「しろがね、ねえ?」
交易場の会合に使う部屋を借りて、私はルシール・ベルヌイユとギィ・クリストフ・レッシュ、左之助さんの分の珈琲を注ぎ、ゆっくりと椅子に座る。
「景、お前の知り合いか?」
「いえ、知り合いではありません。いきなり話し掛けられて困っていたのは事実ですけど」
左之助さんの質問に答えつつ、旭さん達に頼んでいたはずのしとりとひとえが部屋に入ってきてしまい、慌てて二人のところに近付きます。
「ん!母様、見つけた。ひーちゃんが泣きそうになってたから連れてきたよ」
「むう、泣いてないもん」
「フフ、偉いですねえ♪︎」
よしよしと二人の頭を優しく撫でていると後ろから「ママン……」という呟きが聴こえ、そちらにゆっくりと振り向くと顔を真っ赤にしたギィ・クリストフ・レッシュと、ニヤニヤと笑う左之助さん、珈琲を飲むルシール・ベルヌイユがいます。
「ひーのかーさまだよ?」
「わ、分かっているさ!」
「ん!わたしがよしよししてあげる」
「!ねーさま、ひーもする!」
「ぐっ、ぐうぅ…!」
私のしていたように優しく銀色の髪の毛を撫でてあげるしとりとひとえの二人に挟まれ、困ったように顔を赤らめるギィ・クリストフ・レッシュに物凄く怖い顔を向ける左之助さんを諌めつつ、冷静なルシール・ベルヌイユを見る。
こんなに騒いでるのに、すごいです。
「さて、どう話した方が良いのかね。私達の目的は日本にいる人形作りの女を探すこと。特徴は幸薄げで今にも死にそうな顔色、どこか妖しさを感じる女だ」
「それなら景だな」
「知っているのか。ヤマイノシシ!」
「誰がヤマイノシシだ。ギンバエ……ったく。景、やっぱりお前の客だったじゃねえか」
「でも、会ったことありませんし」
そう。会ったことはない。
「御託は良いさね。私達の目的は人形作りのアンタをしろがねにするためだよ。あの人形を増やせば自動人形を倒せる数も増える」
ルシール・ベルヌイユは小さな瓶を差し出してきました。しかし、肝心の「
「バカな!?」
「私にそういう類いの物は使えません。この身体は変質を拒みますし、なによりその赤い水に耐え得る身体を私は持っていません。それに」
そう言うと私は左之助さんの手を握り、にこりと微笑みを向ける。
「最後はこの人と居たいんです」
「飲めば病気も怪我も治るのに!?」
「およし。ギィ」
チラリとルシール・ベルヌイユは私を見て笑う。