怖い。
怖い、怖い、怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖いこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいッ……!!
カチカチと歯を鳴らす音が嫌に頭の中に残る。目の前に居る存在から逃げたいと願う度、身体が震えて、呼吸が出来ず、化け物を見てしまう。
ドンと親分、ボスの逆立った毛並み、唸り声、袖の中に仕舞っていたショドウフォンを取り出そうと腕を動かすも、上手く掴めず、袖の中で何もかもが崩れる。
「(死ぬ、死にたくないっ、取られたくない)」
そう思っていたとき、ふう…と身体の力が抜け、私は目の前に立つ青年を見つめていた。この男は違う。侵略者ではなく、騙り、偽りの存在だと頭の中に響き渡り、気が付けば青年は消えていた。
「あなたは、だれ?」
「チッ。折角、アンタの本を読み取って調べたってのに、そういうところも保護しているわけかよ」
私の呟きに余裕の笑みを消した青年は自分の顔を掴み、ビリビリと皮を破り捨てた。知らない人。初めて見る人。それなのに、見覚えがある。
「俺はアンタの力が欲しいんだ。ツカサの野郎やゲンジロウのオッサン、シゲルを越える力を手に入れるにはそれが一番手っ取り早いんだ」
「……じゃあ、貴方も仮面ライダー?」
「いいや、俺はオルフェノクだ」
灰色の怪人が現れた。
大きな巻き込み型の角、白い体毛、その存在感は凄まじく唸り声をあげるドン達が気圧され、僅かに後ろに引き下がるほど恐ろしい。
ゴートオルフェノク
スマートブレイン社の前社長「花形」の変身していた作中トップクラスの強さを誇る怪人。しかし、彼はベルトを持ってきていない。
いえ、彼は持っていないのです。
「海東さんに盗まれたベルトは見つかりましたか?」
「……そこまで知ってやがるのか。いや、ツカサの野郎が警戒する相手だ。そう簡単には奪えないと思っていたが、まさか俺達の事情も知っているわけだ」
「そ、そこまで詳しくはないです」
ショドウフォンを動かし、通話モードに切り替える。ドクトル・バタフライ、ススハムでも、不破信二でも誰でも良いから助けに来て下さい。
「ちょうど良いや。アンタ、変身用のベルトを作れるだろ、俺のためにベルトを用意してくれよ。向こうのアンタはオッサンにせっつかれてたぜ」
ドクトル・バタフライ、向こう側の私に重労働を強いているなんて最低です。次に繋がったときは必ずや抗議しますからね。
お友達価格と言っているんでしょう…!
きっと、そうなんです、ひどいです。
っ、いえ、そんなことを考える前に、どうやって逃げるのかを考えなければいけません。兎に角、絶対に捕まるわけにはいかないんです。