某剣客浪漫世界で私は物書きをする。   作:SUN'S

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蝕み 破

普通の人には見えないように『隠』のモヂカラを使って、痣を隠していますけど。勘の鋭い人は私の左首や左肩の違和感に気付いたりしています。

 

当然と言えば当然です。が、やっぱり私の身体に取り憑いている妖怪の正体は分かりません。人面疽の可能性も考えましたけど。

 

どうやら違うようです。

 

「景、大丈夫か?」

 

「えぇ、大丈夫ですよ」

 

フンスと力こぶを作って見せるもあまり信じて貰えず、私の左半身を呑み込もうとしている痣の進行も少しずつ早まっているため、彼も私も不安なのです。

 

「んッ…なんですか?」

 

頬から顎下、顎から首筋へと左之助さんの手が動き、僅かに痣が熱くなる。妖怪の正体は分からないけど、左之助さんにも反応している?

 

いえ、同時に憑依出来る妖怪はいない。

 

────とは言え、です。

 

私の弱い身体を乗っ取るよりも左之助さんの身体を乗っ取る事を第一に考えると辻褄は合う。左之助さんは絶対に私を殴ることは出来ません。

 

そして、私は非力ゆえに戦えない。

 

必然的に妖怪の狙いは相楽左之助という日本最強の一角であり、あの白面の者を退けた肉体を欲しがる。強さで言えば本当に世界最強の肉体です。

 

「(左之助さんは私のものです)」

 

どろりと、悪感情が漏れる。

 

好きな人を盗ろうとする妖怪。私の弱く脆い身体の左側に取り憑き、目と心臓(・・・・)を目指している痣を押さえ付けるように左手を首筋に添えて、静かに妬心を向けてしまう。

 

「……景?」

 

「何でもありませんよ」

 

そう言って私は笑顔を向ける。

 

知られたくない。知って欲しくない。私の汚い嫉妬に狂ってしまった本性を見せたくない。もう、いっそのこと蛮竜の刀身に身を委ねてしまえば、簡単に私の身体は真っ二つに裂けて、妖怪は呑み込まれる。

 

そうしてしまえば良いんです。

 

昔、もっと違っていた。

 

ずっと『悪一文字』の背中を見ていて、気がつけば隣に立ってくれて、優しく支えてくれる、ずうっと私だけの太陽で居て欲しかった。

 

…………嗚呼、本当になんて卑しいんでしょうね。

 

「うおっ、湿気った純愛効くわァ……」

 

「「今、へんな声がした」」

 

私と左之助さんはお互いの顔を見つめて、そう呟いた瞬間、声の主は気配をまた消してしまった。でも、なんとなく今の反応で分かりました。

 

────この妖怪は、純愛過激派です。

 

それも私と左之助さんのカップリング過激派です。嬉しいですけど、絶対、私に取り憑いているのは百合さんや園田君のいた世界からやって来た妖怪ですよね。

 

 

 

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