どうやら風邪を引いていたようです。
恵さん曰く「貴女、ここ何日か疲労の溜まることしていたでしょう。普段から弱いのに身体が弱りきっているじゃないの」とのことですが、自分の身体の事ですから薄々は理解していました。
しかし、いつもより思考は安定している。
「(自分の『特典』に脳機能のキャパシティを奪われて、変な事を言っていた頃よりマシだと思いますけど。左之助さん達には言えないことですからね)」
そんな事を思い浮かべていると寝室の戸を開けて、此方を覗くしとりとひとえに「風邪は移るから来ちゃダメですよ」と伝えるものの、あまり意味はなかった。
「入ってきちゃダメなのになあ……」
「ん!わたしは平気!」
「ひーもへーき」
そう言って自信満々に胸を張る姉妹に苦笑を浮かべつつ、左之助さんが帰ってきたら部屋の外に連れ出して、風邪が移らないように二人に手洗いとうがいをするように言ってほしいですね。
「母様、お顔拭く?」
「いえ、口布をしていますから」
よしよしと二人の頭を撫でてあげながら、居間に戻るように伝えても離してもらえず、子供体温の湯タンポが二つも布団の中に出来てしまいました。
しかし、あまり褒められたことではない。
「二人ともダメです。部屋に帰って下さい、ね?」
「やっ!」
「やじゃないです。しとりとひとえにもしも私の風邪が移ってしまったら、お母さんは悲しくて泣いてしまいます。だから、お願いできますか?」
そう言って二人の事を優しく抱き締める。
多分、しとりは薄々私が長くないことを理解しているのでしょうね。せめて、四年、あと四年は生きていれば貴女の花嫁衣装を見ることが出来るんですけど。
そのためにも門矢君達が無事に旅を終えて、楯敷君の事を止めてくれれば問題ないのですが、楯敷君は時間と世界を移動している。
なにより私が死ぬ前に『物語を繋げる能力』を奪うためにやって来るはずです。だから、この前のデスガロンやスパークもやって来たわけです。
「(そうなる前に、せめて……)」
そう何度も願ってしまう。
死ぬのは怖いです。
私にこの力を与えた神様の思いも分からないけれど。楽しんでいる訳じゃない、私達の行動を見て、彼らは学んでいる最中です。
────ですが、神様の用意する世界が「仮面ライダー」と「スーパー戦隊」だけとは限りません。「ウルトラマン」や「メタルヒーロー」「プリキュア」だって、「時代劇」や「スペースオペラ」だって、色々な可能性を見るためにあり得るわけです。
「(ゴジラの世界だったら、どうしましょう)」
怖いですよね、ゴジラ。