某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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妖怪珍道中 急

「ひぎっ!」

 

パチン!と音が響く。

 

「ひうっ!」

 

パチン!と音が響く

 

「ひにゃあっ!」

 

パチン!と音が大きく響く。

 

「ゆ、ゆるしてくだしゃいっ」

 

しくしくと泣き言を言う私は左之助さんの膝の上に横向きの体勢で、うつ伏せに押さえ込まれ、お尻が赤く腫れた姿で左之助さんに謝っています。

 

うぅ、お尻叩きは痛いし、恥ずかしいです。

 

「しとりとひとえはこの壁掛けの部屋には入って来ねえんだ。しっかりと反省するまで、お前の尻を叩くからお覚悟しろよ?」

 

「ひっ」

 

彼の言葉に慌てて逃げようと手足をパタパタと動かす。が、背中を押す手のひらを押し退けたり、左之助さんを突き飛ばしたりなんて出来ません。

 

「もう十三回もお尻を叩かれているのに、どうして許してくれないんですか?!」と訴えれば「お前、どんだけオレに心配掛けたと思ってる」ととても怖い真顔で言われてしまいました。

 

た、確かに私も悪かったです。

 

「ご、ごめんなさい。でも、これは」

 

「聞こえん」

 

パチン!と音が響く。

 

「んやあっ!……う、うぅ、ひどいです」

 

「お仕置きしてるのに、なんでそう艶っぽいんだ」

 

「つ、艶っぽい?」

 

変な褒められ方に戸惑いつつ、ヒリヒリと痛むお尻を隠すように捲られていた着物の裾を直し、左之助さんから、ようやく脱出できた。

 

もう、こういうのはイヤです。

 

私のお尻、絶対手形が残っています。

 

こ、この仕打ちは酷いです。でも、私が書き置きをしなかったからですよね。いえ、それでも三十回も女のお尻を叩くなんて酷すぎます。

 

「ちょっと待て、景。その首の痣は何だ?」

 

「首?」

 

左之助さんに指摘された首を擦ってみるものの、痛みや痼はなく、鏡面台に映っている私の左の首筋、小さな痣が出来ている。

 

「どこかにぶつけた覚えはないんですけど(いえ、危ないものに触れたとしたら妖刀ですね。いわゆるマーキングを刻み、狙いを定めるタイプの能力?)」

 

「口吸いの痕じゃねえな。にしても、お前は本当に変な奴らに絡まれるな。マジで倉の地下室に閉じ込めてやろうか」

 

「あ、あはは、冗談ですよね?」

 

「冗談に思うか?」

 

「い、いえ、すみません」

 

しょんぼりとしながら彼の言葉を冗談のように扱えばまたしても真顔になります。うう、昔は太陽だったのに、今は私を掴まえるためにお月様にもなります。

 

どうして、こうなってしまったの?と聞かれれば私が色々と騒動に巻き込まれ、左之助さんが私を守ってくれるからですね。

 

「けど、本当に大丈夫ですよ?」

 

痛みもありませんし。

 

お尻は痛いですけど。

 

 

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