お妙さんの登場に警戒心を露にするデスガロンとスパークの二人の傍を離れ、フンスと机の上に座って自信満々に腕を組む可愛らしい巓さんを抱き上げる。
「知っているわよ。立花ゲンジロウ、砦シゲル、最後のひとりは楯敷ツカサ。お婆ちゃんの書き残した禁書に細かく載っていたからね」
「糸色妙。お前の強さは知っているぞ。時間さえ違えば神に等しき力を手に入れた女。お前を捕まえれば俺達もかなり動きやすくなる」
「へえ、私に勝つつもり?」
大胆不敵に笑みを浮かべ、パキリと左手を鳴らすお妙さんの威圧感が増大し、私は巓さんを抱っこしたまま足腰の力が抜けて、ペタンとへたり込んでしまう。
圧が、重くのし掛かる。
「OK。無駄な戦いは御免蒙る。おやっさんと違って、俺は雷を使えるアンタとやり合ってまともに生き残る自信は流石に無いからな」
「じゃあ、アロハシャツの貴方は?」
「……店を壊されるのは勘弁だ。此処は嬢ちゃん達がよく通ってくれるからな」
「なら今回は許してあげる。虎翼、来なさい」
お妙さんがそう呼べば壁に突き刺さっていた槍は彼女の手元に戻り、懐剣のように鞘に納めた状態になる。この子が私の……しとりの孫達なんですね。
「お婆ちゃん、あんまり危ないところに行かないでもらえる?別に行動を制限するつもりはないけど……変なのに絡まれやすいって本当だったのね。巓にも気を付けるように言っておかないとだわ」
「? 何か言いましたか?」
「何も言ってないわよ。巓、そろそろ帰るから此方にいらっしゃい。白面の者の自我を出しても帰るときは帰ることは決定事項だから」
「くっ、おのれ」
「ごめんね。お婆ちゃん」
「フフ、良いんですよ。巓さんも大きくなったら会いに来てくださいね。私も未来の貴女が健やかに育つことを願っています」
そう言って私は名残惜しそうに手を伸ばす巓さんの頭を優しく撫でてあげ、お妙さんの頭も撫でてあげると「ハハハ、すごい新鮮な感じがする」と笑った。
「来なさい、蛮竜」
蒼天に雷轟を響かせ、地面に突き刺さった蛮竜の柄に触れたお妙さんと巓さんは帰ってしまった。まだ、明治時代にいれば良かったんですけど。
やはり、そう簡単に解決できる問題ではないのでしょうね。左之助さんにも伝えて、ドクトル・バタフライ達とも相談しないといけませんね。
ああ、本当にやることが多いです。
コピーロボットを使うと左之助さんはすごく怒るし、もう少しだけ上手く折り合いを付けることは出来ないのでしょうか?