某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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しとりの妖刀 急

朝の稽古を終えたしとりは髪を纏めていたリボンを解き、満足そうに笑顔を竹刀に向ける。その度に影から刀の柄が生えるけれど。

 

多分、大丈夫だと思います。

 

そう楽観的に思うことにしたものの。やっぱりガチャガチャと聞こえる金属音と鍔鳴りにこめかみを押さえつつ、しとりを見ると汗を拭いている。

 

恥じらいを感じるのでしょうが、剣路君の近くだとそう言うことは気にしないのか。平然と首元の汗を拭いて、顔を赤くする剣路君に小首を傾げている。

 

「ケッ。マセガキが」

 

「ダメですよ。左之助さん」

 

「いーんだよ。アイツはまだ一太刀もオレに加えてねえんだ。剣心のヤツもオレの出した条件に納得してるだろう?」

 

ケラケラと笑う左之助さんの意地悪に苦笑いを浮かべ、そこまでするのかと思ってしまう。いえ、実際に昔は殴り飛ばしたりしていたそうですけど。

 

そう考えるとお父様は稀有な方ですね。

 

しかし、お父様としては糸色流の能を継いで欲しいでしょうし。私や姿お父様のどちらかに当主の座を譲り、穏やかに能に没頭したいとも言っていた。

 

「ねーさま、ひーもやる!」

 

「ん!こい!」

 

袴に履き替えてやって来たひとえらブンブンと竹刀を振り回し、その姿に微笑みを浮かべながら、しとりは竹刀で優しく受けと───る前に弾き飛ばされた。

 

「わあ、すごい金剛力」

 

思わず、そう呟いてしまった。

 

しとりも雪駄を擦って踏みとどまり、ビックリした様な表情を見せたかと思えば深い笑みを見せ、右手に構えた竹刀を引き絞り、切っ先に左手を添える。

 

「牙突なんぞ教えたのか!?」

 

「お、教えてませんよ。私は剣術を使えませんし、そんな怖いことは無理ですから!」

 

慌てて否定するもおでこがぶつかる瞬間、凄まじい衝突音が聴こえ、そちらに顔を向けるとしとりとひとえが鍔迫り合い、荒削りではなく完全に我流の動きのひとえに、しとりは戸惑っている。

 

剣路君も止めに入るも、二人とも押されている。

 

「ねーさま、けんちゃん、まけない!」

 

「ひーちゃん、強いね。けんちゃん」

 

「いもーと分にオレは負けない!」

 

三人の遊びは続いている。

 

「ひとえは景に似てきたなあ」

 

「私、あんな風には出来ませんよ?」

 

「いや、あの人を惹き付ける目だよ。顔もそうだが、ひとえはお前の大事な何かをすげえ深く引き継いでいるように思うぜ」

 

それは、そうだけど。

 

「むうっ、これ使いにくい!」

 

「蛮竜でも使うか?」

 

その言葉に空気が鋭さを増す。

 

ひとえは笑顔で右手を突き上げた。

 

「やりよ、こい!」

 

刹那、北落師門がひとえの手に収まる。

 

「(天才が同時に三人も?)」

 

 

 

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