のんびりと平穏な日々を過ごすのは良いことだと私は思うけど。左之助さんは強敵達と戦っていた日々を思い出して、少しだけ彼は退屈そうだ。
そこで、ふとあることを思い出す。
「そういえば左之助さんは緋村さんとの決着は付けなくて良かったんですか?」
「…………それだ!何か頭の隅に引っ掛かってると思ってたんだよ。京都に行く剣心を取っ捕まえて、喧嘩の続きをしようとしてたんだったな」
私の言葉で思い出した左之助さんは嬉々として蛮竜を担ぎ、隣家の神谷道場に向かって行く。向こうは塚山君と明神君の模擬試合を行っている筈だけど。
それは良いのかしら?
『うしおととら』の鏢と紅煉の最後の戦いを書き終え、静かに感慨深さと彼の壮絶な人生の終わりをしっかりと書き終えることができた事に安堵する。
「……散歩に行こうかな」
私の呟きに隠れていた警官隊の人達が現れ、斎藤一に連絡しようとするので溜め息を吐きつつ、お店の奥に戻って執筆を再開する。左之助さんがいないと散歩も出来ないのは、ちょっと悲しい。
まるで私がトラブルメーカーみたいな扱いも酷いと思うし。なにより四乃森蒼紫達、御庭番衆も京都の料亭「葵屋」に居る筈なのに定期的にやって来る。
新刊を直接買いたい気持ちは分かるけど。
流石に一月に一人ずつやって来るのは止めてほしい。特に般若と巻町さんは次郎丸の話を描いた日から色々と物を送って来るようになった。
忍者のお話が欲しいのかな?なんて思ったりするけれど。流石にそれは自意識過剰だって分かるので、余り変な物は描かないように心掛けている。
「剣心のヤツ、出稽古に行ってやがった」
「また今度機会もありますし。それに緋村さんだけじゃなくて斎藤さんも居るじゃないですか。初めて会ったときの喧嘩は大久保卿の仲裁で有耶無耶になりましたから、そろそろ良い機会なんじゃないですな?」
「確かに斎藤との喧嘩も中途半端だったな」
「巡回の時間ですから会えるんじゃないですか?」
「行ってくる!!」
私の言葉に喜び勇んで二度目の喧嘩巡りに行ってしまった左之助さんを見送りつつ、何とか銀成市へと向かっている間に載せる分は書き終えることが出来た。
「相楽が飛び出していったが何かあったか?」
「え?」
いきなり現れた四乃森蒼紫に驚きつつ、なんで此処にいるのかを聞こうとしたけど。一応、商家の店先だから買い物かと一人で納得する。
「新しい恋愛草紙か。操達が好きそうだな。そして、般若の言っていた物はコレか。ふむ、似ているが鉄棒を使った棍術の一種だな。一冊ずつ買おう」
「ありがとうございます」
「……糸色殿、物は相談なのだが操達が自分も絵巻物に出たいと騒がしくてな」
「あ、あーっ、はい。考えてみます」
次郎丸は絡繰なんだけどな。
巻町さん達を原作に織り混ぜるのは完全な二次創作になるどころか余計な事をしているみたいになるけど、彼女達をキャラに置き換えた非売品ならセーフかな?