ドクトル・バタフライの用意した発明品による羞恥心逆撫でする行為は何とか終わったものの、やっぱり鬼女になるのは恥ずかしいです。
あと髪が伸びたのはビックリしました。
癖毛だから、ウェーブが掛かってます。
ちょっとだけ前世の頃みたいだなと思う反面、髪の毛を掴まれて死んだので怖いなと思う。まあ、鬼面丸の効果は消化してしまえば消えます。
「景、ダメか?」
「ダメです」
私の頭に生えた角を触りたくて触りたくて仕方ない左之助さわから頭を守りつつ、ライトニングサーベルを振り回して楽しんでいるしとりに視線を向ける。
あの子は、とても元気ですね。
「景、景」
「う、うぅ、だめなものはだめです!」
「頭を守ってるから腹とかがら空きだぞ?」
「……左之助さん、いじめっ子みたいです」
なんだか、すごくイヤです。そういうことはしないでほしいと思いながら、ぐったりとしたムジナのボスを抱き締めたまま寝巻き姿のひとえに駆け寄る。
「あらあら、どうしたの?」
「ぼっさん、うごかなくなった」
「え?……ああ、熱かったんですね。ひとえ、縁側のところに寝かせてあげてください」
「あい」
私がそう言うとひとえは縁側に座布団を移動させ、その上にムジナのボスを優しく寝かせると、座布団の真横にコテンと倒れ、小さく寝息を立て始めました。
最近のひとえはお眠さんですね。
まあ、寝る子は育つと言いますし。食事や運動もしっかりとしていますから大丈夫だと思いますけど。私の病気は遺伝していないといいんですが……。
「がら空き」
「がら空きじゃないです」
「ん?おー、糸かこれ」
「はい。発明品の蜘蛛手です。こうやって指先から糸を飛ばしたり、編んで壁を作ったり出来ます。お裁縫のときや編み物のときはとても便利です」
「……千切っていいのか?」
自然ポリマー製の糸を千切るんですか?と困惑する私を他所に、左之助さんは手首を素早くねじって糸を容易く千切ってしまった。
一応、新しく考えた私の安全圏なんですけど。
やっぱり、そういうところありますよね。
「意外と硬い糸だな」
「素材がそういうものですから」
そう言いながら糸で切れた手にハンカチーフを当てて、ちゃぶ台の上に置くように伝えて、袖の中に仕舞っていた消毒液や救急箱を取り出します。
むきになるのは良いんですけど。しっかりと自分の身体を大事にしてほしいです、私が居なくなったら無茶をし続けてしまいそうで本当に怖いです。
ちゃんと、しとりとひとえを守って下さいね?