朱の盆の事を分かりやすく伝えたものの、人に化けている朱の盆しか見えない左之助さんはものすごく不満そうに、ひとえとしとりと仲良く遊んでいる朱の盆のことを見つめています。
子供のお友達に嫉妬するのはダメですよ?
「景、やっぱり妖怪に見えねえ」
「そういうこともあります」
そう言うも左之助さんはへの字に口を曲げる。
ちょっと子供っぽいところをクスクスと笑ってしまう。すると、不満そうにしたまま左之助さんの手が、私の腰を掴み、腕の中に押さえ込んで来ました。
「左之助さん?」
「暇だから構え」
私の首筋と肩口に顔を埋める彼の頭を優しく撫でつつ、未だに不満ですというオーラを纏う左之助さんの頭を撫で続けていると首筋を噛まれた。
いきなり、なにをするんですか。
そんなことを呟きながら左之助さんの手が、お腹を抱き締めるように変わり、しとりとひとえも朱の盆も私達のやり取りを聞いていません。
「景だけは絶対にオレの傍に居てくれ」
「はい。ずっとお側にいます」
あなたとずっと生きていきたい。妖怪やホムンクルス、フランケンシュタイン、人形になるという事も何度か考えたけれど。
やっぱり、私は人間として生きていたい。
いえ、そもそも人として生きる以外に私は生きる方法を知りません。今さら他の存在に生まれ変わるなど怖くて出来ませんからね。
「……細いなあ」
ボソリと呟く声が聴こえ、お腹から、胸へ、胸から、首へ、左之助さんの大きな手が私の小さな身体の上を這いずり回り、戸惑ってしまいます。
「(もしも、よくあるアンソロジーや現代パロディを体験したとして、私と左之助さんが出会うときは小学五年生と高校一年生ですね)」
犯罪っぽいです。
それに、園田君や百合さんの反応を思い出すに「彼ら」は私達が漫画の登場人物として登場する「るろうに剣心」を読んでいますね。
───言わば『「彼ら」はA世界とB世界の二つを観測できる「C世界」』の住人であり、その「彼ら」を引きずり込める転生者もいるというわけです。
私の生きている間に、少しでも縁を結んでおけば未来の子供達のためになると思っていたけれど。あまり、そう簡単に行動を起こせるわけではありませんね。
「(交さんは、その彼女か彼の『特典』を持つ人との子供か、孫に当たる。……ダメですね、考えようにもピースがまだ不十分すぎます)」
分かっているのは、私の中の「だれか」。
その「だれか」を楯敷君は狙っている。
交さんは「並行世界に一人だけ」。
そして、私の終着点は「月光条例」。
この四つだけですね。