「左之助君、この道具を試して欲しいのだが」
「オッサン、銃はダメだろ」
「ただのトリモチを射つ機材だよ」
「トリモチ……なあ、景」
「イヤですよ、着物が汚れます」
「ダメだってよ」
普通に考えれば分かることです。着物のシミ取りは本当に大変なんですからね?と言いつつ、左之助さんとドクトル・バタフライの二人にお茶を差し出す。
ここ数日は平穏だと思っていたんですけど。
「左之助君、此方はどうだろう。命令を書いて、その人形を相手に貼り付けると如何なる命令も遵守してしまうという」
「買った」
「買わないで下さい」
さっとお財布を出そうとする左之助さんの手をペチンと叩き、ドクトル・バタフライを見る。それって、五寸釘光の買っていた人形セットですよね。
まさか、作ったんですか。
ちょっと、どうかと思います。
「そもそも買ってどうするつもりなんですか」
「そりゃあ、先ずお前に『馬鹿になれ』って命令を与えるだろう?」
「いきなり、非道だと思うんですけど」
「んで、『秘密を喋れ』って使う。馬鹿になったら秘密も何もかも話すだろ?」
「……意外と効率的に使いますね。いえ、そもそも秘密なんてありませんからね?」
「本当かぁ?」
怪しむように私の事を見下ろす左之助さんは左手で私の背中に人形を貼り付けようとしていますが、私って精神操作系や時間操作系の能力を受け付けませんよ?
「チッ。がらくたじゃねえか」
「『ごめんなさいって、謝りましょう』」
ペタリと人形を左之助さん貼り付ける。
「疑って悪かった……本物だったのか」
自分だけ引っ掛かった事にショックを受ける左之助さんの背中をポンポンと擦ってあげ、膝枕を提案する前に彼は私の太ももに頭を乗せます。
『助平になれ』『馬鹿になれ』
「勿体無いからやめましょうね」
私の胸やお腹に人形を貼り付ける左之助さんに、そう言ってみるものの、不貞腐れたように私のお腹に顔を押し付けています。
お腹の匂い、嗅がないで下さい。
ドクトル・バタフライもいるから、変なことを書くのはやめたほうがいいですよ?と考えながら、彼の頭を撫でているとドクトル・バタフライは次々と発明品をちゃぶ台に並べていく。
そんなに多くは乗りませんよ?
「……ライトニングサーベルって」
カトラス仕様とエストック仕様の西洋剣バージョンの電光丸に苦笑を浮かべ、しとりが見たら喜びそうだと思っていたとき、稽古帰りのしとりが、キラキラと目を輝かせて廊下に立っていました。
「ん!わたしもほしい!」
「ふむ、どれがいいかね?」