某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

1132 / 1132
朱の盆、追い掛けます 急

朱の盆の帰った後、私は左之助さんに……コホン、あまり思い出すには刺激が強すぎますね。本当に「壁かけハウス」が無かったら、また響いていましたよ。

 

まあ、それはいいんです。

 

左之助さんが、私を忘れないためには必要だと思ってしまうし。なにより大好きだから受け入れてしまうのはごく普通の当たり前のことです。

 

そう、思うことにしました。

 

「Hello。糸色君」

 

「出ましたね、妖怪似非紳士」

 

「似非紳士ではないのだが?」

 

「妖怪はいいんですか?」

 

まさかホムンクルスを変態して妖怪に?と戦々恐々としながらも、いつものようにやって来たドクトル・バタフライに紅茶とクッキーを用意し、ちゃぶ台に置く。

 

洋式机も良いですけど。此方でもう慣れてしまったから仕方ないですが、畳に寝転んだりするのはとても穏やかな気持ちになれます。

 

「今日はどうしたんですか?」

 

「仮死薬を作ってきた」

 

「菓子焼く?」

 

オーブンを作ってくれるのでしょうか?と想像していたら、あからさまに危険な薬品を詰めた小瓶に身体が強張る。見てはいけない薬品名の羅列に目が痛い。

 

いえ、悪い意味ではないですけど。

 

菓子焼くではなく、仮死薬ですね。

 

一時的に仮死状態へと移行し、コールドスリープ状態に固定し、その間に私の身体を治す手段を獲得する。あるいは、楯敷ツカサを倒す時間を手に入れる。

 

そういうことでしょうけど。

 

「お断りします。それにね、ドクトル。貴方ももう気付いているでしょう?私の身体には手術に耐える体力は残っていないこと」

 

「……知っている。だが、君を失えば私達の勝ち目は薄くなることも分かっているだろう。世界の開拓と改築を行えるのは君だけなんだ」

 

「大丈夫です。世界は私なんていうちっぽけな存在が居なくても回り続けます。狂喜の座興はいつまで巡るのかは分かりませんが、それもまた良いことです」

 

私の言葉に彼は不満げに顔をしかめるものの、少しだけ納得してくれたようです。もっとも、納得以上に私に対する何かを感じますね。

 

しかし、それはもう友人に対するものではありません。自分の理解者を減らしたくないという傲慢さ。やはり、年を重ねる毎にドクトル・バタフライもホムンクルス化の影響を受けていますね。

 

「ねえ、ドクトル、貴方は私を通して何を見ているんですか?私の瞳を見たところで世界の深淵を見ることは不可能ですし。況してやクローンを作ろうと考えるのは絶対にダメですよ」

 

人として、それだけはダメだと思います。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

もしも「るろ剣」の世界に糸色景がいたらのスレ(作者:SUN'S)(原作:るろうに剣心)

「某剣客浪漫世界の物書きお姉さん」が本誌だったら?という感じのスレっぽいやつです。▼【本編】▼https://syosetu.org/novel/327970/▼【黒死の蝶の唯一留まる花】▼https://syosetu.org/novel/381420/▼【風薫る日陰に寄り添う妙花】▼https://syosetu.org/novel/387840/▼【か…


総合評価:978/評価:6.42/短編:348話/更新日時:2026年06月11日(木) 22:35 小説情報

転生して型月版・沖田総司になったけど、労咳を克服したら明神弥彦の母になっていた件 〜るろ剣世界で最強のママやってます〜(作者:だいたい大丈夫)(原作:るろうに剣心)

かつて京都を震撼させた「人斬り抜刀斎」と並び称された、新選組一番隊組長・沖田総司。▼労咳の運命を越え、彼女が手にしたのは平穏な明治の世と、亡き夫が残した一人息子・弥彦だった。▼しかし、その剣はまだ、錆びついてはいない。▼「たまには人を斬っておかないと、腕が鈍るでしょう?」▼昼は息子の教育に頭を悩ませる士族の未亡人。夜は月夜に紛れ、暗殺者として死体の山を築く。…


総合評価:3056/評価:6.76/連載:88話/更新日時:2026年06月07日(日) 22:37 小説情報

毛利家の次女(作者:残月)(原作:名探偵コナン)

前世の記憶を取り戻した毛利家の次女には秘密があった……▼◇の付いてる話は挿絵付きです。▼レッド・ラム様から素敵なイラストを頂きました。▼毛利千紗のイメージイラストです。▼【挿絵表示】▼AI作成によるファンアートの様ですのでイメージが違う可能性がありますので閲覧の際にはご注意下さい。


総合評価:13114/評価:8/連載:120話/更新日時:2026年06月10日(水) 10:00 小説情報

新任教師『次元大介』(作者:レイゴン)(原作:ブルーアーカイブ)

▼色々な二次創作を見ていたらふと頭の中に思い浮かんでしまった概念▼「あれ?次元って銃教えるの上手そうだし、大抵の銃使えるから絡ませやすくね?」と……▼アビドス編1~2章 完結▼花のパヴァーヌ編1~2章 完結▼エデン条約1~4章 完結▼カルバノクの兎1章 完結▼Vol.EXEXは、コラボ、もしくは記念イベント回ですので、一部章のネタバレを含みます。▼ご了承くだ…


総合評価:9184/評価:8.82/連載:139話/更新日時:2026年06月06日(土) 19:15 小説情報

ゲーム出身の一般アークスが、オラリオでダンジョンアタックするのは無理がある(作者:柳沢紀雪)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

PSO2のプレイヤーがオラクル船団に転生してしまい、守護輝士(ガーディアン)アッシュの同期の知り合いとして何とかグランドエンドを迎えて一安心。▼ある日、とある惑星の調査任務を依頼されて、サポートパートナーを伴って現地に向かうと……いろいろあってオラリオにたどり着いてしまい、そこから冒険者としてダンジョンを探索することになってしまった。▼果たして主人公は無事、…


総合評価:4387/評価:8.46/連載:196話/更新日時:2026年06月10日(水) 00:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>