忍者の話題を聞き、チラリと屋根を見る。
どう見ても忍者の格好をした男の人が佇んでいる。御庭番衆の家紋も身に付けていない辺り、お父様の派遣して下さった忍者ではありません。
つまり、野良忍者です。
……野良忍者とは?
そう自問自答を繰り返していると忍者の背後に現れた個魔の方によって野良忍者は影の中に沈み、ペッと刀や苦無など危険な物だけが吐き出される。
「景、個魔のヤツが何か喰ってるのか?」
「いえ、危険要素の排除をしているんだと思います。野良忍者が居たから御庭番衆もすごくピリピリとしているみたいですし」
「ぴり、なんだそれ?」
「さあ、なんでしょうね」
だんだんと増える荷物を拾う事に疲れ始め、縁側に腰かけてドクンドクンとうるさいぐらい鳴り響く心臓の鼓動を確かめるように胸に手を添える。
「(大丈夫。大丈夫、まだ動いている)」
アルレッキーノの衝撃波を受けたとき、恵さんに診察して貰った。あの時に言われた「心音が不規則になっている」という言葉は本当でした。
早く楯敷君を止めないと……。
「景、大丈夫か?顔色が悪いぞ」
「え?あ、ああ、大丈夫ですよ」
ぐっと力こぶを作ってみせるものの、おでこに手のひらを当てられ、ビクリと身体を強張らせながら、ひんやりとした手に少し身体の熱が引いていく。
まだ、大丈夫な筈です。
落ち着いて、深呼吸をする。
「けほっ、…けほっ…」
「少し横になっとけ。恵のヤツを呼んでくる」
「っ、大丈夫ですから、傍に居て下さい」
ゆっくりと左之助さんに抱きついて、縁側に座って貰いながら彼の肩に身体を預ける。あの一撃、あの衝撃波を受けたときに心臓に負荷を掛けてしまった。
しとりとひとえには教えていませんし。左之助さんにも教えることは控えて欲しいと恵さんにお願いしている。いつも通りに過ごしておけば大丈夫です。
ぎゅうっと彼の頭を抱き締める。
「左之助さん、ちゃんと動いていますから」
「……嗚呼、動いてるよ」
「ね。だから、大丈夫です」
そう言って私は彼の頭を優しく撫でてあげ、ちゃんと動いているから大丈夫だと告げる。こうして貴方を抱き締めていると安心できます。
「……さて、休憩しましたし。まだ降ってきている危険物のお片付けの続きをしましょうか?」
「危険物というか危険そのものだろ。苦無やら手裏剣やら明らかにお前の事を殺すために用意しているとしか思えない代物ばかりだ」
「そうなんですか?」
「オレかお前以外に狙われる要因はない」
確かに、そうですねえ。
「ああ、そういえば羊羮を貰っていたんでした。お片付けが終わったら食べるために準備してきますね」
ポンと手を打って私は庭に左之助さんを取り残したまま、台所に向かう薫さんに貰った羊羮ですから、しっかりと味わいたいですね。
「ごほッ、ゴホッ……ゲホッ……はあ、死にたくないなあ」