その事実に気付いたところで私に出来る事はあるのかというところですけど。どうして、交さんは一人だけしか存在しないのか。
そう思案の命題を固める。
二年の時差には向こうの私も気づいたはずですけど。問題は私達の知っている「糸色交」。正確には「スーパー戦隊」サイドの「糸色交」は何処にいるのかです。
推測できるのは二つ。
一つは、まだ誕生していない。あるいは楯敷君と出会う前に別の誰かに恋をしてしまった。
二つ目は、神崎優衣や佐藤翼と同じ。並行世界、または時間軸を超えて結ばれた子供だった場合、辻褄合わせのように一方の世界だけに存在することになる。
私としては、前者より後者の方がしっくりと来ます。なにより楯敷君の目的は『ラスボスになりたい』以外にもあると考えたら、信憑性はこちらの方が高い。
そして、そのことにはドクトル・バタフライも気付いているのでしょうね。だからこそ、定期的に私のところへと訪ねてくる。
子供のために命を差し出すかも知れないから。
「熟考中にすまないが、ここ数日ほど頻繁にひみつ道具を使っていたようだが、何かあったのかね?」
「ああ、それは子供達が遊びに使っていただけですよ。大丈夫です、危ないものではないので」
そう言いながら、ふと違和感に気付く。
いえ、当たり前の事です。
「(
そして、そうなると私は楯敷君に『物語を繋げる能力』を差し出して、「スーパー戦隊」サイドの「糸色交」の存在を認知しなければいけない。
必要なのは曖昧な正義ではなく理想を奪い、掴み取るための絶対なる悪だったわけです。もっとも楯敷君は「糸色交を助ける」という絶対正義を抱いている。
だから、デスガロンやスパークは彼の行動に協力しているのでしょうし。あくまで悪者として私を狙うことで、「糸色交」に悟らせずに行動できている。
きっと、交さんは誰かを犠牲にすることは出来ないから、そうなるために必要な何かを自分で守ってしまうから、楯敷君は愛しているのに、別れてしまった。
「結論、楯敷君は悪ではない」
「Exactly。その通りだよ、糸色君。もっとも認識に誤謬を与えるなど派手なパフォーマンスを繰り返し、支離滅裂な言葉も刹那的な快楽主義と私達に、強いては交君に誤認させるためだろうね」
やっぱり、そうですよね。