時代は明治23年。
その半年後─────。
日本へ帰ります 序
企業拡大を進めてお菓子工場の事はアール・シュタイン達にお任せして、私達は無事に日本の横浜港を経由し、無事に東京へと帰ってきました。
「お帰りなさい。景さん」
「ただいまです」
穏やかな表情を浮かべて出迎えてくれた薫さんに左之助さんも「おう。帰ったぜ」と返事を返し、私と薫さんがぎゅうっと久しぶりに会えた親友と抱擁を交わす足元で、しとりは剣路君に抱き付いています。
「し、しとり!近い!近い!?」
「? 母様達もしてるよ?」
「うっ、ううぅ…!」
二人とも十一歳(数え年の十歳)ですからね。
思春期真っ只中というわけです。ひとえは二年前に生まれた明神君と燕さんの子供に挨拶という名目で頬っぺたを触りに言っていますね。
フフ、元気で仲良しなのは良いことです。
「剣心も久しぶりだな。禿げたか?」
「禿げてはおらんでござるよ。
「あのオッサンも変わらずか」
そう話し合っている。
改めて、日本に帰ってきた自覚を持てました。やっぱり日本の空気と雰囲気が落ち着きますね。ほんとう、船旅も空旅も死ぬほど辛くて苦しいものです。
せめて私の身体にあっていれば良いんですが、私の乗り物酔いは本当に治りませんね。これも楯敷君の与えたものなのかと勘繰ってしまうけれど。
前世も似たようなものでしたからね。
「もう海外は良いの?」
「えぇ、
「……そう、なのね。あっ!そういえば聞いてくれる?剣路ったら神谷活心流を教えているのに、いつの間にか比古清十郎に弟子入りしてたのよ!」
「母さんの剣は嫌いじゃない!……けど、おっちゃんならオレをしとりより強くしてくれると思うんだ。だから、その、えと、オレはおっちゃんに習いたい」
薫さんの言葉に反論しながらも認めてほしいと訴える剣路君の頭をよしよしと撫でるしとりは既に姿お兄様の飛天御剣流を使えます。
その事は内緒にしておきましょう。
「剣心、やっぱりお前は敵だ」
「認めるのも親心でござるよ」
「認めん!まだ四年ある!」
剣路君は元服の時までに一太刀でも左之助さんに当てさえすれば、しとりと夫婦になってもいいという条件を駄々を捏ねて無理やり捩じ込んだ左之助さんは少しだけ大人気ないと思います。
まあ、それだけしとりとひとえのことを愛してくれているのなら嬉しいですけど。ひとえの時はどうなるのかと不安になってしまいます。
この子は年下に好かれやすいから、どうにも操さん家の息子君にアプローチを受けていますし。燕さんと明神君の息子君に好かれています。