しとりとひとえに図書館の自由閲覧を許可した翌日。ソファに腰かけて、山積みになった本達に囲まれ、ペラペラと本のページを捲っているしとりと、うつらうつらと絵本を持ったまま眠り掛けているひとえが居ます。
「(『金色のガッシュ!!』も『炎の転校生』もジャンルは違うのに読めるのは良いことです。しかし、熱血系が好きなのでしょうか?)」
そう思いながらソファの前に置かれた本達を整理し、手の汚れない竹楊枝と羊羮を並べ、お茶を用意してあげつつ、ペラリとページを捲るしとりを見据える。
本を読むことに集中していますね。
「(『夏目友人帳』に一喜一憂するしとりもバトル漫画が好きになってきたわけですね。けど、『TATTOO HEARTS』に登場する刺青に興味を持つのはダメです)」
しとりの珠のような柔肌に墨なんて言語道断。
貴女は貴女のままで強いですし、妖怪モノが好きなのは知っているので『みえるひと』や『でろでろ』、『犬夜叉』もしとりは気に入っていますね。
「しとり、目も疲れてしまうから、本を読むのは一旦止めてお菓子を食べましょうか」
「……ん、まだ読みたい」
「フフ、なら栞を挟みますか?」
「わたしはしとりだよ?」
「! ふ、ふふふ、確かにしとりですね」
私の差し出す白紙の栞に可愛らしく小首を傾げながら、自分の名前を呟くしとりの頭を優しく撫でてあげ、もう眠ってしまったひとえの隣、しとりとひとえの間に座り、彼女にお膝を枕代わりに貸してあげる。
「母様、しとり、わたしもこれ欲しい」
そう言って、しとりは本を開く。
『でろでろ』に登場する幽霊を吸える煙管型の食器を指差すしとりに苦笑を浮かべながら、本を受け取って、代わりに竹楊枝を差し出す。
「……幽霊煙管は早いですね。そもそも幽霊を吸い込める煙管を作るのは難しいですし。けど、しとりが探せばあるかも知れませんよ」
「ん!わたしも見つけたい!世界中にある、色んなモノを母様の描いた世界を歩いて、母様が笑ってくれるお話をいっぱい集める!!」
「しとりは冒険家になるんですねえ…」
色々な場所を巡って、楽しく笑うしとりの姿を想像して、なんだか笑顔になってしまう。ずっと日本に留まらず、私達の都合で連れ回していたから、すごく心配だったけれど。これならもう安心です。
「しとりが楽しかったと思える日々を過ごせることをお母さんは願っていますよ。けど、ちゃんとお勉強もしましょうね?」
「……お話しできるからいいもん」
アレはひみつ道具のおかげですよぉ?