「また来たでよ」
「来たか空飛ぶ褌!」
「じゃけん、褌じゃなかばい!」
一反木綿の持ってきてくれたお土産を受け取りつつ、また口論を始める左之助さんと一反木綿に苦笑を浮かべ、碁を指す途中で動きを止める緋村剣心の宇宙猫めいた顔を見てしまう。
その顔は卑怯です。ずるいです。
クスクスと笑い、お土産を包んだ籠を開けるとお饅頭が入っていました。しとりとひとえも本を読む手を止めて、ワクワクとしている。
「ん!わたしも食べる!」
「ひーも食べる!」
「フフ、じゃあ、お皿に分けましょうか」
そう言うと二人は嬉しそうに笑って、一反木綿に「ありがとう!」とお礼を言い、一反木綿も赤い目を細めて笑っていますね。
ありがとう。ごめんなさい。この二つの言葉を言えるのはとても偉いことです。悪いことをしたら謝る。助けて貰ったらお礼を言う。
大事な大事なことです。
お皿にお饅頭を取り分けて、温かいお茶を入れ直していると居間の方から凄い音と家鳴りが起こり、後ろに振り向いて、居間の方に顔を向ける。けど、曲がり角と壁のせいで見えませんね。
「しとり、ひとえ、お盆に乗せるから落とさないように気をつけてくださいね?」
「ん!」
「あい!」
私のお願いに二人は二つずつ乗ったお盆を運んでくれます。こっそりと残りのお饅頭に手を伸ばす個魔の方の手を、ペチンと叩けば「私にはくれないのか?」と言われたものの、こっそりのつまみ食いはダメです。
「違いますよ。食べるときは一緒にです。いつも朝昼夕の食事を一緒にしているんですから、先に食べるのはダメです」
「妙に律儀だよな。母者ってさ。私が名前を嬢ちゃん以外に教えていないのも気にしないし。自分が危なくても妙に他人を優先する」
「二度目の人生は悔いなくです。まあ、もうすぐ終わってしまうんですけど。個魔の方、これからもしとりとひとえを見守って下さいね?」
「ん、任せておきなさい。私は個魔、ぷれい屋を見守り導くのは当然の事だからね。それに、ここまで絆されたら抜けられないさ」
私の身体を影に取り込むように抱き締める個魔の方に首を傾げつつ、しとりにも同じことをしているなと思う。意外と影の中は温かいものですね。
「ゴールデンカムイが始まっても、私が必ず二人の事を守ってあげる。だから、安心しなさい。悪も善も全てが狙ってきたって守り抜く」
「フフ、ありがとうございます」
そう言ってもらえるだけで、今後の不安も恐怖も薄まりますし。なにより、あなたがみんなを見守ってくれるのなら、安心です。