もう夜遅くですから、と続けるも左之助さんは私を抱き締めたまま動かず、どうしたのかな?と少しずれた眼鏡で彼の顔を見ると頬は紅潮し、どこか危うさを感じた。
ああ、これは大変な事になりますね。
次の日の朝。
なぜか私は左之助さんの腕の中で目を覚ました。いえ、うっすらと思い出してきた。「眠」のモヂカラをほぼ拡散的に使ったから、自分にも、おそらく周囲の民家にも影響を出していますね。
あまり褒められたことではありませんが、グースカと眠っている左之助さんの腕を動かし、布団の外に出るとドンと親分、ボスも廊下で寝ていた。
寝床に向かう途中だったのに、ごめんね。
一匹ずつ抱き上げ、彼らの寝床に乗せていく。みんな重くて少し疲れたものの、フラフラと台所に向かって歯磨きを終え、桶に溜めた水で顔を洗う。
「ケホッ、ケホッ…はぁ…また、血が出てる」
消毒液と手拭いを仕舞っている四次元袖に手を差し込み、汚れを掃除して、左之助さん達に見つからない内に、ゆっくりと恵さんとドクトル・バタフライの用意してくれた痛み止めとお薬を飲む。
粉末状のお薬は苦手だったけど。
もう、ずいぶんと慣れてしまいました。
しとりとひとえは敏感ですから、気付いてしまうかも知れないですし。左之助さんは血の臭いを感じて、また私を心配するかも知れない。
嬉しいけど、苦しい。
苦しくて、辛い。
みんなに守られ、大事に扱われる。
それは良いんです。
────だけど、私のために時間を無駄に使わせてしまうのがイヤなんです。悲しいけど、私が居なくなったら後妻を迎えるなり、私のロボットを使ってほしい。
「死にたくないなあ……けど、楯敷君は捕まらない」
そんなことを呟いて、また朝御飯の準備を再開する。せめて、みんなが満足して、私と過ごせて良かったと言えるように、みんなの思い出に残りたい。
もしも、叶うなら、ずっと……。
「景、勝手に動くなよ」
「あ、おはようございます。左之助さん」
「……血の臭いがするぞ」
「魚の臭いですよ?」
そう言って私は鮭を見せると少し私を見つめて「ウソつけねえのに変に隠すなよ」と言われ、やっぱり苦笑を浮かべることしか出来なかった。
やっぱり、バレてしまう。
「すみません。また、咳をしていました」
「ん、そうか。お前が謝る必要はねえし、ちゃんと言ってくれるだけでオレは満足だぜ?」
「……それでも、すみません」
ワシャワシャと私の癖毛の跳ねた頭を荒っぽく撫でた左之助さんは「オレはそこの囲炉裏に座ってる」と言って、火を起こしていない囲炉裏に、私の胸元から取った核鉄を近付け、ボウッと火を点ける。
未だに分かっていない核鉄の機能ですね。
やっぱり、私の持っている「