日本刀。分類は「太刀」。拵えは清国拵え。振るう術理の名前は「倭刀術」の雪代縁の本気の戦いを見るのは外印に捕まっていたから今回が初めてだけど。
その気迫は恐ろしく冷たく、身体の芯を凍てつかせる殺意に満ちた眼差しを緋村剣心ただ一人に向け、刀印に組んだ左手を峰に添え、肩担ぎの上段に構える。対して、緋村剣心は正眼に逆刃刀を構え、静かに雪代縁を見つめている。
「行くぞ、抜刀斎!」
入り江の砂が爆ぜる程に力強く踏み込み、豪速の歩みで緋村剣心に突進と刺突を複合した倭刀術「回刺刀勢」。本来は返し技、カウンターとして使用する技を
───だが、返し技の特性故に初撃に用いる事には適していない。前世の記憶で知っている場面に似ているが、その時返し技を使ったのは緋村剣心だ。
「
「ぐっ、アァアアッ!!」
雪代縁の怒りを籠めた倭刀の刺突を逆刃刀で逸らし、がら空きになった彼の身体に乱撃を叩き込み、逆刃刀の柄頭を顎に打ち付け、無理やり雪代縁を弾き倒す。
「…
ユラリ、と立ち上がった雪代縁に身体が強張る。
「ウゲッ、血塗れの顔で嗤ってる」
「益々、復讐鬼の顔付きだな。四乃森、お前もああなっていたんじゃないか?」
「……否定はせん」
巻町さんの引いたような声に続き、斎藤一が四乃森蒼紫をわざとらしく煽り、彼は怒ることもせず、淡々と言葉を返すのみだった。
このふたりって意外と仲良しなのだろうか。
そう思いながら二人を見ていたとき、さっきまで私達と一緒にいた筈の蝶野爆爵の姿が見えず、何処かに行ったのかと辺りを見回す。
ふと、微かに粒子が見える。
『レディ、私は先に失礼するよ。日本本土に帰ったら銀成市を訪れたまえ。そこで私の正体、そして錬金術に関する世界の変容を伝えよう』
「…………」
『心配なら君の夫も同行していい。ただ、余り吹聴されるのは我々としては困るため、一人で来ることをお勧めする。───では、GOOD BYEだ』
そう言うと私の周りを飛んでいた「チャフ」が消える。おそらく外印の身体も持っていっているんだろうけど。もう私には何も出来ないし、何もしない。
「噴ッ!!!」
「ハァッ!!」
飛天御剣流「龍槌閃」と倭刀術「朝天刀勢」の衝突によって凄まじい衝撃波と金属のぶつかる歪な音が入り江に響き、二人の戦いは熾烈さを極め始める。