左之助さん達の眠った真夜中、私はススハムや不破信二の在席していない転生者定例会議の席に座り、ドクトル・バタフライとアール・シュタイン、ウィリアム・ヘンリーの三人が空席のある円卓に座っています。
「さて、今後の議題についてだが、糸色君はアールとウィリアムの二人を一緒に言葉を交わすのは初めてだろう。いつか全員揃って話したいものだ」
そう言って笑うドクトル・バタフライの言葉に私も賛同しつつ、久しぶりに会えたウィリアム・ヘンリーに「お久しぶりです」と言えば「久しぶりだね。ネエサン」と笑顔を向けられる。
今の彼は、左之助さんに似ている。
緋村剣心や姿お兄様ではなく左之助さんに似ているという事は左之助さんは、本当の本当な当代無敵になったということです。
しかし、左之助さんと違って、へにゃりと笑っている姿を見てしまうのは、こう、夫の見てはいけない知らない部分を見ている気分です。
いえ、悪気は無いのでしょうけど。安居院さんの言葉で自我を持ち直していたから、もう自我の芯は揺るがず、しっかりとウィリアム君の目には揺るがない絶対的な意志が宿っている。
「先ず、議題として挙げるのは転生者の事だ」
「僕達?」
「いや、正確には『転生者』と『物語』と言うべきだろう。この世界の主軸は『るろうに剣心』を始めとした日本の物語だ。私の『統一された世界』という巨木に枝葉の如く『物語』は繋がる」
────しかし、
その真実を隠して、今後の議題を話し、今も一人か二人は増えている転生者の事を話すドクトル・バタフライに申し訳なく思う反面、大体はこの人が事件を運んでくるという現実に頭を悩ませる。
「ネエサン、そういえば僕も読みたい漫画があるんだけど。もしも可能なら描いてもらえる?」
「と、唐突ですね。あと左之助さんの顔で近付かないで下さい、ビックリしますから……それで、どういう漫画を読みたいんですか?」
ずいずいっと席を近付けてきたウィリアム君に驚きつつ、ニコニコと笑う彼の顔を押し退け、そう問いかけると嬉しそうにウィリアム君は皿に笑った。
「僕さ。『ジョジョの奇妙な冒険』を読みたいんだけど。描いて貰えるかな?」
「……もうジョナサン・ジョースターやディオ・ブランドーは海の底ですよ?去年がファントム・ブラッドの終わりを迎えた時期ですし」
そう話しながらニコニコと笑うウィリアム君から視線を逸らし、ドクトル・バタフライを見ると「既に終わった『物語』を描いた場合、どうなるのか検証しておくべきか?」と熟考している。
誰か、とめてください。