新聞に空を飛ぶ紳士のゴシップを見つけ、眼鏡を外して眉間の頭を押さえる。ドクトル・バタフライ、目立たないように行動すると言っていませんでしたか。
どうして、浮遊するんです。
呆れ、困惑の眼差しを新聞に向ける。
何か思惑があるのかも知れませんが、あまり目立つ事は止めてほしいです。いえ、人の趣味嗜好を否定できる立場ではありませんし。
私が偉そうに注意することはないてすけれど。
寧ろ私に言われてしまうのはダメだと思います。そうベッドの上で二人仲良く眠っているしとりとひとえの頭を優しく撫でながら考える。
二人とも健やかに育っている。まだまだ幸せな姿を見たいけれど。身体が重い。心臓が痛い。肺が苦しい。血の気が引いて、いつも視界が霞む。
もう時間は少ないです。
せめて、未来で起こる出来事だけの辻褄合わせを行っておきたい。「うしおととら」や「からくりサーカス」もその内の内容だと思います。
ただ、「からくりサーカス」から誰かが来たということはありません。酷く心配になるのは仕方ないですが、楯敷君の影響でしょうか。
どこか近しいものを感じている。
「んぎっ!?」
「あ、ワリぃ…」
いきなり後ろから伸びてきた手に頬っぺたを挟まれた瞬間、コキンと首の骨が鳴り、変な痛みに涙を堪えながら恨めしげに逆さまに見える左之助さんを見る。
「最近の左之助さんは意地悪ですっ」
「いや、わざとじゃねえんだが」
「わざとじゃなくても止めて下さい。私の身体が貧弱で脆弱で虚弱なのは知っているでしょう?」
そう背もたれに身体を預けたまま話していると、左之助さんの手がようやく解かれ、ゆっくりと身体を戻して、首筋を擦って痛みを和らげる。
しかし、また左之助さんの手が首筋に触れる。
「左之助さん?」
「んー、こうか?」
「ひぎいっ!?」
コキッと首の骨が鳴り、痛みに悲鳴を上げてしまったそのとき、しとりの素早い抜刀が左之助さんの前髪を僅かに切り落とす。
「父様、苛めちゃダメ!」
プンプンと可愛く怒りながら椅子に座る私に抱きつき、左之助さんを怒るしとりに「父ちゃんは虐めてないぞ?」と否定しています。
ひとえ、貴女は起きてまた寝るのね。
お母さんのピンチです、もう一度だけ起きてほしいです。ひとえ?ひとえ……ダメですね、ぐっすりと眠っているようです。
まあ、可愛い可愛い私の娘の寝顔を見ていられるのは良いことですね。しとりも怒っている顔も可愛くて、とてもソーキュートです。
かわいいかわいい私の娘達です。