しとりによって『ぬらりひょんの孫』を知ったぬらりひょんは感心しながら呵々大笑の笑みを浮かべる。
幸い、まだ六巻分(桜姫と恋するのはもう少し先ですから)しか描いていなかったおかげで、その先の出来事は知らずに済んでいます。
あとで、しとりにはお話しです。
お母さんの部屋に入るのは構いませんが、読んではいけない本棚を読むのは止めましょう。まあ、昔は春画を描いていたりした分、子供達には絶対に見せられないものもありますけど。
「(無事に帰ってくれたから良いものの。あのまま未来の出来事を教えるように言われたら恐怖に負けて、教えてしまっていたかも知れませんね)」
あまり危険な事はやめてほしいです。
「ひーもよみたい」
「……もう少し大きくなったらね」
「むう」
「可愛くむくれてもダメですよぉ?」
「むーっ!」
「フフ、かわいいですねえ♪︎」
プンプンと自分が怒っていることを一生懸命に伝えようとするひとえの事を撫でて、優しく抱き締める。貴女は、そのまま元気に育ってくださいね。
「わたしもぎゅーする!」
「父ちゃんが余るんだが?」
「左之助さんも、ぎゅうしますか?」
「する」
く、食い気味に答えますね。
ちょっとだけ驚きながらも左之助さんに手を伸ばすと、なぜかしとりとひとえが私に覆い被さり、二人に邪魔された左之助さんは「は?」と語気が強まる。
お、怒っちゃダメですからね?
「ん!父様、最近母様に酷いことしてた!」
「悪いことしちゃだめ!」
「一番大事にしてるが?」
「ん!ん!ん!」
ベチベチと左之助さんの事を叩くしとりの怒り方に本当に皆目見当もついていない左之助さんに苦笑を浮かべながら、私も虐められたり酷いことをされた記憶もなく、首を傾げてしまう。
「しとり、ひとえ、苦しいです」
「かーさま、ぽかぽか」
「え?あの、ひとえ?ひとえさん?」
ぎゅうっと抱き締めてくるひとえにビックリしながら、左之助さんを見たら、しとりを抱き上げて、居間を飛び出した庭先でぐるぐると回転しながら怒っているのが見えた。
一体、何をしているんですか。
「ん、かーさまお昼寝しよ?」
「……仕方ないですね。此方においで」
「んっ」
両手を広げる私のところに寄ってきたひとえを抱き締めて、ポンポンと彼女の背中を優しく撫でていると、ひとえは嬉しそうに目を細める。
「フフ、かわいいですねえ」
よしよしと彼女の頭を撫でていると、ケラケラと笑うしとりと、ぬらりひょんとの酒盛りを終えた翌日だったせいか。あるいは、回転していたせいか。
左之助さん、酔っていますね。