剣撃特化型の懸糸傀儡「太郎丸」の製作を終え、その出来上がりを人形遣いのアンジェリーナさんが試し、改善点や不具合を調べています。
私の作った初作人形「太郎丸」の動きは力強くしなやかに人間の可動域を越え動作を可能にする分、僅かに動きは緩やかに見える。
剣撃による攻撃手段のベースは見浦流免許皆伝の才賀正二の演武を模倣し、出来る限りの再現し、ゆっくりと仕上げた作品です。
「素晴らしい出来映えだ」
「景、これお前の」
「……何の事でしょう」
私の方を見ながら呟く左之助さんから、ぷいっと顔を逸らして私は無関係を装う。まあ、確かに動いている「太郎丸」を見たかったのは事実ですけど。
仕方ないです、作り方を学んだのなら。
試しに作ってみたくなるんです。こう、私ももの作りをしてみたいという気持ちがあったんです。それにガンダムを作っていないだけ、マシだと思います。
「しかし、本当に不思議な光景だ」
そう呟く才賀正二の目の前には唐倶利武者や足軽殺駆達と遊ぶしとりとひとえの姿がある。
───けれど。
人を傷付けるプログラムは組んでいないし。彼らには人間に優しく出来る
「私達も分かり合え……いいえ、フランシーヌ人形を止めない限り、こうした光景を見ることは絶対に出来ないのでしょうね」
「アンジェリーナ……」
二人の気持ちや問題を解決する手段は無いわけではないですが、未来の子供のために動くというのは良いことなのかも知れませんね。
でも、余計な事をしてしまいそうです。
あまり気負うつもりはないのですが、左之助さんの近くに座り直して不安を誤魔化し、紛らわせ、困った風に笑いながらも左之助さんを見る。
「まあ、カズキや賛もいるんだ。大事だろ」
それは、そうだけど。
……いえ、生まれるのは後ですね。武藤君達はもう少し後の時代に生まれる訳だから、お妙さんの子供か、あるいは孫の時代になるのかしら?
「左之助!左之助!アレは何だね、光の塊みたいなものが出ているぞ!」
「オレも知らねえが?」
殺駆の一人が排熱を行う姿に興奮する才賀正二の姿にアンジェリーナさんもクスクスと楽しそうに笑い、私と左之助さんも苦笑を浮かべてしまう。
本当に楽しそうに笑っているんですね。