日本妖怪の総大将「ぬらりひょん」と勝負して捕まえて帰ってきたしとりの胆力に驚きと焦りを抱きつつ、のっそりと動くぬらりひょんを見る。
「童の動きじゃなかった…」
「子供の成長は早いですからね」
そんなことを話しながら私はぬらりひょんにお茶を差し出して、浦鮫の事をどうするのかと問えば「儂が持つよりマシかも知れぬが、人間が持つには強すぎる」と真剣に悩んでいる言葉が返ってきた。
浦鮫に勝るとも劣らない武具。
影の中に沈んだ十本の妖刀を差し出す事をしとり自身が嫌がっていますし。そうなると必然的に糸色家の受け継いでいる家宝や、何故か集まる妖刀聖刀魔剣聖剣等々の一風変わったものを見せなくてはいけない。
「景、刀なら何振りか在ったろ。もうそれ渡して帰ってもらえよ」
「ほう?」
「……あまりお勧めはしませんよ?」
「見るだけ見せてくれ」
私の言葉では止まってくれないぬらりひょん達に少し溜め息をこぼしつつ、私は左之助さんと一緒に二番目の倉に納めた七十二本の桐箱を選ぶ。妖怪の触ることの出来ない代物もありますね。
しとりの持つ妖刀達は陰陽五行説と十干の性質を持つ物であり、使い方次第では妖刀ではなく聖刀として扱える代物になります。
「魔窟みたいな倉だな」
「そうか?慣れれば問題ないぜ」
「儂、人間が分からなくなってきたわい」
「私は普通ですよね」
「いや、一番怪しいのはお主じゃて」
日本の妖怪総大将にも怪しまれる雰囲気とは本当に何なんでしょうね。一体、私が何を、怪しまれるようなことをしたというのですか。
か弱くて貧弱で脆弱で虚弱な私が知恵を絞ったところで貴方達に太刀打ちできる訳がないでしょう。左之助さんも分かっているのに、悪のりして酷いです。
悲しい。
「しかし、妖刀に好かれ過ぎ……儂の使っていた刀も収まっとるんじゃが、どうなっとるの?」
それは、分かりませんね。
少なくとも私が妖刀を集めている訳ではありませんし。どちらかと言えば妖刀が妖刀を呼び寄せて、だんだんと量を増やしているだけです。
左之助さんの蛮竜には届きませんが、どれもこれも優れた我が物ばかり。ぬらりひょんなら純然に使いこなしてくれるでしょうね。
「ん!母様、あれ見せたい!」
「あれ?」
「ぬらりひょんの孫!」
んぐっ、また勝手に私の書斎を物色しましたね。
「……儂に孫とな?」
ああ、いえ、そういうわけではないんです。
「未来視の神通力か」
そんな真剣に見つめないで下さい。
別作品、別の『物語』ですからね?