「また月見酒か?」
お団子屋さんで包んで貰ったお団子を手にとって、サンピタラカムイ様の神酒を呑んでいると左之助さんが縁側の方にやって来た。
七日に一度の儀式とも言える行為ですが、サンピタラカムイ様の神酒を呑む日を決め、ゆっくりと全身に巡り渡る感覚に静かに身体を馴染ませる。
「んッ…」
ピリッと身体の奥に熱が弾ける。
ここ数週間の間に増えた現象だけど。薄々理由は分かっています。私の心臓と肺を無理やり保護して動かしている、本当に申し訳無いです。
「景、横になるか」
「いえ、今日はお月様を見ていたいです」
まん丸と浮かぶ満月を見上げ、私は『月光条例』に出る「青き月光でねじれた『おとぎばなし』は猛き月光で正されねばならない」という言葉を思い出す。
「仮面ライダーディケイド」の「物語」を生きている交さんと違って、彼だけは並行世界に存在する。そして、左之助さんの身につけた鎧と蛮竜を用いれば、猛き月光を持つことだって出来る。
この『物語を繋げる能力』を分断する力を持っているのは、糸色境君です。高校生か中学生ぐらいの年齢で左之助さんやお妙さんを上回る強さの片鱗を感じた。
なにより彼は私の『特典』を濃く受け継いでいる。
「(おそらく『月光条例』が、最後の鍵になる)」
私の……というより、私から始まった転生した「物語」は『月光条例』を最後に締め括りになる。左之助さんと私の子供が、終わりをつけてくれる。
ただし、相手は最強の月の神様、オオイミです。
楯敷君の言っていた「
いわゆる、二重転生です。
私だけが「さよなら絶望先生」と「るろうに剣心」の二つの「物語」に転生しているという不可解且つ不自然な神様の定めた原則を破っている理由もようやく分かってきました。
「(私は、二番目に生まれ変わった……)」
コトリと縁側に盃を置いて、私の隣に座ってくれている左之助さんを見上げる。
「ねえ、左之助さん。かぐや姫は本当に月に帰りたかったのでしょうか?」
「……さあな。少なくともオレなら死んでも行かせねえし、どんな手を使おうが取り返す。月の神様だろうが何だろうがブッ飛ばして取り返してやるさ」
「フフ、格好良いですねえ♪︎」
じゃあ、その時は助けてくださいね……。