「糸色君、これはどうだろうか」
そう言ってドクトル・バタフライが取りだしたモノは丸薬系の発明品でした。此方は「キテレツ大百科」に登場する発明品のようですけど。
「こいつは薬か?」
「食べちゃダメですよ?」
「食わねえよ。で、景に薬を渡すって事は何か良いものなのか、それとも気付け薬か」
「『百里丸』と『鬼面丸』だ。百里丸は一錠の服用で数時間は心肺機能を強めてくれる。もしものときに使えるもので、鬼面丸は怒ることの出来る丸薬だ」
どちらも私の苦手な事ですね。
けど、効果があるのか分からない代物を飲むのは怖いので不破信二に試して貰いたいです。あわよくば、全部試して修羅に効果をもたらす発明品の系統を知りたい。
もしものときに使えますからね。
そんなことを想像して想定していると、左之助さんが丸薬のひとつを手に取り、静かに私の首に彼の手が触れ、顎下をなぞるように手が私の頬を押し込み、無理やり口を広げさせた。
「あぶっ、んんっ……!」
「ハハハ、怖がるなって、な?」
イヤですと顎を掴む手を叩いても近づく手を押しても許してもらえず、口の中に彼の指と丸薬が押し込まれ、舌で押し返そうとしたら、舌を摘ままれ、私は丸薬を飲み込んでしまった。
「えほっ、けほっ…!」
「どうだ?」
「ゲホッ、ゲホッ…!」
大きな薬を飲み込んだ反動で咳き込む私の背中を擦り、そんなことを聞いてきた左之助さんを涙目になりながら見上げた瞬間、髪の毛が少し伸びて、角が生えました。
「(なんだかラムちゃんっぽいです……だっちゃ?)」
「鬼嫁だな」
「私、鬼嫁なんですか?」
「いや、特に鬼嫁じゃねえが、角あるし」
それだったら鬼はみんな鬼嫁になりますね。そう考えながら頭に生えた角を触る。ちょっと、なんだか変な感じがしますね。
「……噛んでいいか?」
「えっ、だめにひぎゅうっ!?」
カリッ、と私の頭に生えた小さな二本の角の左側を噛まれ、ヘンテコな悲鳴を上げ、脳ミソから足の爪先まで訳の分からない感覚が突き抜けていきました。
「鬼の角は敏感なのだよ。左之助君」
「見たら分かる。面白いな」
「お、面白いで済ませないでくだひぃいっ!?」
「力込めたら痛いのか?」
左之助さんのイタズラに涙目で抗議の意思を向けるも無視され、私は彼のお膝に座ったまま母親にあるまじき醜態を晒しています。
ううっ、ううぅっ…!
「泣いてしまったね」
「悪かった。すまねえ」
「……ちゃんと、ごめんなさいって言って」
「へいへい、ごめんなさい」
「…………許しません。今日はしとりとひとえと一緒に寝ます、左之助さんはひとりです」
「は?」