某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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無銘刀 急

流石に全ての刀を鑑定し、名前を見定めるのは疲れるため、しとりとひとえに今日は終わりですと伝えたら素直に頷いてくれる。 

 

「しとり、右手は大丈夫ですか?」

 

少しの間とはいえ紅桜に絡み付かれていた右腕の袖を捲り、傷や怪我が無い事を確認し、ほうっと安堵の吐息をこぼす。

 

あまり無茶はやめてくださいね?

 

「左之助さん、覗き込まないで下さい」

 

「そうか、もう確かに恥じらう年頃か…」

 

「ん!わたしは気にしない!」

 

いえ、そこは気にしましょう。

 

しとりとひとえは可愛いんですから、そういうところは真面目にしっかりと教えます。お母さん、とても心配になるんです。

 

まあ、大の大人よりも二人は強いですが。

 

「ひとえも隠すんですよ?」

 

「あい!」

 

元気良く返事をするひとえとしとりの頭を撫でていると、やっぱり気づいてしまった。しとりの身長はもうすぐ私を越えてしまう。

 

うぅ、どうして、私は150cmしかないのでしょう。

 

前世の小学高学年とほぼ同じです。

 

せめて、160cmくらいほしかったです。

 

そう悲しさと姉妹の成長の喜ばしさに何とも言えない気持ちになりながら刀を影に沈め、またしても冷や汗を流す個魔の方に苦笑を向ける。

 

「左之助さん、左之助さん」

 

「どうした?」

 

「二人が重くて動けません」

 

「…………大きくなったなあ」

 

ひ、浸りたいです。

 

私も感慨深く浸りたいので、しとりとひとえのどちらかを抱っこして下さい。このままだと潰されて、変な声を上げてしまいそうです。

 

「母様、潰れる?」

 

「かーさま、抱っこする?」

 

「うぅ、とうとう要介護認定されました…」

 

泣きそうになりながら、しとりとひとえの姉妹に挟まれると背丈だけ抜かれて、年下のように扱われるのでは?と期待してしまった。

 

もうすぐ三十路なのに、悲しい(さが)ですね。

 

「母様、抱っこできる!」

 

「ひーもできるよ!」

 

「あっ、えっ、高い!高いかもです?!」

 

わあーっ、と私の事を担ぎ上げて歩き出した二人にビックリしながら左之助さんに助けをもとめるもまだ感慨深く浸っています。

 

私も浸りたいから待ってくださいっ。

 

「ん!ん!ん!」

 

「うぷっ、き、きもちわるくなって…」

 

「あい!」

 

御輿のように扱われ、なんだか気持ち悪さと吐き気に口許を押さえながら廊下に降ろしてもらい、子供の唐突な遊びに大変さを体感している。

 

ち、力が強いと自覚する前からしとりもひとえも加減してくれていますから怖いとは思いませんけど。本当に悩ましく感じてしまいます。

 

せ、せめて、もう少し体力があれば……。

 

 




【概要用語解説】

本作の単語や転生者、その親族を解説します。

紅桜(べにざくら)

全長76cm
反りは浅く鋒大切先造り。
茎は雉子腿股。
鞘は蒔絵塗鞘。
柄は捻巻。

本来は「銀魂」に登場する妖刀。

戦骨の依頼を受けて灰刃坊の拵えた妖刀であり、二枯仙の生命幹を素材に使って造った一振り。妖気の吸収と浄化を行える。

・位列は大業物

24工の一振り。

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