ディーン・メーストルは道化を演じる者である。
才賀貞義は信愛を持って相手に取り入る者である。
フェイスレスは顔無き支配者である。
そして、白金は兄と最愛に執着する者である。
強さと巧みさを兼ね備えた技術者の彼はハッキリと言えばドクトル・バタフライに匹敵し得る才能の持ち主。百年以上の戦闘経験を埋める事は難しい。
「さあ、教えてくれ」
「教えません。私の身体を奪おうと考えているのなら不可能ですよ。私の身体は『
「そこまで気付いているのか」
老人の顔がぶれて、顔が若々しく変わる。
しろがね。ディーン・メーストルの顔に戻った彼は興味深そうに私の事を見つめる。既に彼の手駒にすり替わっている周囲のお客さん達に視線を移す。
無機質な表情。銀の目、銀の髪。
おそらく「O」の
「
半分、正解です。
私の身体は二つの『特典』と『物語を繋げる能力』、そしてサンピタラカムイ様の神酒のおかげで、辛うじて機能している状態です。
「ああ、気になるじゃないか。もしも単一性を持続できるのならアンジェリーナだけじゃない。フランシーヌの記憶を完璧に受け継いだ人形を造り出せる!」
「ゴホッ…けほっ、げほッ…」
そう言って笑みを深めるディーン・メーストルの伸びてきた手を制止し、口許を押さえる。さっきから私の周りに飛ばしているのは
私に使えば自由に出来ると思っているんですか?
「私の身体を触るのは止めて下さい。貴方でも対処できない病気が移りますよ」
「病気を盾にするのか。まあ、良いさ。死んだ後に身体を調べれば良いからね。けど、次に会う約束の代わりに君の眼鏡を貰っていこう」
「え?あ、返して下さい!」
ぼやける視界に手を伸ばすものの、視界の何処にもディーン・メーストルは映っておらず、すでにお店を出ていったのだと理解し、小さく溜め息を吐く。
「……怖いのは、嫌いです…」
どうして、私に固執するんでしょうか。
私よりも強くて綺麗な人は沢山いる。フランシーヌやアンジェリーナに向ける視線と違ったけれど。彼の視線は恐ろしく獲物を狙う眼差しだった。