしまう。いつも以上に真剣に駒を打って、インスピレーションを高めていますね。
倫敦の各所に潜んだ野良のホムンクルスと、その他の錬金の戦士を対応し、多忙な日々を過ごしている筈のドクトル・バタフライの姿とはかけ離れている。
しかし、その理由も分かります。
自己陶酔と自己肯定の歪さを隠さず、自分達の存在こそ世界を救うと信じ、私とドクトル・バタフライの事を彼らは狙っているわけです。
本当に悩ましい限りです。
「ドクトル、私は何をしたらいいんでしょうね」
「ふむ、珍しくナーバスになっているようだね。あまり根を積めるのはオススメしないよ」
「……分かっているでしょう。もう長くない」
「分かっているから言っているんだ。左之助君や他のみんなに教えず、どうにかしたいのだろう」
私は、あとどれくらい……