「ヒーローマシンを作ってみた」
もう作っていた筈では?とお父様達への手紙を書いている私の部屋にやって来たドクトル・バタフライに言えば「アレは試作段階のモノだと思ってくれたまえ」と、にこやかに言われてしまった。
でも、怖い目に遭うヤツは嫌です。
この前のときも私の事を知らない左之助さんに出会って、本当に辛くて怖くて恐ろしくて不安に潰されそうになったのを覚えているんですからね。
「それで、何をするんですか?」
「転生者の定番と言えば『原作介入』だが、もう一つは『別世界への訪問』だと私は思うのだよ。まあ、信二君に聞いただけなのだが…」
「私、行きませんからね?」
「リフレッシュになると思うのだが」
「だが?ではありませんよ、もう」
ドクトル・バタフライや不破信二の行きたい世界はバトル漫画や格闘漫画の世界でしょう。私みたいに身体の弱い人は冒険できるとは思えません。
そもそも私が向かえば、どんな影響を来すのかも分からないのに迎えるわけがないです。
「むう、折角作ったのだが……」
「じゃあ、ひーがあそぶ!」
「おお、ひとえ君が遊んでくれるのか!」
「えっ、だ……うぅん、少しだけですよ?」
「あい!」
さっきまで絵本を読んでいたひとえが元気良く挙手し、ドクトル・バタフライも乗り気で応じ、二人して私の事を見詰め、渋々と了承してしまう。
うぅ、か弱い母親でごめんね。
しょんぼりとしながら、ドクトル・バタフライにカセットを選ぶように言われたひとえは沢山並んだ物語にキラキラと目を輝かせて、ウンウンと可愛らしく小首を傾げてしまっています。
フフ、かわいいですね。
「こえにする!」
「おや、桃太郎かね」
「あい!」
ドクトル・バタフライの問いかけに答えたひとえは「ヒーローマシン」の台座に乗り、ゲームの中に入ってしまいました。
無事に終わると良いんですけど。
そう思いながら画面を見ると犬と猿とハシビロコウ……ハシビロコウ??を引き連れたひとえの姿が画面に映り始める。
ひとえの号令で動く犬と猿。
鬼を眼光で押さえ付けるハシビロコウ。
何故、ハシビロコウを?
「ふつうは雉じゃないんですか?」
「選べるようにしたんだが、ひとえ君は雉よりハシビロコウに興味を見出だしたようだね。ハシビロコウは大人しいから大丈夫だろう」
それは、そうですけど。
桃太郎になったひとえはバッタバッタと鬼を退治し、犬と猿とハシビロコウを引き連れ、鬼ヶ島を目指している途中で、お団子屋さんに寄り道していますね。