アルレッキーノの質問は続いている。
左之助さんの愛による笑顔の作り方を聞き、納得する反面、自分自身の愛を与えるだけではいけないという考えを定義し、パンタローネやコロンビーヌ、ドットーレの三人にも共有する様です。
「サノスケ、人間の強さとは何だ」
「想いの力だろ。コイツにだけは勝つ。その想いが力に変わる。人形だろうが人間だろうが喧嘩に勝つのは度胸のあるヤツだ」
「度胸。人間の魅せる最後の一瞬か」
「まあ、そんなもんだな」
「イトシキ、お前の意見を聴きたい」
ぐるりと顔の向きを変えてきたアルレッキーノに驚きつつ、人間の強さについて考える。
「人間賛歌でしょうか?」
「……オレも知らない言葉じゃねえか」
「人間賛歌は『勇気』の賛歌。人間の素晴らしさは勇気の素晴らしさ。『怖さ』を知り、『勇気』を持てば自ずと前に進めるものです」
……もっとも私は怖じ気付き、勇気なんて一生の内に二回か三回程度振るえれば良いんですけど。そうならないのは偏に私の性格のせいですね。
「勇気。しろが達の燦然と輝く瞳は勇気か」
「そうですね。人間は信念を持つことで強さを発揮します。左之助さん風に言えば生き様ですかね?」
「あー、確かに生き様は貫くもんだな」
「信念。生き様。日本特有の文化か」
私の言葉に頷くアルレッキーノのティーカップに紅茶を注ぎ、ゆっくりと席に座り直す。しかし、私の顔を何度も見るのはやめてほしい。
私は普通の人間ですから、あなたの求める笑顔の持ち主というわけではないんですよ。フランシーヌ人形は既に代用品、本物のフランシーヌ人形は今も尚世界を放浪しているか。
あるいは、既に日本に来ているかです。
「私に必要なのは人間の様に覚悟を持ち、信念を貫ける生き様ということか。サノスケ、どうすればお前のように覚悟を持つことが出来る」
「お前はとっくに持ってるだろ。フランシーヌってヤツを守り通して、笑顔にする。そんだけ大事に思えるのは覚悟を持っているからだ」
そう言うと左之助さんは笑い、アルレッキーノはまた僅かに動きを止める。左之助さんと私の笑顔を見比べているんですかね。
もしもそうなら、少し恥ずかしいです。
「サノスケ、もしもお前のように太陽の如く笑える男が現れたのならフランシーヌ様は笑えるのだろうな。暫しの
「おう」
「そして、フランシーヌ様にお前の笑顔を魅せたい。着いてきて貰おう」
「え?」
「愚かなり。奥方様には指一本触れさせぬ!!」
突然の言葉に固まる私の、私達の近くに隠れていた唐倶利武者がトランクケースを飛び出し、アルレッキーノの事を斬りつけ、外に吹き飛ばし、塀を越えて逃げる彼を追いかけて行ってしまった。
どう、しましょうか。
「しゃあねえ、追うぞ」