「グオオォォォーーーッ!!!」
咆哮を上げて地下施設の天井を破壊し、私は左之助さんに抱かれながら脱出することは出来たけど。あの中に居た雪代巴は培養槽の中にいるままだ。
私の不安と悲しさを他所に飛び上がって再び現れた呉黒星をベースとしたホムンクルス調整体は素早い動きで外印を連れて入り江の近くに着地し、不揃いな牙、異様に隆起した筋肉の身体を震わせ、無造作に構える。
「化け物と喧嘩するのは初めてだな」
「阿呆が。喧嘩など生易しいものか。其処で杖を握る蝶野の言葉が正しいなら、アレは人を喰らい、成長する正真正銘の怪物だ」
「何より死体を弄ぶ性根が許せん」
「直ぐに助けるでござるよ」
左之助さん、斎藤一、四乃森蒼紫、緋村剣心、彼らは自分の武器を構えて目の前にホムンクルス調整体と対峙し、一人も臆することなく一斉に飛び出し、継ぎ接ぎ部分を攻撃する。
「ハハハハッ!!無駄だ、私の造り上げた精巧な屍人形にホムンクルスの幼体を寄生させたんだ。ただの棒切れで倒せるわけがない!!」
「外印、お前の相手は俺だ!姉さんを汚し、姉さんの生を侮辱した罪を死んで償えッ!!」
「チィッ!お前の姉を蘇らせてやろうというのに、何故そうも抗う!あの姉こそがお前の全てなのは分かっている事だ!!」
四人をバカにするように高笑いする外印に一足飛びで斬りかかり、豪速の倭刀を振り抜き、力任せに木々を切断していく雪代縁に向かって悪態を吐き、鋼線を振って抵抗する外印のふたりに私は視線を向ける。
「確かに姉さんは俺の全てだ。だが、俺の全てだったからこそ二度と悲しみを感じず、安らかに眠る姉さんを無理やり目覚めさせた貴様を許しはしない!!」
「この恩知らずの若僧がァ!!!」
外印が左右の手を同時に横に振るい、雪代縁の身体を切り裂こうとした刹那、雪代縁の身体が地面に伏し、強烈無比な一撃を外印の身体に刻み付けた。
雪代縁の切り札倭刀術絶技「虎伏絶刀勢」によって、あれほど事態を騒がしく乱していた外印は倒れ伏した。死んでしまったのか?と見れば、僅かに手足が動いているのが見える。
「少年、後は私の役目だ。引き受けよう」
「……好きにしろ。ソイツの腕は粉々に砕いておいた。もう二度と芸術だなんだと言えないだろうさ」
蝶野爆爵は静かに倒れ伏す外印を見下ろし、彼の懐に手を入れると何かを取り出した。一瞬、ほんの一瞬だけど。シリアルナンバー「LXX」の核鉄が見えた。
「だあぁあぁっ!!うざってえな!!」
蛮竜を振りかざして高速で振り回し始める左之助さん。緋村剣心と初めて戦ったときにも使っていた遠心力を加えた超重量級の武器の特性を活かした攻撃が調整体の外付けされていた片腕を叩き斬った。
「斎藤!」
「騒ぐな。目星は付いている」
左之助さんの声に応えるよりも疾く牙突の体勢で駆けた斎藤一は宣言した通り、右足の付け根に刀を突き立て、横に刀を薙いで足の筋繊維を切断して機動力を奪う。
「ルオォアァアッ!!」
「蒼紫様!」
「案ずるな。力一辺倒の木偶に過ぎん」
調整体の残っていた片足と片腕が弾ける。
「───故に、回天剣舞の前では無意味だ」
左之助さん、斎藤一、四乃森蒼紫が調整体の動きを封じるために手足を切り裂くが瞬時に肉体は再生し、素早く緋村剣心に襲い掛かったその時だった。
九つの斬撃が呉黒星を中心にホムンクルスの肉体を破壊していき、辛うじて残っていた呉黒星の身体を引きずり出して完全な決着を迎える。
「縁、お前の仲間でござろう」
イビツな章印のひび割れ、砕けた呉黒星を抱き上げる緋村剣心に侮蔑の眼差しを向け、雪代縁は彼の抱える事切れた呉黒星を投げ捨てた。
「
「……嗚呼、これで最後でござる」
ゆっくりと二人は入り江に向かって歩き出す。